イーサリアム大型アップグレード「Dencun」とは?内容・メリット・実装日など

Dencun(デンクン)とは?

Ethereum-ETH-Upgrade

Dencun(デンクン)とは、イーサリアムで2024年に予定されている実行層とコンセンサス層の大型アップグレードの名称であり、「Cancun-Deneb」としても知られています。

Cancun(カンクン)は実行層のアップグレード、Deneb(デネブ)はコンセンサス層のアップグレードを指すものであり、両アップグレードが同時に実行されることから「Dencun」という名称が付けられています。

Dencunアップグレードの主な目的は「ブロックチェーンのスケーラビリティ・効率・セキュリティを向上させること」で、レイヤー2(L2)からレイヤー1(L2)へのデータ転送にかかるトランザクションコストを削減することによって、L2のトランザクション手数料を大幅に削減できるという点でも注目を集めています。

この大型アップグレードは元々2023年末に予定されていましたが、その後に延期が決定し、現在は2024年導入予定とされています。

Dencunアップグレードの内容

Dencun(デンクン)のアップグレードには複数のイーサリアム改善提案(EIP)が含まれており、代表的なものとしては「EIP-4844:プロトダンクシャーディング」が挙げられます。

プロトダンクシャーディングとは、ダンクシャーディングと呼ばれる技術アップグレードに向けた中間ステップとなるもので、どちらも「L2でのトランザクションを可能な限り安価にすること」を目的としています。

ダンクシャーディングによって、L2ロールアップネットワークは「BLOB」と呼ばれる新しい形式を使用して特定のトランザクションデータを一時的に保存できるようになり、ユーザーのL2ロールアップ使用量を大幅に削減することができると説明されています。

イーサリアムのL2には「ArbitrumOptimism・zkSync・Base」などといった様々なものが存在しますが、ダンクシャーディングではこれらのL2ソリューションの取引手数料を最大100分の1まで削減できるとも伝えられています。

Dencunアップグレードで実装されるイーサリアム改善提案(EIP)には以下のようなものがあると報告されています。

  • EIP-1153
    一時的なデータ保存システムを導入することで、ストレージコストを削減し、ネットワーク全体の効率性を高める。
  • EIP-4788
    チェーンの状態に関する情報を含む「ビーコンチェーンブロックルート」というデータを実行層に追加してイーサリアム仮想マシン(EVM)内に公開し、ステーキング残高などビーコンチェーンブロックの状態に含まれる値の証明を可能にする。
  • EIP-4844
    プロトダンクシャーディング。BLOBを導入し、L2のトランザクション手数料を削減する。
  • EIP-5656
    MCOPYと呼ばれる新しいEVMコピーコードを導入し、EVM内のメモリをより簡単かつ安価にコピーする方法を提供する。
  • EIP-6780
    オペコードがコントラクトの作成と同じトランザクション内で呼び出された場合にのみコントラクトを削除するようにSELFDESTRUCTオペコードを更新する。
  • EIP-7044
    バリデータ終了メッセージの有効性に関する制限を削除。
  • EIP-7045
    ビーコンチェーンブロックに構成証明を含めることができる期間を延長する。
  • EIP-7514
    各エポック中にアクティブ化できるバリデーターの数にハードキャップを追加する。
  • EIP-7516
    実行されている現在のブロックのBLOB基本料金の値を返す「BLOBBASEFEE」と呼ばれる新しいオペコードを導入。

Dencunアップグレードの主な利点

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Dencunアップグレードがもたらす主なメリットとしては以下のようなものが挙げられています。

  • スケーラビリティ(拡張性)の向上
  • ガス代(トランザクション手数料)の削減
  • セキュリティの強化
  • L2ソリューションとの相互運用性向上
  • データストレージの改善
  • L2ソリューションの開発・イノベーション促進

Dencun(デンクン)の実装日

Dencun(デンクン)のメインネット実装日は記事執筆時点で確定していないものの、テストネット実装日に関しては開発者による定例会議で定期的に続報が発表されています。

イーサリアムのテストネットには「Goerli・Sepolia・Holesky」などの種類がありますが、それぞれのテストネットにおけるDencunアップグレードの実装日については以下のように報告されています(※2024年1月9日時点の情報に基づく)。

テストネット 実施日
Goerli(ゴエリ) 2024年1月17日
Sepolia(セポリア) 2024年1月30日(暫定)
Holesky(ホルスキー) 2024年2月7日(暫定)

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参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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