PayPalのステーブルコインPYUSDとは?特徴や将来性を解説

PYUSDは、アメリカ大手決済サービスPayPalが発行している米ドルに連動しているステーブルコインです。2023年8月にローンチされたばかりで、今後複数の暗号資産取引所で取り扱いを開始する予定です。

大手金融会社が独自のステーブルコインを発行する事例は今回が初となっており、金融業界をはじめとした様々な業界から注目を集めています。

発行元は、ブロックチェーンや暗号資産に精通しているテクノロジー会社「Paxos Trust Company」が担当しています。

本記事では、PYUSDの特徴や今後の動向などについて解説します。また、発行者であるPayPalや発行の背景なども解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

PYUSDとは何か

PYUSDの基本情報を紹介します。

発行者

PYUSDは、アメリカ大手決済サービスPayPalによってローンチされたステーブルコインです。発行元は、ニューヨークに本社を構えるテクノロジー会社「Paxos Trust Company」が担当しています。

Paxos Trust Companyは、これまでにUSDPやPAXGなどのステーブルコインを発行している実績があります。

また、シンガポール金融管理局より大手決済機関として認可を受けていることや、マスターカードやPicPayなど様々な金融サービスと提携していることから、信頼性の高い企業となっています。

特性

PYUSDは、米ドルに連動しているステーブルコインとなっています。米ドルの価格に1:1でペッグ(固定させる)しています。

PYUSDの価値は、米ドル預金や短期米国債、現金などに100%裏付けられています。

取引所上場時は価格が不安定でしたが、現在は米ドルに連動して価格が推移しています。

主な用途と機能、特徴

PYUSDは、アメリカのPayPalユーザー向けに発行されたステーブルコインです。

主な用途は、

・PayPalと互換性のある外部ウォレット間での送金
・個人間での支払い
・スワップ

ユーザーは、PYUSDをPayPalやVenmoなど互換性のある外部ウォレットへ高速かつ手数料無料で送金できるようになります。手数料は無料ですが、イーサリアムのネットワーク手数料(ガス代)は掛かるので注意が必要です。

また、PayPalが取り扱っている暗号資産とスワップすることも可能です。

PayPalとPYUSD

発行元であるPayPalについてやPYUSDが発行された背景などについて解説していきます。

PayPalとは

PayPalは世界中で大きなシェアを持っているオンライン決済サービスです。世界中に4億人以上のユーザーがおり、年間の決済件数は193億件を超えています。

日本でもPayPal決済に対応する店舗が増えてきており、今後さらに普及していく可能性があります。

2021年には日常の買い物時にビットコインなどの暗号資産で決済できる暗号資産決済サービスを開始しました。

また、これまでに暗号資産の売買や外部への送金サービスなどを展開しており、暗号資産に対して非常に前向きな姿勢を示しています。

PYUSD発行の背景

PayPalは、以前から暗号資産に関連したサービスを展開しており、PYUSDも今後のデジタル決済需要に対応するために発行されたものです。

PayPalの元CEOであるダン・シュルマン氏は、デジタル通貨への移行には米ドルなどの法定通貨と接続できる安定した手段が必要と述べました。

PYUSDは、将来的に家族や友人との個人間での送金や決済手段として使われることを想定して開発されています。

PYUSDの今後は

PYUSDの今後について紹介していきます。

市場での流通量と認知度

PYUSDは、ローンチから約2ヶ月経っていますが、いまだ認知度は伸び悩んでいる状態です。PayPalが発行するということもあり、ローンチ当初は注目を集めましたが、利用者は拡大していません。

ステーブルコイン市場は、USDCとUSDTの2種類が大きなシェアを持っており、PYUSDがシェアを拡大するには今のところ時間が掛かりそうです。

時価総額もほぼ横ばいとなっているため、流通量や認知度向上に向けた展開が需要になるでしょう。

今後の展望と課題

PYUSDは、個人間での送金や一般的な決済手段として使われることを想定していますが、現在のアメリカではステーブルコインに対する明確な法整備が整っていないという課題があります。

2023年2月にはBinanceが発行するステーブルコインBUSDが米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に発行停止を命令されたこともあり、アメリカのステーブルコイン市場は下落傾向にあります。

しかし、PYUSDのローンチを受けて、ステーブルコイン規制法案可決に向けた動きが強まっており、法案が誕生するとPYUSDにとって追い風となる可能性が高いです。

普及に向けた戦略と将来性

PYUSDと他のステーブルコインとの大きな違いは、規制されたステーブルコインという点です。

USDCやUSDTなどのステーブルコインは非規制ですが、PYUSDはPaxos Trust Companyがニューヨーク金融サービス局によって規制された信託会社となっているため、安全性が高いと注目されています。
PYUSDを保有するユーザーは、規制当局が設定した監督とルールによって保護され、万が一Paxos Trust Companyが破産した場合でも資産が保護されます。

規制されたステーブルコインという点は、PYUSDの大きな強みであり、普及に向けて重要なポイントとなるでしょう。
シリコンバレー銀行の崩壊などの影響でUSDCの市場規模が下落していることから、破産リスクから保護されているPYUSDの利用者が増加していく可能性があります。

参照元:NFT Media

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