SEGAのWeb3領域への取り組みまとめ
SEGAはアーケードゲーム、コンシューマゲームなどのゲーム事業、アミューズメント機器販売、玩具事業など、エンターテイメントを幅広く手掛けている企業です。
近年のSEGAでは、Web3やメタバースなどの新領域にも注力しています。既に手にしている「バーチャファイター」や「三国志大戦」などの最強IPをはじめこれまでに培ってきた技術やノウハウと新領域とを掛け合わせることで、誰も体験したことのない新しい世界を作ろうと動いているようです。
本記事ではSEGAのWeb3やメタバースへの取り組みについて解説します。
SEGAとWeb3、メタバース
SEGAでは様々な視点からWeb3やメタバースへの進出を検討しています。ここでは、3つの例を見ていきましょう。
SuperGame構想
SEGAでは現在、重点戦略の一つに「SuperGame」構想を掲げています。これは、世界的な大ヒットを狙った複数のゲーム開発プロジェクトです。
「SuperGame」は、これまでのゲームとは異なり、仮想空間で新しい体験ができるタイプのものになります。実現するためにはWeb3やメタバースとの融合が欠かせません。代表取締役副社長の内海州史氏は、「当然セガもこれらの新領域に対応していくことが重要だ」と語っています。
スタートアップ企業への投資
SEGAではメタバースやWeb3が将来エンタテイメントの領域の主役になると考えており、その分野のスタートアップ企業に投資しています。
投資先で開発しているブロックチェーンゲームに、SEGAのIPを使えるようライセンスアウトも行っています。ブロックチェーンに著名なIPを取り込んだ事例は世界的にも少ないため、SEGAが先駆けになればと考えられているようです。
なお、戦略投資担当部門・副部長の野堀江悦子氏は、この分野に挑戦することを「前例がない領域へのチャレンジ」と言われています。
ゲーム広告の新領域への進出
ゲームだけでなく、広告もメタバースやWeb3などの新領域へ進出できればと考えているのもSEGAの特徴です。
既に、セガの米国拠点であるSEGA of Americaでは、オンラインゲーミングのプラットフォームである「ROBLOX」でソニックのアニメ「SONIC PRIME」の第一話を先行でアップしており、かなりの反響を得ています。
同様の手法をゲーム広告に取り入れる可能性もあるでしょう。マーケティング担当部門セクションマネージャーの向大地氏は「ゲームでも先行体験や先行プレイした人への特典など、宣伝方法も変わってくると思っています」と語られています。
「バーチャファイター」「三国志大戦」など最強IPの活用
SEGAでは「バーチャファイター」「三国志大戦」など多くのIPを持っており、Web3ゲームの開発などが進んでいるものもあります。いくつかの事例を見ていきましょう。
三国志大戦
三国志大戦は「三国志」をモチーフに展開されている対戦カードアクションゲームです。異なる能力を持つ「武将カード」を操作し、対戦相手と戦うアーケードゲームです。
このIPを活用したブロックチェーンゲーム『Battle of Three Kingdoms』が開発中で、2023年内のリリースを予定しています。
ソニック・ザ・ヘッジホッグ
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」は、ゲーム「ソニック」に出てくる主人公の名前です。
青い針ネズミが擬人化されたデザインで、世界で最も知られたゲームキャラクターの1つと言われています。2020年には実写映画化されており、人気の高さがうかがえます。特にアメリカでは人気のあるキャラクターとして定着しています。
2021年にはNFTコンテンツとしてのソニックの販売を目指すと発表していました。しかし、多くのファンからの反対意見を反映し、2023年7月にはソニックのブロックチェーン使用はしないことを、SEGAの代表取締役副社長である内海州史氏が認めています。
龍が如く
「龍が如く」は2005年に発売されたPlayStation用のゲームとして始まりました。街並みがリアルに再現されており、プレイヤーはその中を自由に移動できます。
大人向けのエンタメ作品で、リアルな喧嘩バトルを楽しめるゲームです。シリーズごとに舞台や世界観は広がりを見せており、大阪、広島、横浜をはじめ様々な街が舞台になっています。シリーズは続いており、2024年には「龍が如く8」がリリース予定です。
「龍が如く」の世界はリアル世界に近いため、メタバースとの連動もしやすいのではないかと考えられています。
真・女神転生
「真・女神転生」は1992年に発売されたスーパーファミコン用のRPGゲームです。プレイヤーの選択によってシナリオやエンディングが変わります。アトラスによって作られた人気シリーズですが、アトラスの経営不振に伴いSEGAによる支援を経て、SEGAグループのIPとなっています。
荒廃し、悪魔が存在する世界が舞台となっており、主人公は悪魔と会話しながら召喚し、戦いを行います。2023年5月には30周年を記念したイベントが開催されました。
セガブランドとして高いIP力を持つ「真・女神転生」が今後、どのように活用されるのか、注目されているゲームの1つです。
なお、シリーズのゲームデザイナーやプロジェクトマネージャーとして活躍したゲームディレクター、谷川ハジメ氏はブロックチェーンゲーム「ロストメタバース」の主要メンバーとなっています。
クレイジータクシー
クレイジータクシーは1999年にアーケードゲームとしてリリースされたドライビングゲームです。その後、コンシューマゲームとしても高い人気を誇り、シリーズ化しています。
人気パンクバンド「オフスプリング」などの楽曲を起用し、後のゲーム音楽のあり方にも大きな影響を与えました。
2001年には映画化が検討されていると報じられましたが、現在までに映画化には至っていません。
また、2022年には「SuperGame構想」の1つとし「クレイジータクシー」のリメイクを行い発売を目指しているとも報じられています。その中では、オンラインコミュニティの構築を目指すという話も出ており、Web3領域への展開が期待されています。
SEGAのWEB3戦略まとめ
SEGAでは将来、Web3やメタバースはゲームの世界で欠かせない領域になると考えています。人気のIPを数多く抱えているため、それらのIPを利用してNFTコンテンツやブロックチェーンゲームの開発にも取り組んでいます。
SEGAが開発中の、これまで誰も体験したことのない「SuperGame」構想に大きな期待を寄せている人は多いでしょう。
一方で、ソニックのブロックチェーン使用予定は発表後取り下げており、ファンから反発を受けた場合などは柔軟に対応していく姿勢も明らかにしています。SEGAは多くの人気IPを抱えており、どれがWeb3領域へと展開されるのか、今後の動向から目が離せません。
NFTゲーム(ブロックチェーンゲーム)について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
参照元:NFT Media