共和党議員ら米国個人年金制度(401k)の投資先拡大する法案提出、暗号資産も対象に

個人年金制度(401k)における資産運用を多様化し、リターン増加を目指す

共和党のパット・トゥーミー(Pat Toomey)上院議員を含む3人の議員が、個人年金制度(401k)の投資先を多様化するための法案を9月29日に提出した。

401kとはアメリカにおける確定拠出型の個人年金制度のこと。給料から天引きして拠出することが可能で、拠出額については課税が免除される。また、拠出金の投資先については個人で選択が可能であり、運用は証券会社や投資銀行に委託されることが多い。一般的には所属企業が提示する複数の投資プランの中で好きなものを従業員が選ぶという形をとる。

現在の401kの投資先は公開株や債券で構成される投資信託である場合がほとんどであり、未公開株や不動産などのような代替資産への投資はほとんど行われていない。アメリカには確定拠出型の401kの他に確定給付型の年金制度も存在するが、そちらでは代替資産への投資も行われているため、平均的なパフォーマンスは401kよりも高くなっているとのこと。

今回の法案では401kと確定給付年金でパフォーマンスに大きな差が出ないようにすることを目的として、401kの投資先に代替資産など多様な資産を含めることを可能にする条文を追加する。

ジョージタウン大学の研究によると、401kプランの投資先を拡大することにより、米国労働者の退職金を約17%増やすことができ、不況時の損失も減らすことができると推定されている。

また、401kの投資先を拡大することで、運用者は暗号資産などの新たな資産クラスへの投資プランも提供することができるようになる。

この法案についてトゥーミー氏は以下のようにコメントしている。

「私たちの法案は、401kに加入している数百万人の米国人貯蓄者に、確定給付年金加入者が利用しているのと同様の幅広い代替資産へのアクセスを通じて、退職後の貯蓄を強化する選択肢を提供するものです。この改正は、何百万人ものアメリカ人に、より高いリターンとより安全な老後を与えるでしょう」

この法案は証券業金融市場協会(SIFMA)、確定拠出年金代替協会(DCALTA)、ポートフォリオ代替協会(IPA)、中小企業投資家同盟(SBIA)、米国証券協会(ASA)、公認証券アナリスト協会(CFA)などの金融業界団体から多数の支持を得ているとのこと。

トゥーミー氏は暗号資産擁護派の議員である。今年4月にはステーブルコイン規制の枠組みを示した法案を提出している。また、今月15日にはSECのゲンスラー委員長に対して、暗号資産関連の規制を明確化するよう意見し、セルシウス(Celsius)やボイジャー(Voyager)の破綻に対する対処を講じなかった点について投資家保護の観点から批判した。

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参考: U.S. Senate Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs
images:iStocks/rarrarorro

参照元:ニュース – あたらしい経済

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