【取材】自民党「NFTホワイトペーパー」に追加提言、ホットリンク内山幸樹・アスター渡辺創太ら「Web3. JP」が
Web3.JPがNFTホワイトペーパーに追加提言
自由民主党NFT政策検討プロジェクトチームが3月に公開した「NFTホワイトペーパー 〜Web3.0 時代を見据えたわが国の NFT 戦略」に対して、「Web3.JP」が8月31日追加提言した。なお同NFTPTは今回からWeb3PTへ名称変更している。
提言を行ったのは、ホットリンク代表取締役グループCEOの内山幸樹氏が代表世話人を務める勉強会「Web3.JP」のメンバーだ。会が開催された自民党党本部には内山氏(リモート参加)の他、アスターネットワーク(Astar Network)ファウンダーの渡辺創太氏、森・濱田松本法律事務所の増田雅史弁護士、Secured Finance AG共同創業者CEOの菊池将和氏が当日参加した。
なお「Web3.JP」は2019年にベルリンで開催された「Web3 Summit Berlin」(主催:Web3 Foundation)に参加した日本人メンバーが中心となり、日本にWeb3のコンセプトやその具体的な実装を広めることを目的として開始された勉強会だ。
また自民党からはWeb3PTの本部長を務める平井卓也議員や座長の平将明議員、塩崎彰久議員などの同PTメンバーらの他、関係省庁らが参加した。
今年3月に同PTが公開した「NFTホワイトペーパー」の提言により、岸田政権の「骨太方針2022」はWeb3の推進を謳うことになった。しかし今回「Web3.JP」は同ホワイトペーパーが国際競争の視点で不足している観点があるとし、提言を行ったとしている。
内山氏は「NFTホワイトペーパーは本当に重要な第一歩である。ただし世界の中で戦ううえでは、まだ足りない。今回はそれ(世界で戦うに)向けての提言を行った」と話した。
また同氏は「日本の中で閉じてしまうと人材・金・ルール・文化も足りないことが大前提の課題意識。日本の税制を変えるだけでなく、世界の人材・マーケット・市場を取り込むというのが提言の大きな背景となっている。これにより海外からの遅れを取り戻す提言を行った」と説明した。
今回の提言(概要下記参照)を受けWeb3PTでは、ヒアリングを重ね「NFTホワイトペーパー」のバージョンアップを行うとした。なおホワイトペーパーの取りまとめの今後の流れとしては、運用できるところから対応していき、年末の税制議論へ向けるとのこと。9月に予定されている米国大統領令への対応など米国のスタンスもフォローアップしてまとめていくとのことで、具体的な日程は未定だと平氏は話した。
今回の提言を行ったことについて渡辺氏は「この分野は新しい領域だからこそ、行政と民間が手を取り合い良い落としどころを見つけるのが非常に重要。日本にとってWeb3はチャンス。この領域でしっかり制度および結果を出していくことが非常に重要であることを再確認できた。実りのある会だった」とコメントしている。
「あたらしい経済」編集部からPTへ質問
–提言の中に新規暗号資産の取り扱いの原則自由化に向け、政策スタンスを事前記載型(ホワイトリスト方式)から事後監視型(ブラックリスト方式)へ転換するとありますが、投資家保護の観点から金融庁は難色を示していないのでしょうか?
平議員:「金融庁は以前よりも前向きな印象。ただし暗号資産をホワイトリスト方式からブラックリスト方式へ転換するのは日本ではかなりハードルは高い。そのため実際進めるとなると本質的なのは上場までの時間短縮になるかと思います。運用の仕方でかなり改善はできると考えれます。運用のところではかなり具体的に検討を進められるような感触を得ました。
またデジタル社会推進本部副本部長で元法務大臣の山下貴司議員も参加されましたが、特に強力に推し進めるような発言をされていました」
また平議員の回答に続き、ホットリンク内山氏は『今回参加してみて非常に心強いと思ったのが、省庁の方々からは如何に現状維持にしたいという意見がどうしても感じられました。しかしそれに対して政治家の先生方が「そんなことじゃダメじゃないか」と声をあげて強く後押しをしてくださったのは、我々ベンチャー側としてはものすごく心強い。本当に嬉しかったです』とコメントを重ねた。
提言の概要
今までのホワイトペーパーのコンセプト「日本のWeb3の【個別具体的】環境改善(税制改革、法改正・法整備)」から新たに「①世界のWeb3のエコシステムの中に入り込み、世界の人、金、情報を活用し、グローバル市場のWeb3イノベーションの果実を掴む②国内の個別的なルール整備に加え、ルール整備の考え方自体を転換する」を提言。
●提言の骨子
1.グローバルのエコシステムに主体的に加わるための提言
1-1.Web3人材の国際的な流動性の促進
1-2.資金のグローバルエコシステム内への投入
1-3.海外トップ人材の日本の戦略立案への活用
1-4.グローバルエコシステムとの交流促進
2.国内環境の整備に向けた提言 政策スタンスの事前規制型から事後監視型への転換
●施策案の一部
1.グローバルのエコシステムに主体的に加わるための提言
1-1.Web3人材の国際的な流動性の促進
・Web3を積極推進する国・都市と提携を結び、その国・都市のスタートアップで働くor起業する者へのVISA取得をしやすくする。
・日本非居住者になっても、銀行・証券口座を解約しなくても済むようにする。
・Web3分野に従事する外国人に対するVISA発行条件の緩和 等 1-2.資金のグローバルエコシステム内への投入。
1-2.資金のグローバルエコシステム内への投入
・1兆円規模の国家資金を、日本を含めた世界のWeb3スタートアップへの投資に重点的に振り向けることで、Web3業界における日本のプレゼンスを向上させる。
・有価証券と同様、短期売買目的で保有するトークンに限って期末時価評価による課税を行うこととし、原則として保有しているだけで課税される状況を生まないようにする。
・金融商品取引法における投資家区分のように、リスクベースでの段階的な規制枠組みを導入するなどして、事業者や一定の資産を有する個人に対するトークンセールは暗号資産交換業に該当しないようにする。
1-3.海外トップ人材の日本の戦略立案への活用
・政府のWeb3戦略顧問にVitalik Buterin氏などグローバルなパブリックブロックチェーンその他著名なプロジェクトの創業者クラスの人材を招聘する(グローバルのWeb3人材が国のWeb3戦略に深く関与する事例は他国においてない為先行の余地あり)。
1-4.グローバルエコシステムとの交流促進
・国内外のWeb3スタートアップの情報が一括して得られる、Web3スタートアップの集約拠点を開設する
・政府自身が、Web3イベントを視察し、知見を蓄積する。
・政府自身、又は関係者と協働してイベントを開催し、経験の蓄積と対外広報し、イベントのグローバル化を志向する。
・簡易な手続きによるWeb3イベントへの補助金制度を新設する。 等
政策スタンスの事前規制型から事後監視型への転換
・Web3に関わる規制を原則として事前規制型(ホワイトリスト方式)から事後監視型(ブラックリスト方式)に転換する。
・実務上も届出のみによって新規暗号資産の取り扱いを認め、例外的に問題のあるもののみを禁止する(ブラックリスト方式)。
提言書はこちら(https://www.hottolink.co.jp/download/pdf/220831_Web3JP_tsuikateigen.pdf)
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参照元:ニュース – あたらしい経済