イーサリアムの「The Merge・ETHS・ETHW」とは?暗号資産取引所の対応方針まとめ


イーサリアム(Ethereum/ETH)の大型アップグレードである「The Merge(マージ)」の概要や、ハードフォークによって誕生する可能性のある「ETHPoS/ETHS」や「ETHPoW/ETHW」、各種暗号資産取引所のETHアップグレード対応方針などを初心者向けにわかりやすく解説します。

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イーサリアムの「The Merge」とは?

Ethereum-ETH-TheMerge

イーサリアム(Ethereum/ETH)の「The Merge(マージ)」とは、イーサリアムで採用されているコンセンサスアルゴリズム(取引承認・合意形成の仕組み)を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work/PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake/PoS)」へと移行する大型アップグレードであり、、イーサリアムの歴史上最も重要なアップグレードとしても注目されています。

PoSは仮想通貨業界で人気の第三世代ブロックチェーンでも広く採用されている環境にも優しい高性能なコンセンサスアルゴリズムであり、「PoWに比べて消費エネルギーを99%削減できる・51%攻撃への耐性を強化することができる・トランザクションが覆る可能性をさらに下げることができる・ブロック生成時間を安定させることができる」など様々なメリットがもたらされると期待されています。

「The Merge」の実施日時は正確には確定していないものの、イーサリアム財団は8月24日の発表で「The Mergeが2022年9月10日〜20日の間に実施される予定であること」を正式に発表、具体的にはマイニングの最終合計難易度(Terminal Total Difficulty/TTD)が「58,750,000,000,000,000,000(2022年9月15日頃になる予定)」に到達したタイミングでマージが実行されることを報告しています。

※TTD到達のリアルタイム予想は「Bordel.wtf」や「797.io/themerge」のウェブページで確認可能

なお、イーサリアムの「The Merge」に関しては『ガス代が安くなる・取引が著しく速くなる・ステーキングAPRはマージ後3倍になる』などのメリットがあるとの意見が一部で出ていますが、イーサリアム財団は2022年8月17日に公開した記事の中で『そのような認識は全て誤解である』ということを説明しています。

ハードフォークで「ETHS・ETHW」分岐の可能性

イーサリアムの大型アップグレード「The Merge」が実施されることによって、現在のイーサリアムはPoSを採用した新しいイーサリアムへと移行する予定となっていますが、現在は「イーサリアムのPoS移行後に現在のイーサリアムの演算能力を他ブロックチェーンの支援に回す」「イーサリアムのハードフォークを行なってチェーン分岐後もPoWを使い続ける」という2つの意見が出ているため、ハードフォークによってETHが2つのチェーンに分裂する可能性があると言われています。

分岐が発生しなかった場合はPoS版イーサリアムが「ETH」として利用されていくことになると予想されますが、分岐が発生した場合には「PoS版イーサリアム(ETHPoS/ETHS)」と「PoW版イーサリアム(ETHPoW/ETHW)」という2種類のイーサリアムが誕生することになります(※ETHPoS/ETHS・ETHPoW/ETHWなどの呼び方は取引所によって違いがあります)。

もしもイーサリアムが「ETHS」と「ETHW」に分裂した場合、既存のETH保有者は「ETHS」と「ETHW」の両方を受け取れる可能性がありますが、実際に両方の通貨を受け取れるかどうかは「取引所やウォレットなどのサービスプロバイダーの対応次第」となるため、両方の通貨を確実に受け取りたい場合には、自分がETHを保管している取引所・ウォレットなどの対応方針をしっかりと把握して、適切な場所でETHを保有しておく必要があります。

このような状況を受けて、国内外の暗号資産取引所などからは「The Merge」や「ETHPoW/ETHW」への対応方針が続々と発表されているため、以下の項目では各取引所発表内容をまとめています。

取引所の「The Merge・ETHW」対応方針一覧

Huobi Japan(フォビジャパン)

  • PoSへのアップグレードプランを尊重する予定
  • フォーク時に無料配布されるトークンの対応を検討
  • 分岐時にはマージ前にETHの保有量記録(スナップショット)を実施
  • ハードフォーク成功時は1:1の割合でETHが”ETHS”に自動変換され、ETHという名称が取引市場から削除される可能性がある
  • ハードフォークしない場合は”ETH”のトークン名称を使用し続ける
  • ETHWの取扱いについては現時点で未定
  • ETHWの取扱承認が得られなかった場合はETHWの付与/相当額の現金交付ができない可能性あり

bitFlyer(ビットフライヤー)

  • ETHPoWが誕生した場合は、ETHPoWトークンの価値・ユーザーからの要望などを注視し、状況によってはETHPoW現物での付与・取扱い/価値相当額の現金交付を検討

bitbank(ビットバンク)

  • イーサリアムのアップグレードThe Mergeに対応する
  • 現時点でのETHWの取扱いは未定
  • ETHWの取扱いを開始するためには、社内でのリスク評価や日本暗号資産取引業協会の規則に沿った手続きが必要
  • ビットバンクはETHWの発生時点でユーザー資産のスナップショットを取得する
  • ETHWを取扱わない場合はETHWの付与も行わない
  • チェーンの分岐で取得したETHWはコールドウォレットで厳重に管理する
  • 対応方針に変更がある場合は改めてお知らせする

FTX Japan

  • マージ前に取引停止をしたりする予定はなく、ユーザーが問題なく取引ができるようサポート
  • ETH-PERPについてはETH PoSの価格を参照
  • フォークコインはリスク評価をし、取扱う場合は協会規則等に則り申請し、スナップショットしたユーザー口座の現物ETH残高に応じて順次付与を行うことを検討
  • フォークコインを取扱わない場合はフォークコインの付与も行わない方針
  • マージ後のティッカー「ETH」はETH PoSを参照

SBI VCトレード(SBI VC Trade)

  • PoSに移行したETHは継続して取扱予定
  • ETHWはThe Merge後のETHWの状況を注視した上で、ETHWの取扱・ETH保有者への付与等を検討
  • ETHWの取扱いについてはETHWの流動性の確保や日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の承認の手続きを行う必要があり、関係各所との連携を図っていく
  • ETHWの発生時点、及び「The Merge」の際に、一時的にイーサリアム(ETH)の入出庫を停止する予定

DMMビットコイン(DMM Bitcoin)

  • ETHの入出金受付制限を実施(受付制限の実施時間は後日報告)
  • カバー先の取扱い状況に応じて、ETHやERC-20トークン(ETC・OMG・ENJ・BAT)の取引を一部制限する可能性あり(取引制限の有無・実施時間については後日報告)
  • 現時点でETHWの取扱いは未定
  • アップグレード実施時点で現物ETHのスナップショットを実施予定

BINANCE(バイナンス)

  • 日本時間9月6日20時にETHとERC-20トークンの入出金を停止(Bellatrixアップグレード)
  • 日本時間9月15日9時にETHとERC-20トークンの入出金を再び停止(Parisアップグレード)
  • 分岐しなかった場合はETHとERC-20トークンの入出金をできる限り早く再開
  • 分岐した場合はPoS版イーサリアムで「ETH」のティッカーを使用
  • Parisアップグレード前のスナップショットに基づいて、1:1でフォークトークンをユーザーに付与し、出金にも対応
  • フォークトークンの新規上場については通常のリスティング基準をもとに審査
  • ETHとERC-20トークンの現物・マージン・先物取引はアップグレードの影響を受けずに利用可能
  • ETHクロス・分離証拠金の借り入れを日本時間9月14日9時〜9月16日9時まで停止予定

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参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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