メタバースはまだリモートワークに適していないのか
多くのメタバースは、エンターテイメントやゲーム業界での需要が高まっている状態です。
しかし、コロナウイルスによるパンデミックが始まって以来、リモートワークのツールとしてのメタバースに関心の目が向けられるようになりました。
一部の企業ではメタバースの開発に数十億ドルを投資しているほど期待が寄せられています。
今回の記事では、コーブルク大学、ケンブリッジ大学、プリモルスカ大学、およびマイクロソフトリサーチの研究者によって行われた、メタバースに仮想オフィスを設置して働いてみるといった研究と、この研究から見えたメタバースにおけるリモートワークの可能性を紹介していきます。
メタバースの労働環境
コロナウイルスによるパンデミックによって、リモートワークを取り入れる企業が劇的に増加しました。
水を得た魚のごとくリモートワークに適応していった人もいれば、複数人で行う作業の取り組みにくさやコミュニケーションの欠如などを感じて難しいと思った人もいるでしょう。
リモートワークの導入が始まって以来、多くの人が抱えている疑問は、リモートワークが物理的な距離を超えて、より一体となって機能するためにはどうすれば良いのかということです。
社会との関わりやリモートワークによる労働を対面同様に感じさせるにはどのように改善するかが開発の焦点となっています。
昨年行われたマーク・ザッカーバーグによるメタバースに関するプレゼンテーションでは、VRを使用してこれらの疑問に答えようとし、ビジネス会議や教育目的でのテクノロジーの利用方法について発表しました。
ザッカーバーグは、いつでも、誰とでも一緒にいられるようにすることを目指していると説明し、人々はより効果的に共同作業ができ、生産性が高まることを期待していると明かしました。
Global Cultureの調査によると、人々はリモートで作業するときは単独の作業での生産性はありますが、共同作業に関しては生産性がはるかに低くなると感じているという結果がでています。 この問題を解決することがメタバースの完璧な課題解決につながるとみています。
メタバースは仕事にどのような影響を与えるか
メタバースが仕事にどのように影響するのかを調査するために、16人の労働者がメタバースで1週間働くという実験が行われました。
コーブルク大学、ケンブリッジ大学、プリモルスカ大学、およびマイクロソフトリサーチの研究者は、メタバースに仮想オフィス環境を設定することにより、可能な限り現実的な体験をシミュレートしようとしました。
発表されたレポートによると、通常の環境と一般的なメタバースの構成で、通常と同様に週40時間の作業のなかで、これらの人々の仕事パフォーマンスの比較が行われました。
結果、被験者のうち50%が「目に疲労を感じた」、42%が「挫折を味わった」、11%が「不安を感じた」といったような、メタバースでの仕事に対して多くの否定的な意見が挙げられました。
そして被験者は、全体的に通常の対面で行う仕事よりも生産性が低いと感じていると報告しました。
さらに、今回の研究でのポイントは、参加者のうち2人がメタバースで1日ですら過ごすことに耐えられなかったということです。
これは、快適さの欠如や片頭痛など、複数の要因が原因で発生しました。
メタバースの可能性
メタバースの可能性に期待している人も多くいると思われますが、実際はテクノロジーはまだ初期段階にあるということを念頭に置いておく必要があります。
メタバースを効果的に使用する方法を発見するには、まだ時間がかかりそうであるというのが現状です。
最後に
メタバースは私たちの働き方を変える可能性を秘めていますが、実現はまだ先の話になりそうです。
私たちは忍耐強くそのときを待ち、長期的にテクノロジーの進化と成長を進める必要があります。
それまでの間、リモートワークの構造や環境の改善に取り組み続け、開発が進むうえでメタバースを効果的に使用する方法がさらに見えてくることでしょう。
マーク・ザッカーバーグによるメタバースのプレゼンテーション:
元記事:https://nftnewstoday.com/2022/06/29/is-the-metaverse-suited-for-remote-work-yet/
参照元:NFT Media