「仮想通貨を禁止する意図はない」パウエル議長が前言取り消し

「仮想通貨を禁止する意図はない」パウエル議長が前言取り消し

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、暗号資産(仮想通貨)の利用を禁止もしくは制限する意図はないと、9月30日の下院金融サービス委員会で言明しました。同議長はまた、ステーブルコインと中央銀行デジタル通貨(CBDC)についてコメントを出しています。

パウエル議長がステーブルコイン禁止の意図を完全否定

ノースカロライナ州選出のテッド・バッド(Ted Budd)議員は「政策問題として、あなたは中国と同様に仮想通貨の利用を禁止もしくは制限する意図はあるか?」と質問しました。パウエル議長は実は7月14日の同委員会で、CBDCとステーブルコインやその他仮想通貨に与える影響について質問されて、「米国がデジタル通貨を保有することになれば、ステーブルコインやほかの仮想通貨を必要としないだろう」と答えていました。

今回の公聴会でパウエル議長は「ノー」と即答しました。同議長は、7月発言は言い間違いだったことを認め、「その際の発言から仮想通貨の言葉を削除する」と答えました。バッド議員は、パウエル議長の回答は明白ではないと述べ、さらに「禁止する意図はないか?」と再質問、同議長は直ちに仮想通貨を禁止する意図はないと明言しました。

パウエル議長は改めて、ステーブルコインについて話を進めて、「ステーブルコインは、マネーマーケット・ファンドのようなものである。銀行預金と類似しているが、規制の基準対象外にあり、同じ活動、同じ規制によって制約されるのが適切だ」と述べています。

超党派議員がパウエル議長にイノベーション支持を呼びかけ

ちなみにマネーマーケット・ファンドとは、米国で広く普及している貯蓄性のある短期投資信託のことです。10月1日付のウォール・ストリートジャーナル紙によると、バイデン政権はステーブルコインの発行元を銀行のように規制することを模索していると報じています。

時を同じくしてトム・エマー(Tom Emmer)議員はじめ一部の民主、共和両党の超党派議員は、仮想通貨に規制努力についてパウエル議長にいくつか質問をする文書を送り、仮想通貨のイノベーションを支持するよう呼びかけています。議員らは仮想通貨のイノベーションを求める背景として、国民が日常的に投資家になりうる力を付けることが最優先であると述べています。

デジタル資産政策のガイダンスづくりに規制当局者間の調整強く求める

エマー議員は、「FRBは国内のイノベーションを支援するため働かなくてはならず、米国政府は、イノベーションを妨害するような仕事に従事することは決してあってはならない」と述べています。

仮想通貨は連邦準備制度(FED)、米国証券取引委員会(SEC)はじめ金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、商品先物取引委員会(CFTC)など、多くの規制当局による規制の対象になっています。超党派議員の文書は、仮想通貨などデジタル資産政策ガイダンス作りに規制当局間の調整を強く求めています。文書はパウエル議長に2021年10月15日にまでに質問に対する回答をするよう求めています。

参考
Federal Reserve Chairman Powell Says No Intention to Ban or Limit Use of Cryptocurrencies
US Lawmakers Urge Fed Chair Jerome Powell to Support Crypto Innovation

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参照元:CoinChoice

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