Gaudiyとコミックスマートがブロックチェーンを利用してユーザーがデータを所有する電子書籍事業の実証実験を今夏開始

Gaudiyとコミックスマートがブロックチェーンを利用してユーザーがデータを所有する電子書籍事業の実証実験を今夏開始

株式会社Gaudiyがマンガアプリ「GANMA!(ガンマ)」を手がけるコミックスマート株式会社と業務提携したことを7月14日に発表した。この提携により両社はブロックチェーン技術を利用した、ユーザーがデータを所有することのできる新しい電子書籍事業を共同で推進するとのこと。

なおこのデータ所有型電子書籍の事業は、今年夏を目処に一般ユーザー向けに実証実験の開始を予定しているとのことだ。

この事業ではデータの不正コピーを防止しつつ、ユーザーが電子書籍自体の所有権を持つことを実現するために、ブロックチェーン技術を利用して自律分散型の流通システムを構築・提供をするとのこと。

現在流通している電子書籍の多くは、データの不正コピーを防止するために書籍の「データ自体」ではなく「読める権利」をユーザーが購入する仕組みになっており、その権利は電子書籍を提供する事業者ごとに独自の仕様が使われている。そのためユーザーは事業者が指定した端末やビューワー上でしか書籍の閲覧ができず、またデータ移動や中古販売をすることができない。さらに事業者がサービスを終了した場合には閲覧ができなくなる可能性もある。また電子書籍のデータを所有できないことで紙の書籍ならではの体験が薄れているとのことだ。

そこで両社はデータ所有型電子書籍により、ユーザーが事業者の都合に左右されずに書籍を所有・閲覧することができ、紙の本と同様に書籍を売買できるようにする。また電子書籍が二次流通市場で売買された場合でも、権利保有者(出版社、作者など)に適正な収益を還元する仕組みも実現をするとのこと。

さらにこのデータ所有型電子書籍では、Ethereum(イーサリアム)を利用することでEthereum上で発行されるNFT(Non-Fungible-Token:ノンファンジブルトークン)として個々の書籍を発行するとのこと。これにより「電子書籍内のコンテンツにのみ作者のサインをつける」「初版で購入した人限定の書籍を販売する」「本編の内容を販売後に追加・変更していく」などの体験を実現をするとのこと。

またNFTを利用して電子書籍の所有権を管理することで販売者やプラットフォーマーの影響を受けることなく、世界中のマーケットで自由に書籍の売買を行うことができる。また個別の端末へデータをダウンロードする際には、購入したユーザーが保有する秘密鍵で暗号化を行うことで「データの所有」と「不正コピーの防止」を同時に実現する仕組みになるとのこと。

なおGaudiy社の調べによると、「パブリック・ブロックチェーン(Ethereum)を活用する所有権の提供」と「書籍データを暗号化した上で各自が所有できる形式」を両立する電子書籍の実現は世界初の試みになるとのことだ。

編集部のコメント

株式会社Gaudiy(ガウディ)は2018年5月に設立されたブロックチェーン関連企業です。過去には株式会社LIXILや博報堂、毎日新聞社とブロックチェーンに関する共同実験を行っています。

マンガ×ブロックチェーンについては、今年3月に株式会社ナンバーナインが株式会社TARTと共同でブロックチェーン技術を用いた漫画・画像のデジタル所有権を扱う実証実験を開始しています。この実証実験ではイーサリアム基盤の漫画家応援プラットフォーム「CANDL」を通してマンガファンがイラストのデジタル所有権を購入し漫画のオーナーになることができる。漫画オーナーには漫画の収益の一部が還元されるという試みです。

またあたらしい経済では特集「コンテンツビジネスの未来」の中で、ブロックチェーン技術を活用した電子書籍コンテンツの販売についての記事が公開されています。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/antoniokhr)

参照元:ニュース – あたらしい経済

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