オランダ銀行:ユーロ圏の「中央銀行デジタル通貨開発」に前向き姿勢
オランダの中央銀行である「オランダ銀行」は、2020年4月21日に公開した記事で『オランダ銀行は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発で主導的役割を果たすことを望んでいる』と語り、CBDC開発に前向きな姿勢を示しました。
こちらから読む:デジタル人民元、5月からテスト運用開始か「CBDC」関連ニュース
中央銀行デジタル通貨の利点を強調
オランダ銀行は2020年4月21日に公開した記事の中で『中央銀行デジタル通貨(CBDC)は”非現金決済の後ろ盾”として機能するだけでなく、決済市場の多様化を促進することができ、国境を超えた支払いを効率的にする可能性がある。さらには金融システムが不安定な時に信頼を育むのにも役立つ。』と説明し、CBDCに大きな可能性を感じていることを明かしました。
オランダ銀行はCBDCの発行が検討されている理由として「現金の利用者数が減少してきていること」と「Libraのようなステーブルコインが登場したことによって、現在の決済システムに欠陥があることが判明したこと」の2つを挙げており、現金利用者に関しては、”オランダでも明らかに減少している”と報告しています。
“CBDCを導入すれば決済システムをよりスムーズにすることができる”と述べているオランダ銀行は『原則としてCBDCに前向きな姿勢をとっている』と説明していますが、その一方では”CBDCは銀行のリスクを悪化させる可能性もある”とも述べており、『金融危機が訪れた場合などには市民や企業が銀行の残高をCBDCに交換しようと殺到する可能性があるため、CBDCの循環量を制御するための対策を講じることは非常に重要である』と説明しています。
CBDC開発で「主導的役割」を望む
仮想通貨業界では、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨が法定通貨に置き換わることを望む意見も出ていますが、オランダ銀行は『私たちは一般的に使用されるいくつかの”公的な通貨”は存在し続けなければならないと信じている』と述べており、「取引手数料の削減」や「送金の効率化」に役立つデジタル通貨の可能性を支持しつつ、中央銀行が管理するCBDCの必要性を訴えています。
オランダ銀行はCBDC発行に対して意欲的な姿勢を示していますが、それと同時に『まず必要なのはユーロシステム内とオランダの両方でCBDCに関する詳細な政策議論である』とも述べており、実際にCBDCを発行する前にはユーロ圏全体で議論を行い、ヨーロッパでの規制導入が必要になる可能性もあると説明しています。
最終的な結論としては『オランダ銀行はCBDCの開発で主導的な役割を果たすことを望んでいる』とされており、『ユーロシステム内で”より具体的なCBDCのテストを実施する”という決定が下された場合、私たちは主導的な役割を果たす準備ができている。オランダはそのような実験に適した実験場を提供する』と説明されています。