■米ドル/円は英国国民投票やバーナンキ来日に翻弄された 今回は、米ドル/円の分析を行なう。まずは、日足チャートをご覧いただきたい。
昨年(2016年)の6月23日(木)に実施された「英国の国民投票」を材料に、米ドル/円は、大きく乱高下をした。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
「英国の国民投票」の結果が、事前の予想に反して、「英国のEU離脱」に確定すると、それを材料に、米ドル/円は急落して、99.00円割れ(98円台後半)の安値を付けた。
99.00円割れ(98円台後半)からは、103円台までリバウンドして、そして、再度100.00円割れ(99円台後半)を見ている。
この2度目の100.00円割れ(99円台後半)から、米ドル/円は、107円台に大きく上昇している。
大きく上昇した理由は、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が来日した際に、同氏が安倍首相、黒田日銀総裁と会談をしたことから、日銀が追加の金融緩和策を打ち出すのではないか、といった思惑が広がったこと、と考える。
■2016年11月にボックス相場を上抜けし、その後ターゲット達成 昨年(2016年)の6月頃からの米ドル/円は、ボックス相場「茶色の破線」を形成していた、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「茶色の破線」の上限は108.00円近辺、下限は99.00円近辺、と考える。
日足チャートを見てのとおりに、ボックス相場「茶色の破線」の上限(108.00円近辺)を上抜けして、「買いシグナル」を発した、と考える。
この「買いシグナル」に従い、相場は大きく急騰している。
ボックス相場を上抜けした場合のセオリーでは、ボックス相場の上限から、ボックス相場の値幅分を上昇したところがターゲットになる。
ボックス相場「茶色の破線」の上限が108.00円近辺で、ボックス相場「茶色の破線」の値幅が約9円であるから、ターゲットは、117.00円近辺になる。
日足チャートを見てのとおりに、すでにターゲットを達成した(「茶色の破線(両端矢印)」で表示した)。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
米ドル/円は、上述のターゲットを達成してからも上昇を続けて、118円台の高値を付けている。
■トランプ政権の貿易不均衡是正が米ドル安・円高圧力に しかし、118円台の高値を付けてからの米ドル/円は、下落に転じている。
米国のトランプ政権が、貿易不均衡を是正するために、米ドル安・円高政策を採るのではないか、といった思惑が働いていた、と考える。 米ドル/円は、ボックス相場「ピンクの破線」を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「ピンクの破線」の上限は118円台ミドル程度、下限は111円台ミドル程度、と考える。
米ドル/円は、このボックス相場「ピンクの破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い、米ドル/円は、108.00円近辺まで下落した。しかし、108.00円近辺からは、反発(上昇)に転じている。
109円台では、「窓(Gap)」を開けて、上昇している。
それで、現在の米ドル/円は、一回り大きなボックス相場「紫の破線(太線)」を形成中、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「紫の破線(太線)」の上限は118円台ミドル程度、下限は107.00円近辺、と考える。
次に説明するボックス相場「緑の破線」の下限を、108.00円近辺から107.00円近辺に修正した。
その結果として、一回り大きなボックス相場「紫の破線(太線)」の下限も107.00円近辺に修正した。
■現在は107円近辺-114円台半ばのボックス相場を形成中 現在の米ドル/円は、ボックス相場「緑の破線」を形成中、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「緑の破線」の上限は114円台ミドル程度、下限は107.00円近辺、と考える。
従来は、このボックス相場「緑の破線」の下限は、108.00円近辺と考えていた。
北朝鮮問題を材料に、リスク回避の思惑が強くなり、108.00円を割り込んで、107円台前半の安値を付けたが、9月9日前後に、北朝鮮がミサイルを発射しなかったことで、米ドル/円の買い戻しが強くなり、大きく反発(上昇)している。
それで、このボックス相場「緑の破線」の下限を、107.00円近辺と修正する。現在の米ドル/円相場は、ボックス相場「緑の破線」を維持している、と考える。
直近の値動きで、ボックス相場「緑の破線」の上限(114円台ミドル程度)を、上に抜けたのだが、一時的だったので、まだボックス相場「緑の破線」を維持している、と考える。
日足チャートを見てのとおりに、サポート・ライン「ピンクの破線」を表示した。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
このサポート・ライン「ピンクの破線」は、実際の相場に合わせて、その傾きを緩やかに修正している。
■現在のレジスタンスは114円台ミドル レジスタンス・ライン「赤の破線」を表示した。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
このレジスタンス・ライン「赤の破線」も、実際の相場に合わせて、その傾きを緩やかに修正している。
米ドル/円は、このレジスタンス・ライン「赤の破線」とサポート・ライン「ピンクの破線」で、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。
この「三角保ち合い(ウェッジ)」をブレイクした方向について行くことが、セオリーと考えていた。
日足チャートを見てのとおりに、レジスタンス・ライン「赤の破線」を上にブレイクし、「買いシグナル」を発した、と考える。
このところの相場では、113円台がレジスタンス(上値抵抗)になっていたが、10月22日(日)の衆院選で、政権与党が圧勝したことで、113円台ミドルを、明確に上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。
ただし、引き続き米ドル/円は、ボックス相場「緑の破線」を維持している。
現在の上値のレジスタンス(上値抵抗)は、ボックス相場「緑の破線」の上限(114円台ミドル)だ。
続いて、4時間足チャートをご覧いただき…