■米感謝祭を挟み、米ドルは一段安に 米感謝祭を挟んで、為替市場は動いた。米ドルの一段安だ。
ドルインデックス 1時間足(出所:Bloomberg)
薄商いに突っ込んだ投機的な動きなのか、それとも構造的な問題なのか。
肝心なのは、前回のコラムでも強調したように、米ドルの運命を左右するのは、やはり米長期金利(米10年物国債の利回り)の動向ということだ。換言すれば、「その他は二の次」という見方が、重要である。
【参考記事】
●米ドル高値トライ「三度目の正直」は失敗なのか? 米長期金利から真相を読み解く!(2017年11月17日、陳満咲杜)
実際、米ドルのユーロ、円、英ポンドなどの主要通貨に対する値動きと、米長期金利との相関性は、1990年代以降でもっとも高い水準にある、という統計が算出されているほどだ。
ゆえに、11月FOMC(米連邦公開市場委員会)におけるインフレ見通しの懸念、米税収改革案審議の遅れ、また、日銀早期「出口」戦略模索などの材料は、変動率は拡大させるものの、メイントレンドを決定するには至らないはずだ。米ドルの高安を決定するのはあくまで米長期金利であることを再度提言しておきたい。
■米ドル全体の反落が許容範囲であると考える2つの理由 最近の米ドル全体の強弱は、米長期金利の低下とほぼ連動しているから、今週(11月20日~)のドルインデックスの続落は「理屈どおり」だと思う。したがって、米ドルの反落自体はサプライズではなく、また、米ドル全体の反落があっても、なお許容範囲だと言える。
許容範囲にあるという結論は、以下の2つの視点において証左されよう。
まずは米ドル/円と米長期金利との比較だ。
米ドル/円VS米長期金利(10年物国債利回り) 週足(出所:Bloomberg)
比較チャートが示しているように、両者は2016年7月からほぼ連動して動いてきた。目先の米ドル/円の「深押し」も、米長期金利の反落とほぼ連動しており、これからも関連性を深めていくだろうと推測される。
もう1つは、ドルインデックスの代わりに、ユーロ/米ドルの週足チャートを確認しておきたい。なにしろ、ユーロ/米ドルはほぼドルインデックスと逆相関の関係にあるから、チャート上のポイントや示唆が逆の意味合いでほぼ同じだ。
ユーロ/米ドルは9月高値から先々週(11月6日~)安値まで反落してきたものの、先々週(11月6日~)の陽線引けを皮切りに反騰してきた。
ユーロ/米ドル 週足(クリックで拡大)(出所:FXブロードネット)
今週(11月20日~)も陽線引けの公算が高く、そうなれば、連続3週の上昇を果たすから、ブル(上昇)トレンドへ復帰する印象が強いのも事実である。
換言すれば、ドルインデックスがベア(下落)トレンドへ復帰する恐れがあるから、市場関係者は米ドルのロングに躊躇している状況が示唆される。
■週足では、米ドルの上昇基調を確認できない こういったセンチメントにつながるファンダメンタルズ上の材料以外に、やはりテクニカル上のポイントによるところも大きかった。
先々週(11月6日~)のユーロ/米ドルの安値は、GMMAの長期移動平均線グループ(ピンク)を意識しているように見え、また、2015年8月最終週の週足や2016年5月最初週の週足のローソク足が示した「上ひげ」の部分にいったん突っ込んだものの、その後反騰してきたから、元メインレジスタンスゾーンがサポートゾーンと化した、という見方につながる。
ユーロ/米ドル 週足(クリックで拡大)
(出所:FXブロードネット)
要するに、週足ではユーロ/米ドルのベアトレンドを確認できないから、米ドル全体におけるブル基調も確認できないわけだ。
ブル基調を確認できないなら、米ドルを「押し目買い」するのではなく、「戻り売り」の方へ回るのも「理屈に合う」判断と言える。
さらに、ウォール街が総じて米ドルに対する弱気見通しを…