米金利上昇でも米ドル安になった理由は? 出鼻をくじかれ、しばらく後遺症が残る!?
2018-01-11
世界の通貨VS円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)
円高の要因のまず1つ目は、日銀のオペレーションです。
日銀は1月9日(火)の午前10時10分に、国債買い入れオペを通告しました。対象は「残存10年超25年以下(買入予定額1900億円)」、「残存25年超(同800億円)」、「物価連動債(同250億円)」となりました。
超長期国債の買い入れ額を「残存10年超25年以下」、「残存25年超」で、それぞれ100億円、前回から減額させました。
この減額を見て、日本人は「特に大した意味はない」と冷静に受け止めていましたが、海外の市場参加者は、「テーパリング(※)開始のサインではないか」とか、「ステルステーパリングではないか」と大騒ぎし、一気に円買いをしてきました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
世界の通貨VS円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)
年初から円売りを積み上げていたので、その投げということだったと思います。
■米金利が上昇したのに米ドル安になったワケは? 2つ目は、中国に関する報道です。
翌10日(水)の海外市場で、米国の大手通信社ブルームバーグ(Bloomberg)が、「中国政府は米国債の購入の減額や停止を検討している」という内容を、中国政府関係者の話として報じました。
中国が米国の国債を買わないということになれば、米国債の価格は下落(金利は上昇)し、為替相場では米ドル安要因となります。
通常、米国の長期金利が上昇すれば米ドル高になるのですが、このケースは逆の関係になるということです。
海外のファンド勢を中心に、この報道を見て、さらに米ドルを売り込むことになりました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
この2つの報道を受けて、米ドル/円は113円台前半から111円台前半まで、2円ほど円高が進行。その他のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも円高が進みました。
【参考記事】
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
ところで、日銀のオペレーションに関しては…