ドル/円、下がらないけど上がりもしない 理由は? ユーロのカギ握るECBに注目!

■不安感が蔓延、相場が戻らない状態に… 北朝鮮情勢が緊迫化してきました。
 9月3日(日)に北朝鮮は、これまでにない大規模な核実験を実施しました。さらに、韓国の李洛淵首相は本日7日(木)、北朝鮮が9日(土)にICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射する可能性があると述べています。
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 こうした行動に対して、米国は現在、国連で北朝鮮向けの石油禁輸を検討しています。マティス国防長官からは、「平和的な解決を目指す」としながら、「軍事的行動のいくつかのオプションがある」という発言も出始めています。
 北朝鮮と米国のチキンレースが、ますます深刻化してきています。これからどうなっていくのか、政府関係者、専門家とて予測不能な状況になってきています。
【参考記事】
●米国と北朝鮮のチキンレースによる円高は一時的。雇用統計後、ドル/円は一段高か?(8月31日、今井雅人)
 これまでは、北朝鮮のミサイル発射はある程度のインターバルが空いていたため、市場は一時的に円高になっても、1日たつと元の相場に戻るという反応をしていました。
 しかし、事態が緊迫化してきたことで、次がいつ起きるかわからないという不安感が蔓延し、相場が戻らなくなってきています。
■しばらくは北朝鮮情勢の動向に左右される展開に 9月6日(水)に米国のトランプ大統領は、ハリケーン「ハービー」の被害救済法案に、連邦債務の上限適用停止を3カ月延長することと、政府運営資金の確保を抱き合わせることで議会指導部と合意しました。
 これにより、米ドルが一時的に買われ、米ドル/円も109円台を回復する動きとなりましたが、やはり戻りは弱いです。
米ドル/円 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
 北朝鮮情勢が重しになっています。こうなってくると、他の相場要因はあまり意味を持たなくなってしまいます。これからしばらくは、北朝鮮情勢の動向に左右される相場展開が続くでしょう。
■チキンレースが続く間は108円割れを回避しそう ただ、本格的な軍事衝突が起きなければ、それほど大きな動きとはなりません。
 今年(2017年)に入って、米ドル/円は108円を割り込んだことがありません。昨日も108円台では、日本の機関投資家がしっかり買いを入れていました。
 チキンレースの間は、米ドル/円が108円を割り込むようなことはないと考えています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●ドル/円は108円を割込み「売りシグナル」に!? 米金融政策は重要だが雇用統計は価値低下(9月6日、松田哲)
●北朝鮮にハリケーンなど、トランプ政権は難題山積! 米ドル逆襲のカギを握るのは?(9月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
 一方で、ここのところの米国の…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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