ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る! 今後、豪ドルが買われるとみる理由とは?
2017-07-21
2015年4月以来、もう6回目の先送りとなったが、ここまで来ると、もはや「デフレ心理の壁」に拒まれ、今回も期限内には達成できないのでは…といった市場センチメントの醸成につながり、額面どおりに受け止める市場関係者はいないだろう。
もしかしたら、黒田日銀総裁ご本人でさえ信じきれていないのでは…と思われても仕方ない。
しかし、前回のコラムでも述べたように、日銀政策そのものの功罪はともかく、目先の効果を考えてみると、必然的にまた構造的な円安の進行が予想されやすい。
【参考記事】
●調整は買いの好機! 黒田氏が日銀総裁である限り、円安トレンド継続に疑いなし!?(2017年7月14日、陳満咲杜)
日銀が物価目標の達成期限を再延長したことで、当面緩和策が続くので、その他の主要中銀のスタンスとの「背離」が一段と鮮明化し、円売りの安心感につながる公算が高いと思う。
■ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る もっとも、ドルインデックスに照らして考えると、米ドル全体の下落トレンドは一段と強まっている。
昨日(7月20日)のECB(欧州中央銀行)総裁の記者会見は「ハト派寄り」の内容だったにもかかわらず、ユーロは買われ、トレンドの強さを証左。このままでは、ドルインデックスは2016年安値へいったん逆戻りしてもおかしくなかろう。
ドルインデックス 週足(出所:Bloomberg)
よって、ユーロ/米ドルは2016年5月高値をブレイク、2015年8月の高値に再トライする勢いを見せている。再度高値更新があれば、一時的であるにせよ、1.2ドルの心理的大台の打診もあり得るので、当面強気変動が保たれるとみる。
ユーロ/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
もちろん、もうだいぶ上昇してきたので、何らかの形でいったんスピード調整の可能性も大きいが、スピード調整があるからこそ、トレンドはより健全化されるといったロジックはしばらく支配的であろう。
この意味合いでは、7月7日(金)の本コラムに書かせていただいた「ユーロは買うのみ」の見方は市場に証明され、これからもしばらく正論であり続ける可能性が高いだろう。
【参考記事】
●第二のトランプラリーはもう始まっている!? ユーロは買うのみ! 円安は追随するのみ!(2017年7月7日、陳満咲杜)
■「ロシアゲート」が日銀政策の効果を相殺したかのようだが… さらに、ドルインデックスの大幅続落、また、ユーロの続伸は、トランプ米大統領の「ロシアゲート」疑惑の一段拡大、そして、政策遂行の失敗(オバマケア改廃案の挫折など)につられた側面も大きい。
だから、米ドル/円は執筆中の現時点で111円台後半に留まり、日銀政策の波及効果が「ロシアゲート」疑惑に「消された」ように見えなくもない。米ドル全面安の進行で、やがて円安の傾向も消されるだろうか。
そもそも米ドル安の背景には、昨年(2016年)年末の「トランプ・ラリー」がもたらした米ドルの「オーバーボート」があったことは見逃せない。
言ってみれば、割高になるまで米ドル高が進行していった結果、その大きな修正が行われ、それが足元まで続いているわけだ。この視点を重視する場合、「ロシアゲート」など政治的な要素は二の次で、メインテーマはやはり、金融政策の相違や金利差に関する思惑にあるだろう。
よって、ユーロの切り返し自体はECBの金融緩和見直しが間近であることがきっかけであったが、その大きな背景として「割安」に対する修正があることは確かだ。
修正のトレンドが一段と強まっているなら、今回は修正の値動き自体がやがて行き過ぎになる可能性があるので、ユーロ高が一段と進むと、リスク要素としてこの点も注意する必要に迫られるが、目先はまだそこまでの状況ではないと思う。
が、重要なところは、金利差の優位性は米ドルにあるが…