英国国民投票はなぜ、英ポンドだけでなく、 豪ドル/円や米ドル/円にも影響するのか?
2016-06-02
安倍首相が消費増税延期を発表するという報道を受け、米ドル/円は一時、111円台ミドルまで急騰しました。
多くの日本の市場参加者にとって、消費税増税延期はコンセンサスどおりなのですが、欧米勢には一定のサプライズを与えたようです。
【参考記事】
●イエレン発言で米利上げ観測が高まったが常識的に考えれば、6月米利上げはない(5月31日、西原宏一&松崎美子)
ただ、以前のコラムでご紹介したように、米ドル/円の110~115円では、社内レートを引き下げた本邦輸出企業からの米ドル売りが断続的に持ち込まれており、上げ止まり。
【参考記事】
●米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?(5月19日、西原宏一)
引き続き、米ドル/円の110円台より円安のエリアは、彼らにとって米ドルを売る好機。
米ドル/円 日足(出所:CQG)
■ポンド/円が35円以上急落したあと、いよいよ英国国民投票 今週(5月30日~)に入り、6月がスタート。もう今年(2016年)も半分が終わろうとしていて、月日が立つのは早いですね。
ともあれ、6月はビッグイベントが目白押しで、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合、そして過去半年間、毎日のように話題になっていた、「英国がEU(欧州連合)を離脱すべきかどうか?を問う国民投票」が6月23日(木)に実施される予定です。
このコラムでも今年(2016年)の最重要通貨ペアであり、急落する可能性が高いとご紹介させていただいた英ポンド/円ですが、昨年(2015年)後半から大暴落し、188円台から151円台へ、あっという間に35円以上も急落。
【参考記事】
●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)
英ポンド/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)
そして、注目される英国の国民投票まで、あと3週間と迫りました。
Brexit(英国のEU離脱)リスクを織り込む展開で、2016年前半は急落を続けてきた英ポンド。
英ポンド/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
結果、仮にBrexitとなった局面でのリスクヘッジとして行う最低限の英ポンドのヘッジという作業は終了。
■新たな造語「Bremain」とは? そして、現在は「Bremain(イギリスのEU残留、Britain【英国】とRemain【残留】を組み合わせた造語)」という言葉も登場。
マーケットはBrexitのリスクを織り込んで進んできたわけですので、Bremainとなれば、逆に英ポンドが急騰するリスクも出てきたわけです。
結果、国民投票までの英ポンドは、ヘッドラインリスクによって乱高下する展開が続きそう…。
英ポンド/米ドル 日足 (出所:CQG)
実際、今週(5月30日~)の英ポンドは乱高下。先週(5月23日~)まで、Bremainの可能性の高さに注目が集まり、英ポンドは底堅く動いていましたが、5月31日(月)に発表された、調査会社ICM実施の世論調査で、Brexitリスクが高まると一気に急落。
英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
英国の国民投票実施日までの今後3週間の英ポンドは、このようなヘッドラインリスクに翻弄される展開が続きそうなので、注意してトレードするのが肝要。
つまり、2016年前半の英ポンド/円の急落のような簡単な相場は終わったと認識したほうが良さそうです。
一方、気になるのが日米の株価の動向…