米ドル/円は、下値余地がさらに拡大中! 利上げに出遅れた米国では、3月のFOMCで 50bp(0.5%)の利上げが必要との見方も

ナスダック総合指数の下落が止まらない。FRBは3月に0.50%の利上げが必要との見方も みなさん、こんにちは。
 今週(1月17日~)の金融市場の注目はナスダック総合指数!
 年初から、ナスダック総合指数の下落が続いており、19日(水)も1.1%下落し1万4340ポイントでクローズしています。
ナスダック総合指数 日足(出所:TradingView)
 この要因は、米金利の続伸。
 米10年債利回りは、19日(水)にはついに1.9006%まで上昇し、2.00%に迫るレベルに達しています。
米長期金利 日足(出所:TradingView)
 金利先物市場では、米国の年4回の利上げを織り込みつつありますが、これでは不十分との意見が増えています。
 そして、一部のマーケットの関係者の間では、3月に50bp(0.5%)の利上げが必要との意見も台頭。
FRB出遅れ、3月、50bp利上げ必要にも-パインブリッジのスリム氏
出所:Bloomberg
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FRBの思い切った利上げとQTはナスダック総合指数にネガティブ。下落はまだ始まったばかりか 米国在住の友人達は誰一人違わず、米国ではインフレが急騰しているにも関わらず、「なぜFRBはインフレは一過性であるとの意見を変えないのかが理解できない!!」との見方をしていました。
 そうした中、インフレ高騰により、支持率が急降下したバイデン政権がインフレ抑制を示唆。
 結果、FRB(米連邦準備制度理事会)が動きだすという最悪の事態で、パウエル議長はようやくインフレ抑制に踏み出しました。前述の記事にあるように、出遅れたことにより信頼を失ったFRBがインフレを抑制するのはかなり難題です。
 もちろん、一気に利上げすればインフレに対して効果的ですが、当然、米国株の急落を誘引します。
 一方、25bp(0.25%)で刻んでばかりいてもなかなかインフレを抑え込むことはできません。
 つまり、インフレを封じ込めなければバイデン政権の支持率は急落しますが、中間選挙を控え、米国株が急落してもバイデン政権のマイナスになります。
 一方、米国の雇用は好調です。
 結果、パウエル議長率いるFRBは、株の下落はある程度容認するかわりに、インフレを抑え込むために「思い切った利上げとQT(量的引き締め)」という選択をするしかないとの見方が拡大。
 これは構成銘柄にグロース株が多いナスダック総合指数には極めてマイナスです。
 結果として、ナスダック総合指数の下落はまだ始まったばかりともいえます。
ナスダック総合指数 日足(出所:TradingView)
原油急騰の裏にヘッジファンドの存在。100ドルに向けて続伸なら、FRBはさらなるタイトニングに迫られる ナスダック総合指数の続伸に加え、今週(1月17日~)、マーケットの注目を集めているのが原油。
 FRBがインフレの封じ込めに苦心しているところに、インフレ高騰に油を注ぐように原油が急騰していることがマーケットを不安定にしています。
 なぜなら原油が100ドルに向けて続伸すれば、FRBはさらなるタイトニング(引き締め)を考えざると得ないということになるからです。
WTI原油先物 日足(出所:TradingView)
 その原油高騰の裏には、ヘッジファンドの存在があるようです。
インフレや金利上昇、テクノロジーを中心とした株安という環境を乗り切る上で、ヘッジファンドは今、昨年11月半ば以降で最も原油に強気。北海ブレント・WTI先物へのネットロングの合計ポジションから、それが読み取れる。
出所:Bloomberg
 原油の高騰はカナダドルの上昇を誘引します。以下は、年初来の主要通貨の対米ドルとの騰落率。
 今年(2022年)に入って、原油の高騰を横目にカナダドルも上昇しています。
米ドル/カナダドル 日足(出所:TradingView)
 そして、売られているのが豪ドルやニュージーランドドル。
 つまり、株の下落によりオセアニア通貨をショートにして、円をロングにする。  もしくは原油の高騰を横目にカナダドルをロングにするのが、2022年スタートにおける収益性の高いトレードだといえます。
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米金利の上昇も下落も米ドル/円の下落要因に。米ドル/円、米ドル/カナダドルの戻り売り継続 筆者は、米ドル/円に加え、豪ドル/カナダドルもショート(売り)にしていましたが、個人的に豪ドルのショートは長くキープしたくないため、米ドル/カナダドルのショートにしています(トレードの詳細はメルマガ「トレード戦略指令!」を参照してください)。
 ともあれ、原油の高騰はインフレを助長し、FRBのさらなるタイトニング、そしてナスダック総合指数の下落に繋がります。
 これは、米ドル/円の下落要因にもなります。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 一方、米金利の下落はこれまでどおり米ドル/円の下落に繋がりますが、米金利の急騰はナスダック総合指数の下落を誘引し、米ドル/円の下落材料になっています。
 結果、本稿執筆時点では、米金利の上昇も下落も米ドル/円の下落要因となり、米ドル/円の上値は極めて限定的。そのため、1月4日(火)に到達した116.35円が当面のトップであるというスタンスは変わらず。
 米ドル/円、そして米ドル/カナダドルの戻り売り継続。
 米金利の急騰はこれまでと相違し、米ドル/円の上昇には寄与しないこと、そして、米2年債利回りとブルームバーグドルインデックスの相関性が切れていることは、前回のコラムでご紹介させていただいたとおりです。
【参考記事】●米ドル/円は116.35円が当面の天井となり、短期的に下値余地が拡大! 米国の3月利上げは間違いなく、資産縮小の開始時期に注目(1月13日、西原宏一)

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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