米ドル/円は、112~114円程度を想定した レンジの短期取引が有効。オミクロン株の 正体がはっきりするまで、方向性は出にくい
2021-12-03
今のところ、まだわからないことだらけですが、従来のワクチンを接種している人もかなり感染していますので、その点はかなり心配です。ただ、重症化して死亡したような報道はあまり見ませんので、悪性のウイルスではないのかもしれません。
いずれにしても、専門機関や製薬会社などは、分析するのに2週間ほどかかるといっていますので、来週(12月6日~)には何らかの情報が出てくる可能性が高いのではないでしょうか。
ポイントは、どの程度感染力が強いのか? 今のワクチンはどの程度有効なのか? そして有効ではない場合は、新しいワクチンはどの程度の期間で開発できるか?などだと思います。
オミクロン株がどの程度の脅威なのかによって相場の展開も変わる 相場の展開も、このオミクロン株がどの程度の脅威なのかによって変わってきます。
仮にデルタ株程度のものであるということになれば、相場にも落ち着きが戻ってきて、元の米ドル高基調に戻っていくと思います。
しかし、今までにない悪性のウイルスで、各国が新たな規制や制限をかける必要があることがわかった場合は、世界経済にマイナスの影響をもたらします。
そのケースだと、リスクオフシナリオへ見方を変える必要があります。米ドル高の転換になるかは微妙だと思いますが、円高圧力が強くなってくるので、米ドル/円に関していえば、米ドル高・円安方向に向かうのはかなり難しくなってくると思います。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
足元の値動きを見ると、とりあえずオミクロン株発生による混乱は第1ステージが終わった気がします。発見された当初は、株急落、円高という反応を見せましたが、いったんそれも一巡して、方向感がなくなってきました。
米国の長期金利(米10年債利回り)も低下しましたが、下げ止まっている感じです。これからは、オミクロン株に関しての新たな情報待ちになり、フラフラした動きになってくると思います。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:TradingView)
パウエルFRB議長の「インフレは本物」発言にも、米金利や米ドルは上がらなかった さて、オミクロン株以外のニュースに目を向けてみます。
米国ですが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「今のインフレは一時的なものだとこれまで言ってきたが、この一時的という言葉を削除する」と言いました。
これまでは、コロナによる材料不足などによって一時的に物の供給が追い付かなくなったことで、物価が上がっているのだと説明していましたが、そうではなく、このインフレは本物であると言っているわけです。
パウエルFRB議長は、インフレは一時的なものではないという見解を示した (C)Bloomberg/Getty Images News
普通に考えれば、ここまではっきり言えば、金利も上昇して米ドル高になるはずなのですが、オミクロン株の恐怖があるために、そういう流れは一時的なものに終わってしまったということです。
ただ、英ポンド/米ドルなどを見ると、オミクロン株発見後もあまり米ドル安になっていないので、仮にオミクロン株が脅威だとなっても、米ドル安というよりは、円高に流れが起きるということかもしれません。
つまり、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下がり、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルはそれほど上昇しないという流れです。
世界の通貨VS円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ユーロ/米ドル(左)、英ポンド/米ドル( (右) 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足、英ポンド/米ドル 日足)
こういう時期はトレードはやりにくいのですが、オミクロン株の正体が明らかになるまでは、方向性は出にくいと思いますので、上がったら売り、下がったら買いの逆張りトレードが短期的には有効だと思います。米ドル/円は112円~114円の2円程度の中で上下する展開を想定しておきます。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)