豪ドル/円は目標の85円に接近。天然ガス 上昇を追い風に、中期100円も想定。 米ドル/円は、年末年始に向けて120円へ

北半球は冬に向かうため、電源確保が重要な問題になる。火力発電にはLNGの確保が重要視されているが… みなさん、こんにちは。
 北半球はこれから冬季に向かうため、電源確保がさらに重要な問題となります。
 ところが中国では、天候が不安定なことにより太陽光発電による電源供給が不足気味。
 一方、欧州では偏西風が吹かないため、風力発電による電源供給が不安定となっています。
 そうなると、前回のコラムでご紹介させていただいた、ベースロード電源を確保するための火力発電が重要となります。
【参考記事】●豪ドルは、対円・対ユーロでの買い継続。中期でも、天然ガス急騰が続く公算高く、豪ドルの上昇トレンドは不変か(10月7日、西原宏一)
 よって、中国は豪州からの石炭の輸入を再開した模様(禁止しているといいながら非公式に輸入していたようですが)。
 ただ、現在の火力発電にとって、石炭よりも、石炭の40%程度しかCO2(二酸化炭素)を出さないLNG(液化天然ガス)の確保が重要視されています。
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LNG需要増大で、供給は世界的に頭打ち。豪ドル/円に対する強気姿勢を継続 そのLNGですが、世界的に供給が頭打ちになっているようです。
 日経新聞によれば、「世界最大の天然ガス生産国である米国は1~7月に過去最高の輸出量を記録したが、液化設備は可能なかぎり稼働している」とのこと。そして「豪州やカタールなど、他の主要生産国も増産余地は乏しい」としています。
 このように供給が頭打ちになっているLNGですが、日本は中国と並び世界最大規模のLNGの輸入国です。
 日本と中国を合わせたLNGの輸入量は、世界の約4割を占めます。
天然ガスの取引量(2018年)(出所:日本ガス協会)
 この他に、韓国やインドでもLNGの需要が高まっています。
 これでは、LNGの価格が急騰するのもうなずけます。
 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、天然ガス、特に欧州の天然ガスはロシアが支援するといったコメントもあり一時の暴騰は収束しましたが、高い水準を維持したままです。
【参考記事】●豪ドルは、対円・対ユーロでの買い継続。中期でも、天然ガス急騰が続く公算高く、豪ドルの上昇トレンドは不変か(10月7日、西原宏一)
欧州天然ガス 日足(出所:TradingView)
 日本はその天然ガスを、主に豪州、カタール、マレーシアから輸入しています。
 結果、このLNGの需要増大が、豪ドル/円に対する筆者の強気が変わらない理由のひとつとなっています。
 豪州は鉄鉱石の輸出によって景気が良かった時期もあったわけですが、その鉄鉱石は中国の需要後退によって、その価格は高値から半分に劣化しています。
 ところが今度は、LNGの需要増大によって豪州の景気は支えられている側面もあり、われわれの間で「豪州=ハッピーカントリー」と呼称している理由のひとつとなっています
豪ドル/円はターゲットの85円に接近。中期では90円、100円への上昇を想定 こうしたことを背景に、本稿執筆時点での豪ドル/円は83.85円水準で推移していて、当コラムで指摘していた最初のターゲットである85円に接近してきました。
【参考記事】●豪ドル/円は85円台に向けて上昇再開。天然ガス急騰が後押しとなる一方、鉄鉱石の暴落が重しに。鍵を握るのは…!?(9月30日、西原宏一)
 中期では90円、そして100円への上昇を想定しています。
豪ドル/円 月足(出所:TradingView)
 一方、天然ガスのみならず、冬季に向けて原油も高騰。
 原油の上昇に追随する通貨ペアの筆頭はカナダドル。
 そのカナダドル/円は、一時91.41円まで上昇し、年初来高値を更新しています。
WTI原油先物 週足(出所:TradingView)
カナダドル/円 週足(出所:TradingView)
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米ドル/円は115円を突破すると、年末年始に向けて120円に続伸する公算高まる この資源国通貨に対する円安の影響が、徐々に相場にあらわれてきたのが米ドル/円です。
 今年(2021年)に入ってからの米ドル/円を動かしているドライバーは「米10年債利回り」です。
 日経平均が3500円急騰しても、3000円急落しても、米ドル/円の動向に大きな影響はありませんでした。
 しかし、米金利がじわじわとあげてくると米ドル/円も底堅くなるという状態が続いています。
【参考記事】●菅首相退任報道が、日経平均上昇を後押し。3万円の大台回復!米長期金利上昇なら、米ドル/円は、115円を目指す動きとなるか(9月9日、西原宏一)
 そして、さらにもうひとつ、米ドル/円の動きに影響を与えているのが、前述した円に対する資源国通貨の急騰。
 米10年債利回りは底堅いとはいえ、現在、1.5500%水準で推移。
 今年(2021年)3月に到達した高値である1.7742%にはまだ到達していません。
米長期金利 週足(出所:TradingView)
 ところが、今週(10月11日~)の米ドル/円は、年初来高値を更新し、一時113.80円へ上昇。
米ドル/円 週足(出所:TradingView)
 これは、豪ドル/円やカナダドル/円といった、対資源国通貨での円売りがマーケットに断続的に持ち込まれていることが、米ドル/円での円売りを加速させる格好となっています。
 本稿執筆時点の米ドル/円は、113.55円レベルで推移。
 115.00円という節目をブレイクするには少々時間を要するのかもしれませんが、エネルギー確保のための外貨買い需要、そして、米10年債利回りの底堅さを受け、米ドル/円のボラティリティがじわじわと高くなっています。
 米ドル/円は節目の115.00円を上抜けると、年末年始には120円に向けて続伸する公算が高まっています。
米ドル/円 週足(出所:TradingView)
 ボラティリティが高まり、120円に向けて続伸する米ドル/円の動向に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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