米ドル買い選好方針を継続! FOMCで決定された、非常に重要な内容とは?

パウエルFRB議長がテーパリングの開始を11月のFOMCで決定する見通しを示した 9月21日(火)、22日(水)に金融市場大注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
 ここで非常に重要な内容が決定されましたので、今回は、そこを中心にお話をしていきたいと思います。
 まず、FOMCの声明文を読むと、こういう内容が書いてあります。
 「経済活動が予想どおり進めば、資産購入ペースを緩めることが早急に十分な根拠を得るだろう」
 現在、FRB(米連邦準備制度理事会)は米国の国債を月額800億ドル、その他、住宅ローン担保証券(MBS)を月額400億ドル購入するという量的緩和策を実施しています。それを徐々に縮小していく、いわゆるテーパリングを行っていく可能性が高いということを言っているわけです。
 FRBのパウエル議長はFOMC後の定例記者会見で、テーパリングの開始を11月に開催される次回のFOMCで決定する見通しを示しました。
 これまで、年内には決定するのではないかという見方が大半でしたが、今回、より具体的な日程を示したことで、明確なメッセージとして金融市場に伝わったと思います。
FRBのパウエル議長はFOMC後の定例記者会見で、テーパリングの開始を11月に開催される次回のFOMCで決定する見通しを示した。これまで、年内には決定するのではないかとの見方が大半だったが、今回、より具体的な日程を示したことで、明確なメッセージとして金融市場に伝わった (C)Bloomberg/Getty Images News
FOMCの経済・金利見通しでは、ゼロ金利解除見通しが2022年へ1年前倒しに 今回のFOMCではメンバー18人がそれぞれ中期の「経済・金利見通し」を提示しました。
 その中で、2022年に利上げを見込むメンバーが9人となり、中央値は0.25%となって、利上げによりゼロ金利を解除する見通しとなりました。前回6月の予測では、2023年にゼロ金利の解除を見込んでいましたので、1年前倒しになったわけです。さらに2023年の中央値は1.0%、2024年の中央値は1.75%で、それぞれ0.25%の利上げを年3回ずつ見込んでいます。
9月22日FOMCのドットチャート(出所:FRB)
 今回のFOMCでは、2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比5.9%増えると予測し、前回6月予測の7%を下方修正しています。新型コロナの感染拡大が「回復ペースを鈍らせている」というのが理由です。
 その一方で、物価上昇率は2021年10~12月期に4.2%を見込み、6月予測から0.8ポイント上方修正しました。
 雇用の見通しは、失業率が2022年以降に3%台に低下すると予測しています。
9月22日FOMCの経済見通し(出所:FRB)
※2021年は2021年10~12月期を指す
 つまり、景気回復はやや従来の予想より鈍くなるかもしれないものの、雇用環境は改善し、インフレが従来考えていたより早いペースで上昇しそうなので、金融緩和策を徐々に縮小していくということです。
米ドル買い選好方針を継続。中国恒大集団の問題は、なんとかソフトランディングするのでは こうした決定を受けて、米国の金融政策の方向性は明確になりました。
 それによって、中期的な米長期金利(米10年債利回り)の上昇と米ドル高の可能性がより高くなったと個人的には考えています。
 引き続き、米ドル買い選好方針を続けていきたいと思います。
【参考記事】
●米ドル買い中心戦略を継続! 中国恒大集団の経営危機は、今後金融市場に大きな影響を与えるほどのものではない(9月17日、今井雅人)
 この1週間は、もう1つ大きなニュースがありました。
 中国の不動産デベロッパーである恒大集団が約33兆円の債務を抱えて、経営危機に直面しているというものです。市場では「中国版リーマンショックか」と動揺が走りました。
【参考記事】
●米ドル/円も株価もぶっ飛ぶ!? 自民党総裁選、高市早苗氏の政策はアベノミクスのバージョンアップ。恒大集団問題、影響は限定的か?(9月22日、志摩力男)
●豪ドルは、年末に向けての上昇に期待!リスク選好入りなら、IMMで積み上がった売りポジションの巻き戻しが後押しに(9月21日、バカラ村)
 これに関しては、もちろん予断は許さないのですが、中国政府として、経済全体への影響は避けたいでしょうから、何とかソフトランディングをするのではないかと思います。
 なお、米ドル/円は、ここのところ109円前半で下げ止まっていますので、そこをバックに押し目買いを続けていくのが安全だと考えています。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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