米ドル/円の押し目買いに安心感! 米長期 金利が上昇してもしなくても下値は堅い

■米長期金利が主役の相場展開に この1週間の動きは、米国の長期金利が主役となっていますので、今回は、その話を中心にしたいと思います。
 私は、以前のコラムで、今後の外国為替市場を予想していくにあたって、一番注意しなければいけないのは米国の長期金利である、というお話をしました。ここ直近の相場は、まさにそういう相場展開になっているわけです。
【参考記事】
●米ドル/円、チャートからは天井の可能性。ただし、IMMや長期金利の動向は注意!(2月5日、今井雅人)
 これまで世界の金融市場では、世界的な金余りによる金融バブル状態が続いてきたのは、皆さんもよくご存じのことです。
 たとえば、ビットコインなどは、何と、ここ1年で5~6倍にも跳ね上がっています。
ビットコイン/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → 仮想通貨リアルタイムチャート:ビットコイン/円(BTC/JPY)週足)
 こうした、金融市場全体の楽観的な動きに呼応する形で、外国為替市場でもジリジリと円安傾向が続いてきました。その傾向は、特にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で顕著だったと思います。 
【参考記事】
●豪ドル/円は、85円がもう視野に入った! クロス円での円安傾向は今後も続きそう(2月25日、今井雅人)
●トルコリラ/円、年内20円程度までの上昇に期待できるか。緩やかな円安傾向は続く!(2月18日、今井雅人)
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■リスクオフの円買いが起こった理由は? しかし、米国の長期金利が急に上昇を始めたことを受けて、米国の株式市場が値崩れし、それに伴って金融市場全体がリスクオフの流れとなり、外国為替市場においてもクロス円を中心に円買いが進みました。
米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:TradingView)
NYダウ 日足(出所:TradingView)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 それと同時に、米国の長期金利が上昇すると米ドル高になるという、極めて基本的な動きも起きてきています。
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
■長期金利の今後の動向には注意が必要 こうした長期金利上昇の背景にある一番大きな原因は、米国の景気回復への期待感が高まっていることです。
 1月20日(水)にバイデン大統領が就任してから、米国はワクチン接種を積極展開するなど、感染拡大に歯止めがかかってきました。その上、バイデン米大統領は、当初、7月末までに全国民へのワクチン接種を完了するという目標を立てていましたが、それを2カ月、前倒しすると発表しました。
 そうなると、益々、米国の早期景気回復への期待が高まってくるということです。
 現在、米国の代表的な長期金利である10年物国債のイールド(利回り)は、1.47%程度となっています。
 これが、今後、1.5%をしっかり超えてくるようなことがあれば、米ドル高の動きがさらに進む可能性が出てくると思いますので、長期金利の今後の動向を、よく注意して見ておく必要があります。
米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:TradingView)
■「円高・円安」と「米ドル高・米ドル安」で比較して考えたい そうした前提で、足元の相場を考えてみましょう。
 リスクオンの円安傾向により、米ドル/円は下がらない一方、ユーロ/米ドルや英ポンド/ドルは上昇、つまり、米ドル安になるという展開が続いていました。
 しかし、米長期金利が上昇すると、今度は一転して、ユーロ/米ドルや英ポンド/ドルは下落。つまり、米ドル高になり、米ドル/円は円高圧力よりも米ドル高圧力が上回り、ジリジリと上昇し、それまで頭が重かった106円をしっかり上に抜けて107円台にまで上昇しました。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 最近の外国為替市場では、米ドル/円の動きを考えるときには、円高・円安というアプローチと、米ドル高・米ドル安というアプローチを、比較しながら考える必要があるということだと思います。
【参考記事】
●リスクオフの円高とリスクオンの円安。株高なら円安、株安なら円高は正しい?
■米ドル/円の押し目買いに安心感。豪ドル/円はロングで! こうした流れを考えてみると、米長期金利が上昇する、しないにかかわらず、米ドル/円の下値は堅い、ということが推測されます。米ドル/円の押し目買いは、安心感があると思います。
【参考記事】
●底堅くなってきた米ドル/円を押し目買い。下がったところは拾って良さそうだが…(3月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 なお、景気回復は資源需要の拡大をもたらしますので、資源国通貨は依然として有望だと考えています。
 長期的な観点で見れば、豪ドル/円のロング(買い)ポジションはおすすめです。
【参考記事】
●豪ドル/円は、85円がもう視野に入った! クロス円での円安傾向は今後も続きそう(2月25日、今井雅人)
●豪ドル/円の下値は、かなり堅いと見る! 長期保有目的で買いポジションをキープ(1月15日、今井雅人)
●豪ドル/円は、80円台あたりで下げ止まるか。短期的な下げは長期での買い場になりそう(3月2日、バカラ村)
●豪ドル/円は、短期目標の90円に向け続伸!オセアニアがグローバルな景気回復を先取り(2月25日、西原宏一)
豪ドル/円 日足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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