豪中銀、豪ドル/米ドルの0.80ドルを意識か。 上昇一服。高値を追わず、押し目待ち!

■ワクチン支給開始で、世界はポストコロナへ動き出す みなさん、こんにちは。
 新型コロナウイルスのワクチンの支給が始まり、世界的にポストコロナへの動きが始まっています。
 豪州やニュージーランドでは、数名の感染者の発見でもロックダウン(都市封鎖)するという徹底ぶりで、実質的にほぼ感染者ゼロ状態を続けています。
【参考記事】
●2021年、ポストコロナの注目通貨は豪ドル! コロナ変異種の感染拡大は懸念されるが…(2020年12月24日、西原宏一)
 しかし、米国での感染者数は引き続き多く、カリフォルニアではロックダウンが続いています。以下の表は、全米の感染者数の多い10州になります。
全米感染者数(2021年3月4日時点)(出所:News Break)
 これまでの感染者数が1番多いのはカリフォルニア州、次いで、テキサス州、そして、フロリダ州と続きます。
 この数字から考えれば、カリフォルニア州がロックダウンを続けているのもわかります。
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■米テキサス州はロックダウン全面解除へ しかし、今週(3月1日~)驚かされたのがテキサス州の発表。
 テキサス州は、3月10日(水)からロックダウンを全面解除する模様。
米テキサス州、マスク義務化やめる 商業活動、10日に全面再開―新型コロナ
出所:JIJI.COM
 テキサス州はロックダウンを全面解除するとのことなので、ジムは営業できますし、レストランもバーも営業OK。メジャーリーグも観客を入れて、オープン戦もできるということになります。
 先ほどの表にもあったとおり、テキサス州はカリフォルニア州に次いで感染者数が多いところ。それが全面解除ということなので、感染者数とロックダウンとは関係ないとはいいませんが、ロックダウンに対する考え方が、テキサス州とカリフォルニア州では違うのでしょう。
 これが、新型コロナウイルスに対しての民主党(カリフォルニア州)と共和党(テキサス州)の考え方の違いともいえます。
 共和党は銃の所有も含め、自分の事は自分で守るという考え。
 この件は、大ヒット映画「ターミネーター」でアーノルド・シュワルツェネッガーが言ったセリフ、「Also, This is Texus!」を思い出します。
 どちらにせよ、ワクチンの供給により、米国ではどの州も徐々に経済は回復してくると考えられます。
■長期金利上昇で、グローバルな株調整局面を懸念 そして、景気の回復期待とともに、インフレも進行している模様。
 ロサンゼルスの友人によれば、事務所の賃貸料も急騰しており、契約更新を躊躇するほどの値上がり率であるとこぼしていました。
 また、ガソリン代金も上昇。
 これにより、米長期金利も上昇。
米長期金利 日足(出所:TradingView)
 いったん沈静化したと思われた米長期金利ですが、3月3日(水)に再び1.49%に上昇。報道によれば、英国がリセッション(景気後退)からの回復に向け、予想以上の国債発行を明らかにしたことが一因のようです。
 これを受け、ナスダック総合指数は2,7%急落。呼応して、本稿執筆時点の日経平均は前日比705円安の2万8868円レベルと、2万9000円を割り込んで推移しています。
日経平均 日足(出所:TradingView)
 長期金利の上昇に呼応して、グローバルに株が調整局面に入ることが懸念されます。
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■豪中銀は、豪ドル/米ドルの0.8000ドルを意識か そして、リスクオフにより、米ドルは総じて堅調。
 リスクオフでは、これまでは円高傾向というのがコンセンサスでしたが、米長期金利の上昇で米ドル/円は底堅く推移し、107円台を回復。欧州通貨も軟調に推移しています。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 しかし、こうした米ドル高推移の展開の中でも底堅く推移している通貨があります。それは、オセアニア通貨。
 今週(3月1日~)の注目は、2日(火)に発表されたRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])金融政策決定会合でした。
 まず、政策金利と3年国債利回り目標を0.1%で据え置き。声明文では、新型コロナウイルスによる落ち込みからの豪州経済の回復は、想定以上に力強いと指摘しています。
 通貨に関しては、豪ドル/米ドルは近年のレンジの上限にあると指摘しています。
 つまり、2月25日(木)高値である豪ドル/米ドルの0.80ドルは節目として、意識しているとの事。
 RBAは通貨に関してスピード調整を示唆した程度ですが、当面マーケットは0.8000ドルレベルを意識させられるとみます。
豪ドル/米ドル 日足(出所:TradingView)
 しかし、豪州は2020年の2四半期連続で3%以上の成長を記録しており、これは史上初めてという経済の好調ぶりを示しています。
オーストラリア統計局(ABS)は3月3日、2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前期比3.1%だったと発表した。第3四半期(7~9月)の3.4%に続き、2四半期連続で3%以上の成長を記録したのは史上初めて。
出所:JETRO
 JETRO(日本貿易振興機構)の発表によれば、ジョシュ・フライデンバーグ財務相は、「豪州は感染抑制と経済回復の両面で世界をリードしている」とコメントしたとのこと。
 さらにRBAは、GDPが2021年半ばまでに2019年末の水準まで回復し、2021年と2022年ともに3.5%成長すると予測しているようです。
■豪ドル/米ドルは高値を追わず、押し目買いで 結果として豪ドルの上昇トレンドは続きますが、前述のとおり、RBAが0.8000ドルレベルを意識しているようなので、豪ドル/米ドルは高値を追わず、押し目買い。
豪ドル/米ドル 日足(出所:TradingView)
 長期金利の上昇が欧州通貨の下落(米ドル高)を誘引するのであれば、当面、ユーロ/豪ドルや英ポンド/米ドルは上値の重い展開が続くのではないでしょうか?
 株の調整懸念とRBAのコメントにより、豪ドル/米ドルは上昇一服で押し目待ち。
 下値余地が拡大した、英ポンド/豪ドルやユーロ/豪ドルの動向に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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