LNG高騰など中期での豪ドルの強さは不変。 下落中のユーロ/豪ドルの動向に注目!

■ジョー・バイデン氏が第46代米大統領に就任 みなさん、こんにちは。
 2021年1月20日(水)、第46代大統領にジョー・バイデン氏が正式に就任しました。
 バイデン米大統領は、就任演説において以下のように述べています。
きょうは米国の日であり、民主主義の日だ。
歴史と希望、再生と決意の日だ。
米国は新たに試され、困難に立ち向かっている
民主主義は貴重であり、もろいということを、われわれは改めて学んだ。きょうこの日、民主主義が勝利した。
出所:Bloomberg
2021年1月20日、第46代米大統領にジョー・バイデン氏が正式に就任した (C)Scott Olson/Getty Images News
 一方、トランプ前大統領は1月20日(水)、ホワイトハウスを後にしました。バイデン氏の大統領就任式には出席せず、軍隊形式の見送りを受けて新居となるフロリダ州に向かいました。
トランプ前大統領は、バイデン大統領の就任式には出席せずにホワイトハウスを後にした。写真は前回の米大統領選のときのもの (C)Scott Olson/Getty Images News
 そして、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地で、最後となる大統領専用機搭乗前には、「私はあなた方のために常に戦う。目で見て、耳を傾ける。この国の将来は、かつてないほど良くなったと私は語るだろう」とした上で、「新政権の幸運と成功を祈る」とコメントしました。
■米大統領就任式はつつがなく終了。市場はややリスクオン 暴動などが懸念されたバイデン新大統領の就任式が、つつがなく終了したことで、マーケットは、ややリスクオンに。
 S&P500指数は、1.4%高。
S&P500指数 日足(出所:TradingView)
 リスクオンにより、豪ドルは堅調です。
豪ドル/米ドル 日足(出所:TradingView)
 ただ、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏は、米国の分断が深まっていることを2021年の10大リスクの1位に挙げていました。
【参考記事】
●2021年10大リスクの1位は「米国の分断」。トリプルブルーで、米ドルは20%下落か(2021年1月7日、西原宏一)
 バイデン大統領は、何度も「結束」を呼び掛けていますが、これまでのトランプ政権の政策に配慮したようなものはなく、カナダからメキシコ湾まで原油を運ぶパイプラインの拡張計画の許可の取り消しや、WHO(世界保健機関)脱退を取りやめるなどの大統領令に署名しました。
 共和党保守派からの結束をとりつけるのは難しい内容で、なかなか厳しい船出となりそうです。
■LNG、鉄鉱石、金…。好材料多数で豪ドルの強さは不変 ここで、視点は為替から少し離れますが、先週(1月11日~)から東京市場で話題になっているのが電力。寒さが厳しくなるにつれ、アジア市場では電力不足が顕著になっています。
 この影響でLNG(液化天然ガス)が高騰。
 アジアのLNGのスポット価格は、 1 カ月で3倍になっているようです。
写真はLNGを積んだタンカー。今冬の寒さなどの影響でアジアのLNGのスポット価格は1カ月で3倍になっているという (C)Bloomberg/Getty Images
 LNGといえば、筆者が連想するのが、昨年(2020年)、中東のカタールを抜いて世界最大のLNG輸出国になった豪州。
 一方、豪州産の石炭輸入を禁止した中国では、国内の電力不足が悪化し、信号やエレベーターなどあらゆるものに影響が及んでいるようです。
 友人によれば、中国最大の国営発電所が「豪州の石炭でなければ著しく発電出力低下、代替はない」と本音を漏らしたとの報道が出回っているようです(ソースを探したのですが、見つけられませんでした。見つけられた読者の方がいらっしゃれば、教えていただきたいです)。
 ともあれ、豪州は金(ゴールド)の生産も今年(2021年)世界一になるという報道もありますし、LNGも世界一、石炭の品質も良質、そして、鉄鉱石の輸出量も巨額。
 地面を掘れば、良質なものがポンポン出てくる豪州という国はこの点においては、うらやましい限りです。
■ユーロ/豪ドルのショートに妙味アリ? 以下は、年初来の対米ドルの主要通貨の推移を示したものです。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
 本稿執筆時点で、対米ドルでもっとも値を上げた通貨は豪ドル。
 そして、もっとも値を下げた通貨はユーロです。
 結果として、昨年(2020年)後半同様、2021年もユーロ/豪ドルのショートのパフォーマンスは良好。
ユーロ/豪ドル 日足(出所:TradingView)
 年初からといっても、まだ3週間弱なので値幅はありませんが、昨年(2020年)のユーロ/豪ドルのパフォーマンスは際立っています。
 昨年(2020年)のユーロ/豪ドルの高値は、3月19日に到達した1.9820豪ドルで、現在、1.5600豪ドル水準ですので、およそ4220pipsも暴落しています。
ユーロ/豪ドル 週足(出所:TradingView)
 ただ早いもので、もう2月が迫っています。
 2月は節分天井といわれ、例年、NYダウのパフォーマンスは総じて良くありません。
 株の調整時に、豪ドルは値を下げるというリスクアセットの側面も持っているため、そうした調整局面では、豪ドル/円のロングなども再構築したいところです。
豪ドル/円 日足(出所:TradingView)
 ともあれLNGに鉄鉱石、金に水素。中期での豪ドルの強さは変わらず、年初から順調に値を下げている、ユーロ/豪ドルの動向に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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