ユーロ/円やユーロ/米ドルの年初来高値 更新も有力視! トレンドフォローに徹して

■豪ドル/円に続いてユーロ/円も年初来高値更新へ!? 米ドル/円の、小動きというか保ち合いの相場が続いているうちに、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の基調が一段と鮮明になってきた。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 豪ドル/円は、2020年年初来高値を更新し、「リスクオンの円高」が偽りであることを証明してくれた。
豪ドル/円 週足(出所:TradingView)
 繰り返し指摘してきたように、超金融緩和の環境において、また、株高の市況が続くうちは、「リスクオンの円高」という見方には同意できない。
 米ドル/円のみ取り上げてみても、米ドル安であっても円高ではない。主要通貨のうち、円の方がむしろ最弱の状況にあるから、主要クロス円における堅調も自然な成り行きだと思う。
 豪ドル/円の2020年年初来高値更新に照らして考えると、これからユーロ/円の年初来高値更新の可能性も高まるだろう。
ユーロ/円 週足(出所:TradingView)
 一方、EU(欧州連合)離脱問題の行方を読めない英ポンドに関しては、材料次第で大きく上昇、あるいは、大きく下落という両方の可能性があるから、目先、推測自体を見送りたい。
■豪ドル上昇が米ドル安の深刻さを物語っている 豪ドル/円の高値更新は、豪ドル/米ドルの高値更新に依存していることは間違いない。
豪ドル/米ドル 週足(出所:TradingView)
 豪ドル/米ドルの高値更新自体も、米ドル全面安の流れの継続のほかなく、「リスクオンの米ドル安」の地合いが継続していることを示唆している。
 もっとも、豪州は中国との対立や軋轢を深めている。詳細は省くが、資源大国としての豪州は、主要輸出国との関係が悪化すれば、本来、売り材料として浮上してもおかしくない。それでも買われつつあるということは、米ドル安の地合いがいかに深刻かを物語っているのだと思う。
 ユーロ/米ドルも然り。昨日(12月10日)ECB(欧州中央銀行)が追加緩和を決定した後もユーロが買われたのは、米ドル安の一環として見るべきであろう。
 米ドル安の流れが継続し、また、底打ちの兆しが点灯しないうちには、安易な逆張り(つまり、米ドルの押し目買い)はできないだろう。
■ドルインデックス底打ちの可能性もなくはないが… とはいえ、米ドル全面安の流れが強いからといって、米ドルの下落一服を暗示するサインがまったくない、という話でもない。
 ドルインデックスの週足を見ればわかるように、3月高値、安値から形成されてきた大型「下落ウェッジ」の最終段階に入りつつある。また、オシレーター系指標が強いダイバージェンスを形成しており、いったん底打ちを果たす可能性もあるかと思われる。
ドルインデックス 週足(出所:TradingView)
 ただし、目先、その可能性を念頭に置きたいものの、前述のように、底打ちのサインが点灯されてないうちは、信用してはいけない。
 なにしろ、さらなる安値トライがあれば、「下落ウェッジ」というフォーメーションの形成が否定されることとなり、逆に下値余地を大きく拡大することになるから、性急な判断を避けたい。
 米大統領選が一段落している目下、相場は一方通行になりやすく、仮にオシレーター系指標の「売られすぎ」のサインがあっても安易な逆張りは報われないだろう。
 そのような事情は、日米株においても同様だと思う。日米株が、ともにかなりの「買われすぎ」の状況にある、という見方も少なくはないし、また、間違いとは断定できない。
 しかし、逆張りの売りで仕掛けたら、さらに踏み上げられ、その結果として日米株がさらに上昇していく、といった市況の方が、より想定されるところではないかと見る。
NYダウ 週足(出所:TradingView) 
日経平均 週足(出所:TradingView)
 要するに、米ドル全面安の市況はいずれ修正されるが、実際に修正されるまで、安易な判断を避けたい。しばらくトレンドフォローに徹するべきで、不透明な材料を抱える英ポンド以外、主要外貨における上昇余地は、なお無視できないかと思う。
■米ドル/円の下値リスクも過度に心配しなくてよい 繰り返しとなるが、豪ドル/米ドルと豪ドル/円の高値更新に追随する形で、ユーロ/米ドルやユーロ/円の年初来高値の更新も有力視される。この意味では、米ドル全面安の流れが続くうちは、逆に、米ドル/円の下値リスクを過度に心配しなくてもよいかと思う。
 この視点のカギは、「リスクオンの米ドル安」という見方にある。
 「リスクオンの円高」と違って、相場の進行に証明された「リスクオンの米ドル安」のロジックが正しければ、米ドルの急速な切り返しがある場合こそ、リスクオフの局面と想定される。
 リスクオフの円高は本来の姿なので、その際、米ドル/円は米ドル全体の切り返しに連動せず、むしろ下値トライしやすいのではないかと思われる。
 もう1つの視点も忘れてはいけない。米ドル全体の切り返しが急速に進む場合、主要外貨の反落で、主要クロス円における外貨安・円高の進行をもたらすから、米ドル/円に波及する形で下値リスクを拡大させる可能性もある。
 いずれにせよ、米ドル/円が大きく下落する条件は1つ。すなわち、ドルインデックスの急速な切り返し、である。
 とはいえ。現実的に考えると、米ドル全面安の流れの強さから見て、目先、米ドルの下げ一服があっても、急速な切り返しを形成していく可能性は低い。
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
 理屈は簡単だ。米国株をはじめ、主要株式市場のブル(上昇)基調が大きく崩れない限り、本格的なリスクオフの局面はしばらく来ないだろう。
 となると、米ドル全体の切り返しがあっても、あくまでスピード調整の範囲に留まり、リスクオフの円高はしばらく見られないかと思う。
 この話は、英ポンド/円を除く、という前提を付けるべきかもしれない。なにしろ、EU離脱問題の出口次第で、英ポンド/円が大きく崩れることも想定される。
 ただし、仮にそうであっても本格的なリスクオフの環境に逆戻りとするとは思わない。詳説はまた次回、市況はいかに。

参照元:ザイFX! 陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

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