なぜ、米ドル安の長期化を予想する人が 増えたのか? 米ドル安第2弾は本格化しない

■市場は米ドル安を期待しすぎている!? 昨日(8月19日)、7月28日(火)~29日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨が発表されましたが、それを受けての金融市場の反応が、いかにも不可思議です。
 議事要旨によると、「金融政策を微調整し、積極的な刺激策を従来の見通しよりも長期間堅持する可能性」が検討されていたことが判明しました。
 そのほか、「イールドカーブの上限設定について、多くの政策担当者が将来的な選択肢として残されるべきとしながらも、現時点では、設定は正当化されない」との見解を示したことも、はっきりしました。
 この発表を受けた金融市場の反応は、金利上昇、株下落、米ドル高というものでした。
米長期金利(10年物国債利回り) 30分足(出所:TradingView)
NYダウ 30分足(出所:TradingView)
ドルインデックス 30分足(出所:TradingView)
 つまり、紹介した内容の前者の部分は無視されて、「現時点でイールドカーブの上限設定は、正当化されない」とする後者の部分に、市場が反応したということになります。
 これをどう読むかということですが、私は、市場が今、必要以上に米ドル安を期待しているということの裏返しではないかと考えています。
■なぜ、米ドル安が長期化するという予想が増えたのか 最近、専門家と呼ばれる人達の中で、米ドル安が長期化するという意見を言う人が多くなってきました。
 私の経験から言うと、専門家と呼ばれる人達は、相場に流れが出てくると、それに乗っかって予想を変える人が多いです。
 今回のケースで言えば、米ドル安相場が始まった頃は、これが長期トレンドになると言う人は、あまりいませんでした。しかし、実際に米ドル安が本格的になったあとは、その原因に関して後講釈をつけて、まだまだ米ドル安が進むと多くの人が言い出しています。
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
■米ドル安相場第2弾の本格化はない 米ドル安になると予想している人の意見は、大きく言うと3つあります。
 1つ目は、トランプ米大統領の政策に対する不信感。ちなみに、これは私も同感です。
【参考記事】
●米ドル安最大の要因はトランプ大統領への不信感!? だとすると反転の可能性は低い(8月6日、今井雅人)
米ドル安になると予想している人の意見の1つとして挙げられるのが、トランプ米大統領の政策に対する不信感。これには今井氏も同感するとのこと (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
 2つ目は、欧州などの諸外国と、米国の経済成長の格差。つまり、米国の経済が相対的に悪いという話です。しかし、これは必ずしも事実とは言えません。
 3つ目は、米国の経常収支や財政収支の悪化。しかし、これだって、他の国も同様です。
 以上のことを見る限り、やはり、米ドル安相場が、これから第2弾で本格化するとは、あまり思えません。
【参考記事】
●予想を超えた米ドル安の背景を整理。ここからの米ドル安は、あまり想像できない(7月30日、今井雅人)
 私はそれよりも、むしろ…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です