イラン戦争の心配はイランかった!? 出た~! 米ドル/円に調整完了のサイン!
2020-01-10
■年末年始のクラッシュ期待は裏切られた 年末年始の薄商いで危惧された「クラッシュ」は来なかった。円高傾向で、また想定外のイラン危機があったものの、米ドル/円は2円程度の振れ幅しかなく、クラッシュと呼ぶには程遠かった。
【参考記事】
●なぜ、フラッシュ・クラッシュは心配ない? 2020年の米ドル/円は120円へ上昇!(2019年12月26日、陳満咲杜)
米ドル/円 4時間足(出所:TradingView)
そして、散々「割高」とか、「危ない」とかと言われる米国株は昨日(1月9日)、また主要3指数が揃って高値(もちろん史上最高値)を更新。イラン危機でリスクオフの再来を祈った一部の市場参加者を嘲笑うような値動きを見せた。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
株も為替も、「落ちてほしい」と祈る方が多いようだ。
評論家タイプは自分の仮説(米国株バブルの破裂など)を証明したい、すでにショートポジションを建てている投機筋は踏み上げられるのが怖い、また、ロングポジションを持たずに深い押しを期待している方も多いなど、立場はそれぞれだが、イラン危機だから、今度こそ落ちてくるに違いないと思ったところ、今度も見事に裏切られた。
■イラン戦争など杞憂。心配はイランかった イラン危機に関する報道はたくさんあるので、ここでは省略するが、結論から申し上げると、そもそもイラン危機はともかく、イラン戦争などは杞憂で、最初からその心配は「要らん」であった。
常識をもって考えれば、イラン危機があったからこそ、押し目買いのチャンスであった。
なぜなら、イランは長年、米国の制裁を喰らい、戦闘機などの国防技術は前世紀後半の水準を維持するのが精いっぱいで、対米正面衝突に耐えられないのが、もはや世界の常識。その後ろに控えるロシアも、自らが出てきて米国と戦うほどイランを支援できるとは考えられない。
中東の情勢はかなり複雑だが、政治と宗教が一体化しているイラン政権は、同じく政教一致のサウジアラビアを宿敵としていること、また、イランは中東でさえ孤立していることも広く知られる常識だから、もし、米国と開戦すれば、イラクのフセイン政権の二の舞になる運命は明らかだ。
ゆえに、テロ作戦の指揮官が米国に殺害されたぐらいで対米開戦のシナリオを立てる方の多くは、前記の常識が足りないか、冷静に考えていなかったのでしょう。また、相場が「落ちてくる」と祈る一心で、材料を過大評価した側面も大きかったと思う。
【参考記事】
●2020年の注目材料とトレード戦略はコレ! オリンピック後の景気後退は都市伝説!?(1月9日、今井雅人)
●イランと米国による戦争回避で株価反発! リスクオフ沈静化で豪ドル買いに妙味!?(1月9日、西原宏一)
●米ドル/円は、新たなレンジで戻り売り! 中東情勢緊迫化は、短期で決着がつきそう(1月7日、バカラ村)
■相場は詭道なり。「危」は「機」だった いずにせよ、その後の米軍基地の攻撃は、イラン側が事前通告したか、入念に攻撃目標をわざと選んだ結果、米国軍人の死傷者がゼロという展開となった。そのあたりから一転してリスクオンのムードとなり、これが米国株の最高値更新につながったわけだ。
言うまでもないが、高値更新できたのはロング筋の動きのみでなく、ショート筋(イラン危機で新規参入も多かったと推測される)の踏み上げによる側面も大きかっただろう。
相場は詭道なり(※)。詭とは、危ないと言う「騙し」となり。
(※編集部注:「相場は詭道なり」とは、相場に勝つためには、買い手と売り手がお互い可能な限り、手段を選ばず行動するといった意味の相場格言。孫氏の名言「兵は詭道なり」をもじったもの)
今回の一件で、改めて相場の真実を勉強できたのではないかと思う。まさに、日々是勉強、そして「危」は「機」となり、である。
■米ドル/円に調整完了のサイン! 米ドル/円におけるサインも鮮明である。1月8日(水)に一時、107.64円をトライしたものの、その後は一転して、109円超えの大引けをもって大陽線を形成。プライスアクションの視点では、いくつかのサインを同時点灯した。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●特徴的なローソク足の見方【前編】 1本でも相場の先行きを教えてくれる!?
●特徴的なローソク足の見方【後編】 売り買い拮抗は相場の転換を示唆!?
まず、直近の値動きで言えば、値幅が大きかったので、大陽線をもって前日(7日)の罫線を「かぶせ」、強気アウトサイドのサインを点灯した。同時に、安値をトライしてからの反発だったので、強気リバーサルのサインでもあり、これらが調整完了の可能性を強く示唆している。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
さらに、見逃せないのは、昨年(2019年)11月安値の一時的な下放れが、結果的に「ダマシ」であった可能性が大きいことだ。
これから2019年末の高値の更新があれば、典型的な「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯、一段と上値余地が拡大するでしょう。
本日(1月10日)は米雇用統計があり、また一波乱も想定されるが、仮にこのままキープできれば、週足でも強気リバーサル、またはアウトサイドのサインが確認され、やはり上値打診の可能性が高いとみる。
米ドル/円 週足(出所:TradingView)
もう1つの注目点はやはり…