株価堅調推移で円売りに妙味! 米ドル/円 よりユーロ/円がおもしろそうなワケは?

■当面、ブレグジットへの注目は薄れそう ここ数カ月は、政治リスクに振り回された金融市場でしたが、今後、金融市場の注目は、政治要因から他の要因に移ってくると思います。
 ごたついたブレグジット(英国のEU離脱)ですら、すったもんだした挙句に、また離脱期限を延長することになりました。
 何も解決はしていない惨憺(さんたん)たる状況なのですが、先送りということで当面、材料として注目されることはなくなってきました。
【参考記事】
●ブレグジット絡みの英ポンド上昇は終了か。いずれ下落と見てショートポジション構築へ(10月25日、今井雅人)
●ブレグジット期限は2020年1月末まで延期。リスク選好継続でクロス円買いが良さそう(10月29日、バカラ村)
●【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに
 ただ、12月12日(木)に英国では総選挙が開催されますので、その結果には、かなり注目が集まると思います。
英ポンド/米ドル 週足(出所:TradingView)
 その時になったら、またどう影響が出るか、皆さんといっしょに考えていきたいと思います。
■米中貿易交渉には一定の警戒を 米中の貿易交渉も、当面は一服というところでしょうか。
 ただ、ペンス米副大統領が香港での激しい市民デモ活動に関して、米国は香港市民を支持すると発言したことで、米中の関係が、また悪化しています。
 これが、貿易交渉に、さらなる影響を与えることとなる可能性は十分にありますので、その時はまた、注目が集まると思います。
■トランプ大統領の弾劾は難しい!? 政治的に言えば、今、注目が集まっているのは、トランプ米大統領の弾劾の動きがどうなっていくかです。
 しかし、今のところ、実際に弾劾にまで到達するのはかなり難しいと考えられていますので、そうであれば、市場に影響は出ないと思います。
米国ではウクライナ疑惑をめぐるトランプ大統領弾劾に向けた調査が進んでいる。しかし、実際に弾劾まで到達するのは、かなり難しいというのが今井氏の見立て (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
■株価堅調で円安傾向。円売り戦略で! 政治状況は以上のような感じですので、当面、市場の関心は他に移っていくことになると思います。
 となると、各国の金融政策に一番、注目が集まります。
 米国では、昨日まで(10月29日~30日)FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レート誘導目標レンジの0.25%の引き下げが決定されました。これで、3回連続の引き下げとなりました。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●世界中の市場参加者がもっとも注目する、米国の金融政策を決める「FOMC」って?
※フェデラル・ファンドレートの誘導目標レンジ上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
 金融市場はこれを好感し、米国の株価指数は史上最高値を更新しています。
S&P500 日足(出所:Bloomberg)
 FOMCは今後も、必要に応じて利下げを実施していくと思います。そういう状況ですので、おそらく、今後、米国を中心に株価は堅調に推移すると考えられます。
【参考記事】
●利下げほぼ確実…米株はバブルの可能性!? 英ポンド/米ドルは1.40ドルがターゲット?(10月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
●10月暴落説が喧伝されたが日米株は暴騰も! 米ドル/円は上昇前のスピード調整(10月25日、陳満咲杜)
 そうであれば、為替相場は全体的に円安の傾向になってくると思いますので、トレード戦略としては、円売り(米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の買い)ポジションを取っていくことが良いかと思います。
■おもしろいのは米ドル/円よりユーロ/円 その上で、どの通貨ペアが良いかということですが、まず、米ドル/円は下値が底堅く、安定していますが、米ドル高の展開になりにくいので、一気に上昇していくのは難しいと思います。
 108円台の真ん中より下のレベルで買っている分には、あまりリスクはないと思いますが、109円台に乗せて一気に駆け上がる感じもしません。押し目をしっかり拾うことです。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 それよりも、ユーロ/円での円売り、つまり、ユーロ/円のロング(=買い)の方が、おもしろいのではないでしょうか。
 ECB(欧州中央銀行)は、ドラギ総裁が10月末(本日)で退任し、11月からラガルド新総裁に交代します。そうなると、当面、ECBは大きな政策変更をしづらい状況になってきていると言えます。
 それを考慮すると、ユーロ安要因が今はあまりないことになります。ですから、ユーロ/円での円売りは、かなり有効なのではないかと考えています。
ユーロ/円 日足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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