市場の米利下げ織り込みは過剰すぎる! 当面は米ドル安・円高の揺り戻し相場か

■トランプ大統領、今度はメキシコを標的に! 米国と中国の貿易交渉が暗礁に乗り上げている状況の中で、今度は、トランプ米大統領がメキシコに対して追加関税をかけると発言したことで、市場がさらに混乱する展開となっています。
【参考記事】
●米ドル高でも米ドル/円は、なぜ上昇しない? 米中貿易交渉に中国が秘密兵器を投入!?(5月30日、今井雅人)
●トランプの対メキシコ関税ツイートで株もドル/円も下落。でも、これならかわいい方!?(5月31日、陳満咲杜)
 世界的に金利低下、債券価格の急騰、株安、そして、為替市場では米ドル安と円高が進行する展開となってきました。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 しかし、この動きはいったん、これで終わるのではないかと私は考えています。その理由を、これからお話したいと思います。
■市場は3回の米利下げを織り込み! 一番わかりやすいのは、金利の市場であるので、これで説明をしたいと思います。
 米国の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートの先物市場は、今年(2019年)の前半は、2.4%近辺でずっと落ち着いていました。現在の政策金利の誘導目標が2.25%~2.50%であるので、市場はこれからしばらく、金利が据え置かれると予想していたということです。
 そのFFレート先物が、4月頃から徐々に低下し始め、特に、米中貿易交渉が決裂してからはスピードが加速しました。
 その結果、直近ではFFレート先物は、1.7%台まで低下しています。
※BloombergのデータをもとにザイFX!が作成
 つまり、2カ月程度の間に、FFレート先物先物は、0.7%近く低下したということになります。通常、政策金利の1回の利下げ幅は0.25%なので、これは、ほぼ3回分の利下げを織り込んでしまったということです。
【参考記事】
●米ドル/円を買う理由はない!? 107.75円を抜けると104円台も視野に…(6月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
●年内2回の米利下げ予想!? リスク回避から米ドル安に。ユーロ/米ドルは1.15ドルへ(6月4日、バカラ村)
■市場の反応は過剰すぎるのでは…? 状況は、国債市場も同じです。
 米国10年物の国債利回り(=長期金利)を見ても、昨年(2018年)は3.2%程度まで上昇していたのですが、今年(2019年)に入ってからは、2.7%台近辺で推移をしていました。
 それが、4月から一気に低下を始めて、直近では2.1%台にまで低下してきています。ものすごく速いスピードです。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 確かに、米中の貿易交渉問題は、大変、深刻な問題ではありますが、それにしても、ちょっと市場の反応は過剰すぎるのではないかと思います。
 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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