マイナス金利ショック!115円を割り込んだ ドル/円の下値メドは112円台?110円台?
2016-02-10
月足チャートを見ると、2007年6月の高値124円台から始まった米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン「緑の破線」を、2012年2月に上に抜けたことが読み取れる。
米ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
換言すれば、この「緑の破線」を中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、2012年2月に下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。
2012年2月にトレンド転換したと考えるならば、もうすでに約4年もの期間「米ドル高・円安トレンド」が続いてきたことに留意する必要がある。
ところが2012年の時点では、米ドル/円は2012年3月以降、下落に転じ、絶対水準で80.00円を割り込み、70円台で推移したことから、2012年は円高傾向の印象が強い状態となった。
そして、2012年の時点では、確かに米ドル/円が安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新すると(=歴史的最安値を更新すると)、「円高トレンド」が継続していると判断すべき状態だった、と考える。
しかし、2012年11月の衆院解散の決定をきっかけに、米ドル/円は急上昇を始めた。政権交代が起これば(民主党政権から自民党政権に交代すれば)、金融緩和策が採られる、といった思惑が働いた、と考える。そして、この急上昇で、「米ドル/円のトレンドは、下落から上昇に転換した」ことが確認できた。
再掲載した、下の月足チャートには、新たな中長期のレジスタンス・ライン「ピンクの破線」を表示している。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
個人的には、「このライン『ピンクの破線』は、時間が経過するとなくなる(=引く必要がなくなる)のではないか?」と考えていた。
上述のとおりに、「2012年2月に『上昇トレンド』に転換した」と考えるので、このライン「ピンクの破線」は引かなくてもよい、と考える。
つまり、「緑の破線」が中長期のレジスタンス・ラインであり、この「緑の破線」を上に抜けた時(2012年2月)に、トレンド転換が起こった、と考えるので、この「ピンクの破線」は必要ない、とも言える。
ただし、相場を読む際に、便宜上、このライン「ピンクの破線」を表示しておいた方が都合が良い、と考える。
この「ピンクの破線」を上に抜ける場合が、「買いシグナル」だった、と考えるからだ。
月足チャートに、「紫の破線」でサポート・ラインを表示した。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
2013年の5月以降の値動きに注目すれば、サポート・ラインの引き方次第だが、このサポート・ライン「紫の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考えることができる。
しかし、このサポート・ライン「紫の破線」は、過去のサポート・ラインと比べて、その傾きが、急勾配すぎる、とも考えた。
だから、「このサポート・ライン「紫の破線」の傾きが、緩やかになるような値動きをするのだろう」と事前に予測していた。
一昨年(2014年)の8月下旬の値動きで、米ドル/円は急上昇を始めた。
105円台ミドルを上に抜けて、高値を更新したことで、サポート・ライン「紫の破線」の傾きを緩やかにする必要がある、と考える。
それで、新たなサポート・ライン「赤の破線」を表示した。
この新たなサポート・ライン「赤の破線」を引く場合は、従来のサポート・ライン「紫の破線」は、引かなくても良い、と考える。
従来のサポート・ライン「紫の破線」を引かない場合は、比較的小さな調整はあるとしても、サポート・ライン「赤の破線」に従って、大局では上昇が続いていた、と判断する。
超長期のレジスタンス・ライン「青の破線」を表示した。
110円を上に抜けたことで、このレジスタンス・ライン「青の破線」を上に抜け、「買いシグナル」を発した、と考える。
米ドル/円は、この「買いシグナル」に従い上昇して、124円台前半を上に抜けて、2007年6月の最高値を更新した。
最高値の更新で、「買いシグナル」を発して上昇し、昨年(2015年)の6月初旬に、高値125.80-85円レベルをつけている。
しかし、高値(125.85円)をつけた後は、最高値を更新した後で、調整局面に入った、と考える。
125.85円から120円台ミドルへ下落し、そこからは反転上昇して、再び、125円台をつけている。
昨年(2015年)の8月に、この2度目の125円台から下落し、120.00円を割り込み、116円台前半に急落した。
この時(2015年8月)は、中国株(上海総合)の急落や、中国経済に対する不安に起因する世界同時株安から、リスク回避の動きが広がり、米ドル/円が売られた(=円が買われた)、という図式だ。
116円台からは、反転上昇して、121円台を回復したが、その後は、120.00円程度を中心レートに、上下動を繰り返していた。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
昨年(2015年)の11月6日(金)の米国雇用統計では、事前予想よりも、圧倒的に良い結果が発表された。
これを材料に、12月の「利上げ開始」の思惑が広がり、米ドル/円は、121円台から123円台に上昇している。
2015年12月15日(火)、16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)の直前は、120円台程度だったが、FOMCで米国の利上げ開始が発表されたことで、123円台にまで上昇している。
しかし、昨年(2015年)末の相場は、ポジション調整から円高気味に推移して、年末のクローズは、120.00円近辺だった。
■2016年年初は中国株式市場の影響で120円台を割り込む 2016年1月4日(月)の年初の相場では、120円台を割り込んだ。
この日の中国株式市場でサーキットブレーカーが発動し、中国株式市場が取引停止になったことが、材料になった。
この下落で、月足チャートに示したサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
米ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ただし、今後の相場で、米ドル/円の下落が、それ程激しいものではなく、反発(上昇)に転じる場合は、サポート・ライン「赤の破線」の傾きを緩やかにして、修正することになる可能性があった。
今 昨日(2月9日)の東京市場で、重要な節目の115.00円を割り込んだので、このサポート・ライン「赤の破線」の傾きを修正しないで良い、と考える。
つまり、サポート・ライン「赤の破線」を割り込んで「売りシグナル」を発した、と判断する。
重要なチャート・ポイントである115.00円を割り込んだので、トレンド転換の可能性を考える必要が出てきた。
今のところ、明確な下値のメドは、不明(わからない)、と考える。
続いて週足チャートを…