日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。 円安・株高は中長期マネーがカギを握る
2016-02-04
前回のコラムでご紹介したように、2016年年初からの急激な「株安・円高」は、日経平均先物の1万6000円割れ、そして米ドル/円の116.00円割れまで進行したあと、いったん収束しました。
【参考記事】
●2016年前半相場のカギを握る日銀会合。 一番重要なのは追加緩和の有無ではない!(1月28日、西原宏一)
しかし、TPP(環太平洋連携協定)の立役者であった甘利経済再生相が1月28日(木)に突然辞任。これにより再びマーケットは不透明感を増し、日本株と米ドル/円は不安定な展開に。
この報道を受けた翌日(1月29日)の日銀金融政策決定会合の結果公表で、黒田総裁は驚きの「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を発動し、マーケットの話題は黒田日銀に集中しました。
【参考記事】
●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ!米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ
●日本経済新聞が事前に報道! 日銀のマイナス金利導入は察知されていたのか?
●日銀のマイナス金利は引下げ余地大きい。ドル/円は押し目買い目線で125円方向へ(2月2日、西原宏一&松崎美子)
「甘利ショック」も一気に霧散し、米ドル/円と日経平均は短時間で暴騰します。
米ドル/円 30分足(出所:CQG)
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
■日銀のマイナス金利導入の効果については賛否両論 今回の日銀のマイナス金利導入の効果については賛否両論です。
まず、これまでと違って追い込まれてからの緩和策の発表であること。
次に、下記の第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストが指摘するように、低金利誘導が金融機関の経営を圧迫すること。
例えば、銀行は預金を集めて、その資金を貸出や国債運用に回している。
全国銀行の場合、2014年度の決算では資金運用収益9.8兆円のうち、2.5兆円は有価証券利息・配当金である。これらの収益から預金利息などを支払い、人件費・物件費を差し引き、経常利益を得ている。この利益が人為的な運用収益の下押しで削り込まれることになる。
しばしば日銀がマイナス金利を導入すると、銀行の預金利回りはマイナスになるのかと疑問が湧くが、それはないだろう。なぜならば、預金の保有残高が一定期間ごとにマイナスに目減りする仕組みをつくると、預金者は損失を嫌がって、現金保有に金融資産をシフトさせるからだ。
銀行は、現金シフトを警戒して、預金金利をマイナスにはしないだろうから、結果的にマイナス金利政策のしわ寄せを食ってしまう。
これが金融仲介機能に悪影響を与えることは間違いない。
つまり人為的な低金利誘導が、過度に金融機関の経営を圧迫する可能性があることだ。
(出所:ロイター)
確かに、この発表を受けて金融関連の株は軒並み急落。
そして、マーケットの反応もこれまでと違って乱高下。
日銀のマイナス金利発表当日(1月29日)、米ドル/円は118.50円レベルから一気に121.69円まで急騰。
短期的に日足の200日移動平均線と一目均衡表・雲の上限に止められた格好となりました。
米ドル/円 日足(出所:CQG)
しかし、今週(2月1日~)に入って、米ドル/円は上げ幅をすべて…