変動率の低かった2018年の米ドル/円、今後 の市況を占うポイント3点を確認してみると…
2018-11-16
1995年~2017年のデータでは、米ドル/円の平均年間変動幅は17.71円で、平均変動率は約16.43%だった。
そのうち、1998年の36.19円は最も値幅が大きく、2015年の10.01円は最も値幅が小さかった。ちなみに、2011年、2012年も11円未満の値幅だったので、変動率は小さかった。
では、今年(2018年)はどうだろうか。2018年の最安値は3月の104.56円だった。いくら円高派でも2018年年内安値更新の想定は皆無なので、その値から計算すればよい。10月高値114.56円で測るとちょうど10円なので、このままだと2015年と並び、最も変動率の低い年になりそうだ(高安値は出所によって多少の差あり)。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
平均年間変動幅は17.71円なので、平均的な値幅なら今年の高値は122.27円という計算も出来るが、筆者のような米ドル高派でも(2018年年内という前提条件の制約があるから)そこまでの米ドル高はないと思う。
しかし、仮に115円の節目打診があっても、11円未満の値幅なので、2011年、2012年と同じく、変動率が低いという結果は変わらない。
だからこそ、繰り返し指摘してきたとおり、米ドル/円の2018年年内115円節目トライといった見方は、基本的にはかなり保守的で、バイアスによるものではない。
米ドル高の予想なら、または米ドル高予想のバイアスが効いた見方なら、最低でも120円以上の目標でないと「説明がつかない」。
もちろん、相場は変動率のみをもって解釈できるものではなく、上値の予想も変動率のみでは測れないから、あくまで1つの視点として参考程度に留めるべきだが、言いたいのはただ1つ、今の状況は米ドル高ではなく、本格的な米ドル高はむしろこれからのはずだ、ということだ。
■目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きなポイント 米ドルの頭を押さえる要素はたくさんあって、今さら枚挙に暇がないが、米ドルの変動率が抑えられているとはいえ、米ドル高・円安のトレンド自体は今年(2018年)のメイントレンドとして観察され、また維持されていることは間違いない。
米中対立、株式市場の波乱などいろんな出来事もあったが、円はリスク回避先として評価されていない、つまり目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きいなポイントであることを、再度強調しておきたい。
換言すれば、米ドル高のスピードが抑えられているものの、トレンド自体は維持されており、トレンドの転換を判断するには何か確実なサインが必要で、そのようなサインの点灯なしでは米ドル高の終焉云々は主観的すぎる判断だと思う。
さらに、米ドル全体の値動きを表すドルインデックスは、先週(11月5日~)にて2018年年初来高値の再更新を果たし、米ドル/円のこれからの追随(すなわち、2018年年初来高値の再更新)を示唆している。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
ところで、ドルインデックスの強気変動自体が…