2016年前半相場のカギを握る日銀会合。 一番重要なのは追加緩和の有無ではない!
2016-01-28
2016年スタートとともに始まった急激な「株安・資源安(原油安)・円高」相場ですが、日銀のQQE3(量的・質的金融緩和第3弾)期待の高まりとともに、いったん収束(前回コラム参照)。
【参考記事】
●ドル/円は一時115円台! 日銀の追加緩和期待高まるが中期の株安・円高は変わらず(1月21日、西原宏一)
市場参加者の間には、今回のリスクオフ相場に対して、G7(先進7カ国)が協調してマーケットを沈静化させるのでは…という観測(期待?)がありました。
■ドラギ発言が黒田総裁のQQE3を連想させることに… そして、その期待どおり、1月21日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会で、ドラギ総裁は3月の追加緩和を宣言しました。
【参考記事】
●バズーカ発射へと追い込まれる黒田総裁。追加緩和実施ならドル/円はどこまで上昇?(1月26日、西原宏一&松崎美子)
彼の突然の追加緩和宣言が、FOMC(米連邦公開市場委員会)のハト派的なトーン、そして、何よりも1月29日(金)に予定されている黒田日銀によるQQE3を連想させ、「株・原油・米ドル/円」を一気に反発に転じさせることに成功しています。
NYダウ 4時間足(出所:CQG)
NY原油先物 4時間足(出所:CQG)
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
今月(1月)に入ってのマーケットは各国の経済指標が重要ではなく、この急激な「株安・資源安」が止まるのかどうかに焦点が当たっています。
この意味においては、ドラギ総裁はさすがの手腕で、2カ月先の緩和予告という(今のところ)口先だけで、グローバルな株価の下落を食い止めています。
連携して、1月26日(火)~27日(水)にかけて開催されたFOMCは極めてハト派的なトーンに終始。
そのバトンを渡されて、世界中が注目している日銀金融政策決定会合の結果公表が、明日(1月29日)予定されています。
■マジノ線は米ドル/円が115円、日経平均は1万6000円 ドラギ総裁の追加緩和宣言に呼応して、マーケットは素直に、リスクオフの修正に入り、株は反発、米ドル/円も一時、119円台まで回復しています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ここで米ドル/円の動向をテクニカル分析で確認してみます。
まず、米ドル/円は2014年10月15日(水)からのサポートが2016年年初に崩れてから円高相場がスタートしています。
米ドル/円 週足(出所:CQG)
次に注目されるのが75週移動平均線です。
2012年来、3年間にわたって米ドル/円をサポートしてきた75週移動平均線。こちらも、2016年年初にブレイクされてから米ドル/円の下落に弾みがつき、一時は115.98円まで急落。
米ドル/円のマジノ線(115.00円)に向けて急速に接近。
(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)
このリスクオフな相場展開の中、ドラギ総裁のコメントが黒田総裁の決断を連想させ、マジノ線ブレイクは回避されています。
米ドル/円 週足(出所:CQG)
日経平均のマジノ線である1万6000円も同様にサポートされた格好。
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
あとは、日銀の黒田総裁が1月29日(金)にどう動くのかが…