雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?
2018-09-21
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
世界の金融市場を取り巻く環境には、不安定要因がいくつかあるものの、そんな中でも、金融市場は強気相場が続いています。
■株高の背景には先進国の景気安定 そのベースにあるのは、やはり米国を中心に、先進国の景気が好調であるということでしょう。
米国は雇用環境が急速に改善し、なかなか低迷から抜け出せなかった賃金にも、ようやく上昇傾向が見られるようになってきました。
※米労働省労働統計局のデータを基にザイFX!が作成
FOMC(米連邦公開市場委員会)は、継続的に政策金利を引き上げてきましたが、それをこなして米国経済は、依然として好調です。
さらに、日本をはじめ、欧州各国なども、基本的に景気は安定しています。
■いつ貿易戦争に突入してもおかしくないのに… さて、一方の不安定要因に目を向けてみます。
まず、トランプ米大統領は中国に対して、2000億ドル相当の輸入品に追加関税を課すことを明らかにしました。これで3度目です。
関税はまず、9月24日(月)から10%、来年(2019年)からは25%の課税となります。
また、中国の出方次第では、さらなる関税措置を講じ、中国からの輸入品全額に対して、課税をすることも検討していると、トランプ大統領は発言しています。
普通に考えれば、貿易戦争に突入していってもおかしくない事態ではありますが、市場の反応は鈍いです。
米中の関税の掛け合いは貿易戦争に突入していってもおかしくない事態なのに、市場の反応は限定的。市場は、すでに3度目の措置で慣れてしまったこと、これまでも結局、金融市場が崩れなかったことが原因か。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
それは、今回の措置が3度目で慣れてきてしまっていること。これまで、2度の課税措置においても、金融市場が結局、崩れなかったことが背景にあります。
■当面、米中貿易戦争は市場に大きな影響を与えずか また、ムニューシン米財務長官を中心に、水面下で中国と交渉が続けられていますが、米国も中国も、自国経済だけでなく、世界経済全体を壊すようなことはしないと楽観している面もあるでしょう。
米国がムニューシン米財務長官を中心に水面下で中国と交渉を続けていることが、米国と中国が自国経済だけでなく、世界経済全体を壊すようなことはしないという楽観的な見方を生んでいるというのが今井氏の考え (C)Bloomberg/Getty Images
1度目と2度目のときは、短期的にリスクオフになる局面もありましたが、今はもう、そういう反応をする参加者がいなくなってしまいました。
たしかに、中期的にはまだ不安材料ではありますが、当面は、大きな影響はなさそうな状況になってきたということです。
2点目の不安定要因は、新興国経済への不安です。先日、トルコ中銀は…