日銀会合で緩和政策の修正はあるのか? 米ドル/円の上値は113~115円で限定的に
2018-07-26
トランプ米大統領の保護主義や関税引き上げが米ドル高を誘引し、4月以降、総じて米ドルがじり高に推移していましたが、日本時間7月20日(金)未明、その米ドル高をトランプ大統領自身が否定。
トランプ大統領 ”中国とEUは為替操作” ツイッターで批判
トランプ米大統領は20日のツイッターへの投稿で、通貨と金利を不当に低い水準に操作してきたと中国、欧州連合(EU)を批判。
アメリカのトランプ大統領は、「中国やEU=ヨーロッパ連合などは為替を操作してきた」と批判したうえで、関税の引き上げに加えて、ドル高への対応を検討する構えを示しました。
トランプ大統領は20日、ツイッターに「中国やEUなどは為替を操作し、金利を低くしている」と投稿して、中国やEUを批判したうえで、ドル高が進んでアメリカの輸出が不利になっていると強い不満を示しました。
さらに「アメリカは違法な為替操作やひどい貿易によって失われたものを取り戻すことが許されるべきだ」と続けて投稿し、貿易赤字の削減に向けて、関税の引き上げに加え、ドル高への対応を検討する構えを示しました。
また、「今、利上げをするとわれわれがしてきたすべてのことが損なわれる」とも投稿し、利上げを続けるアメリカの中央銀行、FRB=連邦準備制度理事会を引き続きけん制しました。
出所:NHK Web
この報道の中でも触れられていますが、トランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げなどに不満を示したことも、米ドル反落の要因に上げられています。
ただ、FRBは中央銀行として、あくまでも独立性を保っていますので、トランプ大統領がFRBに、利上げに関して不満を述べたとしても、パウエル議長の判断になんら影響はなく、それが米ドル反落の要因にはなっていないと想定しています。
そのため、対ユーロや対豪ドルなどでは、米ドルは依然底堅い動き。
ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
豪ドル/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
ただ、米ドル/円は、まったく違う動きで、一時113円台まで反発していましたが、急反落しています。
米ドル/円 4時間足(出所:Bloomberg)
■日銀の緩和政策修正期待で米ドル/円は反落 トランプ大統領による米ドル高牽制コメントを受けても、米ドルは対円以外では、依然として底堅く推移していたため、対円でも米ドルが底堅いという見方も多数あります。
ただ、7月20日(金)のトランプ大統領のコメント(=112.50円レベル)がきっかけで、多くの参加者は、米ドル/円のロングを早々にあきらめ、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のショートに戻したことが、良い判断であったことが、その日のうちに判明します。
それは、ある報道をきっかけに米ドル/円が急反落し、時間をかけてブレイクした111円台ミドルをあっさり割り込む急落を見せたためです。
その報道とは、日銀が緩和修正へ動く可能性があるというものでした。
「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」などでも、何度かご紹介させていただいていますが、多くのヘッジファンドにとって、中央銀行トレードは最重要トレードとなります。
【参考記事】
●ヘッジファンドの狙いは「日銀トレード」!? ドル/円は戻り売り継続で107円台前半へ…(1月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
なぜなら、明確なトレンドが発生し、収益を上げやすい相場が訪れるからです。
例を挙げると、FRBやECB(欧州中央銀行)が量的緩和を行っている期間は、それに合わせて、当該通貨である米ドルやユーロが大きく値を崩します。
日本でも、黒田バズーカと言われる日銀の量的・質的金融緩和により、大幅な円安を引き起こしたのは、記憶に新しいところ。
その後、FRBやECBがテーパリング(※)に向かうと、その当該通貨は、逆に大きく値を上げます。昨年(2017年)のユーロ/米ドルの反発が、その例となります。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
そして、主要中央銀行で緩和修正に入っていないのは…