トランプショックでもパニックでもない! 米ドル/円は115円台への上昇も狙える!
2018-07-20
一方、トランプ米大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ政策もけん制しており、中国人民元安へ強い不満を表明していたから、問題は単純ではなく、これから市場の反応を見極めるのが大事であろう。
換言すれば、市場参加者たちの多くはトランプ氏の発言を消化するのに時間がかかり、目先、性急な判断を下さないほうがよいと考える人が多いことも推測される。
■「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯した可能性 ドルインデックスの日足を見ると、昨日(7月19日)はいったん高値更新を果たしてから反落。辛うじて陽線引けを保ったものの、「上ヒゲ」の長いローソク足となった。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
この高値更新は6月21日(木)、28日(木)の高値(これらはダブルトップの高値でもあった)に対する更新であっただけに、昨日(7月19日)の上方突破が失敗に終わったということは、結果として、「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯した可能性がある。
「フォールス」とは「ダマシ」ということを意味するから、ブレイクアウト自体がダマシであれば、トランプ氏の発言をきっかけにして米ドル高のトレンドがいったん終焉し、反落してくるリスクが高まるだろう。
■ショックやパニックではなく、むしろ、米ドルの底堅さを暗示 このようなリスクは排除できないものの、筆者はそういった見方に現時点では懐疑的だ。言い換えれば、トランプ氏の発言はあくまでスピードを押さえただけで、米ドル高基調は修正されないと筆者は思う。
トランプ氏が米大統領として米ドル高をけん制すること自体は問題ないが、FRB政策に対する「文句」を公の場で言ったのは明らかにルール違反だ。少なくとも中銀の独立性が重視される先進国では異例で、米国大統領としては著しく品位に欠ける発言だった。中国人民元の大幅安に苛立ちすぎたせいもあったと思うが、失言であったに違いない。
それでもマーケットが動揺したかと聞かれると、筆者はノーだと思う。
一般論として、世界No.1の米国大統領が新興国のリーダー(たとえばトルコ大統領)のように中央銀行の政策に公然と文句を言い始めたら一大事だ。それなら株、通貨、債券市場のトリプル安をもたらしてもおかしくなかったが、今回はそのような急落がみられなかった。
また、米ドル全体は反落してきたものの、なお高値圏の変動に留まり、米ドル/円に至っては112円台を維持しているから、ショックとかパニックとかの状況にほど遠いばかりか、むしろ、米ドルの底堅さが暗示されているかと思う。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■トランプ氏の発言を今、市場関係者は鵜呑みにしていない それに関しては、米大統領云々よりトランプ氏だからこそ、マーケットがその発言を「深刻」に受け取れず、また、消化するのに時間がかかることが主な原因ではないかと思う。
言ってみれば、トランプ氏は米大統領に選出されて以来、ほぼ一貫してサプライズ的な発言を繰り返してきたから、今さら氏の言葉に一々反応したり、また、一々サプライズとして受け取る市場関係者がいないのだろう。
トランプ氏の発言はその場しのぎ、かつ感情的な要素が多かっただけに、市場もすぐ鵜呑みにするのではなく、時間をかけて検証していく習性ができていると思う。要するに、トランプ氏だからこそ「許される」し、また、トランプ氏だからこそサプライズを感じないのである。
この意味において、マーケットにおける極めて限定的な値動き自体も大きなヒントになるだろう。動揺しない市場はトレンドを修正していくよりも、トレンドを継続させる確率が高いから、前記ドルインデックスの日足における「フォールス・ブレイクアウト」の疑いも近々解消されるのではないとみる。
改めてドルインデックスの日足を見ると、いくつかのポイントが重要で…