米通商問題が争点となり米ドル安が進む。 ドル/円は110円が決壊! 次は105円へ…!?

■米通商問題が早くも争点に! 米ドル/円は110円が決壊! みなさん、こんにちは。
 今年(2018年)に入ってからの米ドル/円相場は、極めて特異な動きをしています。
 これまでと相違し、日経平均の暴騰にも、米10年債利回りの急騰にも連動せず、上値が極めて重い展開が続いています。
【参考記事】
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
●日銀会合で黒田総裁は「出口」をどう語る?何をしても上がらないドル/円は売り継続で(1月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
 この上値の重い米ドル/円の背景には、「米国の通商問題が横たわっているのではないか?」とこのコラムでも懸念していたのですが、今週(1月22日~)は、その通商問題がマーケットの前面に出て、貿易戦争に発展しそうな勢い。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
 きっかけは、トランプ大統領によるセーフガードの発動。
米政権、洗濯機と太陽パネルのセーフガード発動 アジア・欧州で反発高まる
トランプ米大統領は23日、洗濯機と太陽光パネルに輸入関税をかける大統領令に署名した。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は前日の声明で、トランプ大統領が家庭用大型洗濯機のほか、太陽電池および太陽電池モジュールに対し、輸入を制限するための関税を課すことを承認したと明らかにしていた。米通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)発動はトランプ政権で初めてとなる。
こうした措置に対し中国と韓国などから批判が相次いでいるが、トランプ大統領はこれにより通商戦争が引き起こされるわけではないとし、「雇用が回復し、われわれは自分たちの製品を自ら製造することになる。こうしたことは長らくなかった」と述べた。
出所:ロイター
 トランプ大統領は、就任当初から通商政策には強硬的な姿勢を見せており、これが保護主義的だと言われています。
 大統領就任直後には、TPP(環太平洋連携協定)撤退に加え、NAFTA(北米自由貿易協定)からも手を引く考えを示唆。
 しかし、大統領就任1年目の彼は、オバマケアの撤廃と税制改革に注力しており、2017年の彼の政策にはマーケットが懸念していたほど保護主義的な通商政策はみられませんでした。
 そして、今年2018年は米連邦議会の中間選挙を控えています。
 その影響なのか、2018年初頭からトランプ大統領は通商問題の解決に向け、早くも動き出した模様。
■モルガン・スタンレーも米通商リスクに警鐘 この動きを察知したのか? 米大手モルガン・スタンレーも米通商リスクに警鐘を鳴らしています。
 1月22日(月)、米大手のモルガン・スタンレーが「米通商問題」に対して興味深いレポートを出しているので、紹介させていただきます。
モルガン・スタンレー、米通商リスクに警鐘鳴らす-ヘッジ呼び掛け
モルガン・スタンレーのストラテジストは、米国市場における通商リスクはもはや仮定の問題ではなく、投資家は十分に注意を払うべきだと指摘した。
2016年の米大統領選中のトランプ氏の発言が通商政策に対する国民の想像を膨らませたと見られるが、トランプ政権の1年目はこうした発言よりも実際の行動は少なかった。
一方、中国との一触即発状態の紛争や現在行われている北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉など、通商政策の多くで判断の期限が迫りつつあり、こうした問題がマーケットに一層大きく影響し始める可能性がある。保護貿易の兆候を示唆する最新の動きでは、米国が22日に太陽光パネルの輸入品に関税を課す決定を下した。
マイケル・ジーザス氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは22日のリポートで、「NAFTA再交渉を進める一方、関税など保護主義的措置を規定した米国法に基づく勧告に対して米政権は行動を起こすのか、あるいは行動を起こさないのか、当面の期限が迫っている」と指摘。「これはNAFTA再交渉やより広範な保護主義的措置で一層厳しい姿勢を取るという懸念をあおる恐れがある」と述べた。
同ストラテジストらは、現状維持か一時的な通商紛争、強硬な保護主義的措置の3つの通商シナリオを想定。一時的な紛争は市場で短期的にリスク回避の動きを呼び起こす一方、輸入抑制へ全力を挙げるようなら影響が長引く可能性があるとみる。
こうしたリスクを回避する手段として、為替と株式に関するモルガン・スタンレーの助言は以下の通り:
●ヘッジとして韓国ウォンに対し円をロング(買い持ち)する
●年内はメキシコ・ペソとカナダ・ドルのコアショート(売り持ち)を維持
ジーザス氏は「関税措置の発動決定は近年の米国史で例がないわけではないものの、米国の従来の自由貿易スタンスが大きく転換したことはない」と説明。「ただ、現行の自由貿易政策を米国は堅持するのかどうかについて投資家の見方が関税措置によって揺らぐ恐れがあることを、われわれは認識しておかなければならない」と記した。
出所:Bloomberg
 個人的にも、今年(2018年)は米国の通商問題が焦点になると考え、その時期は、中間選挙に向けて年後半かと想定していましたが、このモルガン・スタンレーのレポートにもあるように、年初から「通商問題」がマーケットの焦点となり、米ドル/円は上値の重い展開を続けています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
 また、NAFTA(北米自由貿易協定)では、おもにメキシコがターゲットとなりそうですが、カナダも米国をWTO(世界貿易機関)に提訴しており、保護主義が進む可能性が出てきています。
 そして、トランプ大統領は、就任前には日本に対しても貿易不均衡を主張していたので、ヘッジとしての円ロングが必要な時期に入ったのかもしれません。
 こうした動きの中、1月24日(水)にはムニューシン米財務長官の…

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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