米ドル高値トライ「三度目の正直」は失敗 なのか? 米長期金利から真相を読み解く!
2017-11-17
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
米下院での税制改革法案可決が伝えられ、昨日(11月16日)の米国株の反騰に日経平均も追随しているが、執筆中の現時点の米ドルは、軟調に推移している。
米ドル/円は、日経平均の反騰についていかないばかりか、逆に反落しているから、背離する傾向すらみられる。
米ドル/円 VS 日経平均 日足(出所:Bloomberg)
市場関係者は、上院による税制改革法案審議の難航を予想しているから、米ドルのロングを躊躇している、といった解釈が多く聞こえてくるが、株式市場のパフォーマンスは同じ理由で解釈しにくい。よって、あくまで適当な言い訳であろう。
米ドル全体、特に米ドル/円の値動きは、米長期金利との連動性から考えるべきだと思う。
■米長期金利の上昇なしでは本格的な米ドル高になれない 米長期金利(10年物国債の利回り)は、10月末の2.477%から一時、2.304%まで下落、執筆中の現時点では2.354%の水準に留まっている。さらに、日足に照らして考えると、三尊型(※)というフォーメーションの可能性も見られ、それが指し示すとおりに動くなら、米金利は低下傾向にあると思われる。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
米長期金利(10年物国債の利回り) 日足(出所:Bloomberg)
ゆえに、日本株が11月9日(木)まで大幅上昇していた中、米ドル/円の上値が重かったことや、その後、米ドル/円が相応の下落を果たした市況は「納得」できる。
米利上げ観測がくすぶる中、米長期金利の上昇なしでは本格的な米ドル高の構造になれず、市場関係者は総じて疑心暗鬼の心理状況であるからだ。
この意味では、米ドル/円は一時7月高値をブレイクし、11月6日(月)にて114円台後半まで迫ったものの、その後、一転して反落、一時112円台前半まで落ちていることも「仕方がない」と思われる。
だから、冒頭で述べたように、米株も日経平均も反騰しているが、米ドル全体や米ドル/円はついていかずにいる。場合によっては、株高に米ドルはついていけず、株安の時のみ米ドル/円がつられて下落、といった印象さえ受ける。
換言すれば、株高が米ドル/円に連動しなかったので、これからの米ドル/円の動向も、株式市場ではなく、米長期金利の方がカギとなろう。
■米長期金利と米ドル/円の値動きを比較してみると… 米長期金利は、10月末にいったん5月、7月高値を更新したものの、その後一転して反落してきたため、高値更新自体が「フォールス」、すなわち「ダマシ」であった可能性がある。
米長期金利(10年物国債の利回り) 日足(出所:Bloomberg)
米ドル/円で検証すると、やはりいったん5月、7月高値更新を果たしてから反落し、同じく「フォールス・ブレイクアウト」の疑いが持たれている。
米ドル円 日足(出所:Bloomberg)
米ドル高の継続を「三度目の正直」と期待していたところ、「二度あることは三度ある」になるリスクが浮上し、9月安値を起点とした米ドル高・円安も結局115円の大台を超えられずに終わってしまうのだろうか、と多くのロング筋が自問し始めたのではないだろうか。
米10年物国債利回りの値動きがカギとなるなら…