売り材料のないFOMC後になぜ米ドル安? 気をつけろ! それは相場反転のサインだ
2017-07-28
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)
米ドル/円に至っては、112円前半の抵抗を再度確認、中段保ち合いを余儀なくされている。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
米ドル安トレンドの進行は、トレンドフォローの視点では当然の成り行きなので、本コラムが強調してきた「ユーロは買うのみ」という考え方もロジック的に正しかった。
■ユーロは「買うのみ」から「買ってもよいが、気をつけて」へ しかし、ここまで来て、このロジックを若干修正する必要が出ている。慎重なスタンスも取り入れて、「ユーロは買うのみ」から「買ってもよいが、気をつけて」へ変更したいと思う。
まず、テクニカルの視点では、米ドル安のトレンドがこれからも続くと思われるが、目先の状況は明らかに「オーバーシュート」(売られすぎ)であり、少なくともいったんスピード調整(切り返し)を起こす確率が高いだろう。
場合によっては、オーバーシュートの深刻さと比例して、切り返しも相応の値幅になるかと思う。
■米ドル全体が「売られすぎ」のサインが随所に オシレーター系の中では、RSIがもっとも代表的指標なので、同指標をもって週足を見ると、足元でRSIの安値は2012~2013年の位置を下回り、2011年5月安値に接近する勢いを見せている。
一方、昨日(7月27日)、ドルインデックスは93.15の安値にトライし、2016年6月安値に迫ったものの、2011年5月の安値(約72.70)に比べれば、はるかに高いレベルにあるのがわかる。
ドルインデックス 週足(出所:Bloomberg)
こうなると、答は1つしかないだろう。すなわち、米ドル全体が売られすぎている。あまりにも売られすぎているから、RSIは記録的な安値に接近しており、マーケットの「一辺倒」が逆に近々の反転可能性を暗示している。
■FOMCの声明内容はドル売り材料になるようなものだった? この見方は、ファンダメンタルズ上の視点でも検証される。7月26日(水)のFOMCを受けて米ドル全体が急落したが、FOMC自体が材料であったかと言えば、非常に微妙なところだ。
一部巷の解釈では、FOMC声明に「ハト派」と受け取られる節があったから米ドルが売られた云々もあったが、結果論にすぎず、恣意的な解釈であろう。
実際のところ、金利の据え置きにしても、これからのスタンスに関する声明にしても、マーケットの予想どおりだったのだから、米ドル売り自体は材料の中身と関係なく進められた側面が大きい。
これこそトレンドの慣性であり、また行きすぎの証拠の1つである。なにしろ、米ドル売りは「材料なし」、または予想どおりのFOMCが「意外な材料」として利用されたのである。このような「ネコも杓子も」米ドル売りにつながる状況は「正常」ではない。
米ドル売りモメンタムの強さに感心させられるが…