日銀決定はテーパリングへの道?それとも ヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ
2016-09-29
全世界の注目を集めた日銀の新たな緩和策について、ここで確認します。
今回の緩和策の名称は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」。
決定を要約すると、
(1)2%目標実現へ、これを安定的に持続するために必要時点まで継続
(2)マネタリーベースは安定的に物価上昇率が2%超まで拡大
(3)金融市場調節方針は、長短金利の操作について方針示す
(4)長短金利の操作を行うイールドカーブコントロールを導入
(5)平均残存期間の定めは廃止する-長期国債買い入れ
まず、2%の「物価安定目標」の実現時期を明記することをやめて、「できるだけ早期に実現する」という表現に変更。
次にイールドカーブコントロールの導入が入っており、金融機関への配慮を示しています。
【参考記事】
●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
●マイナス金利の深堀りはなく相場乱高下! 日銀は金融政策の何を変更したのか?
この決定に対して、日本の市場参加者の大多数は、明らかに「テーパリング(※)への道である」と認識しています。
大多数の意見をまとめると、今回の枠組みが日銀版テーパリングへの道を開くものであり、現時点ではマーケットがそれを十分に理解していない。その理解が浸透するにつれて、円高圧力は強まり、米ドル/円の100円割れはもちろん、さらなる円高は避けられないといったところ。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
これまでの日銀のQQE(量的・質的金融緩和)に対して、市場参加者はラフにいってしまえば、「量の拡大=円売り」と反応していたわけですので、今回の決定が「量の縮小」であれば、マーケットの最初のリアクションは「円高」に振れても当然といったところ。
加えて、ドイツ銀行株急落の悪影響もあり、米ドル/円の100円割れは必至で、95円へと急落するというのがコンセンサスになりつつあります。
ドイツ銀行株価 日足(出所:CQG)
米ドル/円 週足(出所:CQG)
しかし、これは本当に、多くの市場参加者が指摘するような「テーパリングへの道を開いた?」ことだと言えるのか?
■バーナンキ氏は日銀政策を「ヘリマネに似ている」と評価 一方、今回、日銀が導入した策に対して肯定的な意見もみられます。
前FRB(米連邦準備制度理事会)議長のバーナンキ氏は、日銀の政策を「ヘリマネに似ている」との見方を示していると報じられています(9月26日(月)公開の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を参照)。
【参考記事】
●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
日銀政策「ヘリマネに似ている」 前FRB議長が指摘
日本銀行が新たに導入した長期金利を「0%程度」とする目標について、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長がブログで、政府の借金を中央銀行が直接引き受ける「ヘリコプターマネー政策」に似ているとの見方を示した。
バーナンキ氏は、日銀の新たな金融政策の枠組みについて「市場の反応はまちまちだった」としたが、「デフレを終える目標への新たな決意が含まれており、おおむねいいニュース」と評価した。
出所:朝日新聞
バーナンキ氏の主張が正しければ、米ドル/円相場は早晩、底打ちし、反発に転じる可能性が高まっていることになります。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
前述のように「日銀の緩和策はテーパリングへの道」ではないとする…