
この記事の要点
- パキスタン財務相、既存ユーロ債のトークン化方針を表明
- 銀行依存を見直し、政府の資金調達手段を多様化
香港を参考にユーロ債トークン化へ
パキスタンのムハンマド・アウラングゼーブ財務相は2026年9月4日、イスラマバードで開かれたアジア開発銀行(ADB)主催の会合で講演し、既存のユーロ債の一部をトークン化する方針を明らかにしました。
同財務相は、政府の借り入れが国内銀行に過度に依存している現状は持続可能ではないとの認識を示し、資金調達先を多様化する必要があると述べています。
その取り組みの一つとして香港を参考に既存ユーロ債のトークン化を検討するほか、新たな債券による資金調達も進める考えを示しました。
さらに、ルピー建て・ドル決済型債券の発行も進める方針で、担当する金融機関はすでに選定していると説明しています。
仮想通貨事業を免許制へ転換
ユーロ債30億ドル発行で国際資本市場に復帰
発行額の約2倍の注文、投資家の関心鮮明に
パキスタンは財務相の講演に先立ってユーロ債を発行し、30億ドル(約4,690億円)を調達して約4年ぶりに国際資本市場へ復帰しました。
同財務相によると、注文額は発行額の約2倍となる約60億ドルに達し、アジアや中東、欧州、米国から幅広い投資家が参加しました。
パキスタンでは2025年4月以降にソブリン格付けが3回引き上げられており、同財務相はこうした外部評価の改善によって国際資本市場への復帰が可能になったと説明しています。
5,000ルピーから国債投資、調達手段を多様化
また同財務相は、政府の資金調達をめぐる国内の課題にも言及し、銀行への過度な依存は「もはや持続可能ではない」と指摘しました。
そのうえで、政府債券の投資家層を多様化する必要があるとして、保険会社やノンバンク金融機関(NBFI)などの参加を促す債券市場の育成を進める考えを示しています。
個人投資家への間口も広げており、財務省とモバイル決済大手ジャズキャッシュの連携やパキスタン中央銀行(SBP)のアプリを通じて、5,000ルピー(約2,800円)から国債に直接投資できる仕組みを導入しています。
資金調達手段の多様化にも取り組んでおり、ルピー建て・ドル決済型債券については、発行に向けて担当する金融機関をすでに選定したと説明しました。
政府債のブロックチェーン発行モデルを研究
こうした政府の資金調達改革と並行して、パキスタンではブロックチェーンを活用した政府債の発行モデルについても研究が進められています。
パキスタン仮想資産規制当局(PVARA)のビラール・ビン・サキーブ議長は2026年8月25日、タシケントで開かれたフォーラムで、規制下のブロックチェーン基盤を利用して政府債を発行するモデルを研究していると明らかにしました。
研究中のモデルでは投資の最低額を引き下げて決済時間を短縮する一方、クーポンの支払いや償還は既存の金融インフラと接続する仕組みが想定されています。
PVARAは2026年に制定された仮想資産法(Virtual Assets Act)に基づいて設立された規制当局で、パキスタンでは仮想資産事業者を規制下に置くための制度整備も進められています。
パキスタン中央銀行(SBP)も通達「Circular 10」を発出し、認可を受けた仮想資産サービスプロバイダー(VASP)への銀行口座提供を認めるなど、既存の金融システムとの接続に向けた環境を整えています。
戦略的ビットコイン準備金を設立
先行する香港の債券トークン化、パキスタンも追随
アウラングゼーブ財務相が参考例として挙げた香港では、政府によるトークン化債券の発行がすでに複数回実施されています。
香港政府は2023年に初のトークン化グリーンボンドを発行し、その後もデジタル債券の発行を重ねており、今後はトークン化した政府債券を定期的に発行する方針を示しています。
パキスタンでも政府債へのブロックチェーン活用に向けた研究が進む中、今回新たに既存ユーロ債のトークン化を政府の資金調達手段として検討する考えが示されました。
記事執筆時点ではトークン化の実施時期や対象額などの詳細は示されておらず、香港の先行事例をどのような形で取り入れるのかは今後具体化していく見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.26 円)
関連の注目記事はこちら
Source:アウラングゼーブ財務相講演
サムネイル:AIによる生成画像






コメント