金融庁と警察庁、暗号資産交換業者に出庫制限など要請。詐欺被害防止へ

購入後や新規登録先への出庫を一定期間制限するよう要請

金融庁と警察庁が、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、暗号資産(仮想通貨)を用いた詐欺被害などの防止に向けた対策の一層の強化を要請したと8月6日に発表した。

今回の要請は、事業規模を問わず、すべての暗号資産交換業者を対象とする。両庁は、システム対応などにより直ちに対策を講じることが難しい場合には、計画的に対応することが重要だとしている。

要請された対策は11項目(下記参照)。このうち暗号資産を外部ウォレットなどへ送る「出庫」に関しては、法定通貨の入金後または暗号資産の購入後、一定期間にわたり出庫を制限することが盛り込まれた。制限解除後、早期に多額または高頻度の出庫を行う顧客については、取引の背景などを確認するよう求められている。

また出庫先情報をあらかじめ登録し、詐欺などとの関連性を確認する仕組みも盛り込まれた。関連性が認められた場合は出庫を防止し、新たに登録された出庫先についても一定期間、暗号資産の出庫を制限するという。

出庫限度額については、顧客のリスク評価や属性、保有資産額、取引目的、過去の取引内容などに応じて設定するよう要請された。詐欺被害の発生状況を踏まえ、限度額を機動的に制限・見直すことも求められた。

取引監視では、直近の詐欺被害のパターンを反映した検知シナリオの導入や、顧客の属性・利用目的に見合わない取引の検知、不正利用が確認された口座と同一の端末・アクセス環境から行われた取引の検知などが挙げられた。

疑わしい取引を検知した場合については、その疑わしさの度合いに応じて対応内容を分け、速やかに措置を講じるとされている。両庁は具体的に、不正の確証が得られた場合の法定通貨の入出金や暗号資産の入出庫の停止・凍結などを「リスク遮断措置」、確証が得られない場合の取引の一時保留や顧客への確認などを「リスク低減措置」として示した。また、夜間や休日にも速やかに取引制限などを実施できる態勢の構築が盛り込まれた。

このほか、本人確認書類の真正性を確認する仕組みの構築、第三者の指示による口座開設や暗号資産の購入・出庫に関する注意喚起、重要な操作時におけるフィッシング耐性のある多要素認証の必須化、送金依頼人名と暗号資産口座の名義人名の一致確認などが要請された。

さらに、詐欺被害や口座の不正利用に関する暗号資産交換業者間の情報共有や、詐欺のおそれが高い取引を検知した場合の都道府県警察への迅速な情報提供、警察との連携体制の構築も盛り込まれている。

なお、要請資料では出庫を制限する具体的な日数や一律の限度額、実施期限は示されていない。対策の方法や厳格さについては、各暗号資産交換業者の業務・サービス内容や不正利用の発生状況に応じて判断するとのこと。

要請の背景は「詐欺被害の拡大」

今回の要請の背景には、SNS型投資詐欺やSNS型ロマンス詐欺の被害拡大がある。警察庁の2025年確定値によると、SNS型投資詐欺は9,523件、被害額は1,288億円、SNS型ロマンス詐欺は5,645件、被害額は546.4億円で、いずれも前年を上回った。

SNS型ロマンス詐欺のうち、被害者が暗号資産を送付した「暗号資産送信型」は2,177件、被害額は247.7億円だった。振込型における暗号資産振込も合わせると、被害金などの主な交付形態が実質的に暗号資産であったものは、同詐欺の認知件数の40.4%、被害総額の48.6%を占めた。

なお金融庁と警察庁は2024年2月にも、銀行などの金融機関に対し、送金元口座の名義人と異なる依頼人名による暗号資産交換業者口座への振込を拒否することや、不正送金の監視を強化することなどを要請していた。

暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策(11項目)

・口座開設時における不正防止及び実態把握の強化
・詐欺被害等防止のための確認及び注意喚起
・法定通貨入金後又は暗号資産購入後の一定期間の暗号資産の出庫制限
・出庫先の事前登録制及び登録後一定期間の暗号資産の出庫制限
・出庫限度額の適切な設定
・取引モニタリング及びアクセス環境モニタリングの強化
・疑わしい取引検知後の顧客への確認、取引制限及び口座凍結等の措置の迅速化
・なりすまし等が疑われる場合の認証強化
・送金依頼人名と暗号資産口座の名義人名の一致確認等
・詐欺被害及び不正利用等に関する検知の端緒、実態の把握及び対策の高度化に資する情報の共有
・警察への情報提供及び連携の強化

参考:金融庁要請概要警視庁2025確定値
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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