イーサリアム財団「予算40%・54人」削減、第3世代の刷新に資源集中

この記事の要点

  • イーサリアム財団が予算40%削減と54人削減を発表、基金型運営へ移行
  • 開発体制を再編し、次世代構想「Strawmap」へ人員と資金を集中

イーサリアム財団、予算と人員を大幅削減

イーサリアム(ETH)共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は2026年6月23日、イーサリアム財団(EF)が2026年の予算を約40%削減すると自身のX(旧Twitter)で明らかにしました。

この削減は、EFが昨年公表した財務管理方針に沿った動きで、運用益で活動を賄う長期的な「エンダウメント(基金)型」組織への移行を進め、元本を取り崩さずに運営を続ける体制を目指しています。

こうした方針のもとでEFは同日、全従業員の約20%にあたる54人の人員削減と、業務領域ごとに分かれた5つのクラスター(部門)からなる新体制への移行発表しました。

ブテリン氏によると、EFは年間支出を2026年以前の平均だった残存資金の約15%から、2030年以降は約5%へ段階的に引き下げる計画で、長期的な財団運営を見据えた支出抑制を進める方針です。

EF開発体制を再編、5領域を縮小

ブテリン氏が描く第3世代イーサリアム

ブテリン氏は、今回の予算削減について単なるコスト圧縮ではなく、限られた資金でイーサリアムの大規模な技術刷新を進めるための判断だと説明しています。

その中核に据えられているのが、コンセンサスや暗号証明、プライバシー技術など幅広い領域を見直す「イーサリアム・ストローマップ(Strawmap)」で、ブテリン氏はこれを大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」に続く第3世代への移行と位置付けています。

同氏によると、Strawmapは各要素を段階的に導入していく構想であり、EFも利用者がイーサリアムを利用する際の窓口となる「アクセス層」での役割拡大を進めながら、量子コンピューターやAI時代にも対応できる高性能なプロトコルの実現を目指しています。

縮小対象となる5つの領域

一方で、こうした刷新をより少ない人員で進めるには一定の取捨選択が避けられず、ブテリン氏は削減によって生じる不足分をすべてEF外の活動だけで補えるわけではないと認めています。

そのうえで同氏は、限られた予算と人員をStrawmapへ集中させるため、優先順位を見直す対象として次の5項目を挙げました。

領域 主な変更内容
マルチクライアント戦略 「冗長性」重視から各クライアントの「専門化」へ移し、AIを活用した形式検証を導入
PSE(プライバシー&スケーリング調査) ユニットを縮小し、広範な「探索」から重要領域に絞った「構築」へ転換
Devcon(開発者会議) 規模を縮小し、より簡素で赤字の小さい運営へ
EF外の大型プロジェクト 関与を縮小し、一部はブテリン氏が個人資金で支援
機関向け活動 範囲を絞り込み、再現可能な導入事例の構築に重点

安全性の柱をAI形式検証へ転換

5領域のなかでもブテリン氏が特に重視しているのがマルチクライアント戦略の見直しで、これまでのイーサリアムは一部クライアントに障害が発生してもネットワーク全体が停止しない「冗長性」を安全性の柱としてきました。

今後はその依存度を徐々に下げながら、AIを活用した形式検証による安全性確保へ比重を移していく方針で、すでにBLSライブラリ(署名集約に使う暗号ライブラリ)などで採用されている手法をプロトコル全体へ広げる考えを示しています。

この方式によって多数のEIP(イーサリアム改善提案)への対応負担を抑えられるようになれば、クライアント開発チームは利用者向け機能や独自の改善へ人員を振り向けやすくなるとしています。

完了後はBTC流の抑制的開発へ

ブテリン氏はStrawmapの実装完了後を見据え、新機能を必要最小限に抑える「ソフトなリーン・アンド・ダン(lean-and-done)」という長期方針も支持すると述べました。

この方針ではセキュリティ修正や影響の大きい小規模な改善を優先し、新機能の追加には厳しい基準を設けることで、巨額の予算を必要としない持続的な開発体制を維持するとしています。

その手本として同氏は、機能拡張を続ける大規模プロジェクトではなく、機能を絞り込みながら発展してきたビットコイン(BTC)の開発姿勢を挙げました。

なお、今回EFを離れる54人には、勤続1年あたり1か月分の給与または各地域の法令で定める額のいずれか高い方の退職金が支払われるほか、移行支援やキャリア相談のための助成金も提供されると財団は説明しています。

退職技術者はエコシステム内で活動継続

こうした人員削減に伴い、ブテリン氏は不足する開発リソースの一部について、EF外の開発者や組織による活動拡大で補われるとの見方を示しています。

退職する技術者の多くについても、イーサリアムのエコシステム内で新たな役割を担いながら開発への関与を続けるとの見方を示しており、EF内部から外部コミュニティへの役割分散が進む見込みです。

EF自身も今後数週間から数か月をかけて、5つのクラスターそれぞれの役割や、エコシステムが新体制とどのように連携するのかについて、より詳しい情報を公表するとしています。

新体制ではコア開発を担うクライアントチームへの資源配分や、EF外の組織が担う業務範囲の整理も進められる予定で、各クラスターの詳細については、今後数週間から数か月にかけて順次明らかにされる見通しです。

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Source:ヴィタリック・ブテリン氏 X投稿 / イーサリアム財団ブログ
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