カイカフィナンシャルホールディングスの今井則文氏に訊く、NFT漫画プロジェクトの現在地

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Web3技術やNFTのユースケースが多様化する昨今、クリエイターの新たな資金調達やファン獲得の手段として、ブロックチェーンを活用した支援の仕組みに注目が集まっています。

そのようななかでカイカフィナンシャルホールディングスは独自のNFTプラットフォーム「INO Fine」を通じて、漫画家を支援する「NFT漫画プロジェクト」を推し進めています。

2026年6月2日には、元芸人・漫画家サカモトトシカズ氏の出版を後押しするプロジェクトを第10弾として開始しました。

今回は、同社の取締役である今井則文氏に、直近のグッズ展開やプラットフォームの併用戦略、そして新たに始動する第10弾プロジェクトの裏側など、現在の取り組みと今後の展望について幅広くお話を伺いました。

【プロフィール】
今井 則文(いまい のりふみ)
株式会社カイカフィナンシャルホールディングス 取締役
NFTプラットフォーム「INO Fine」やクラウドファンディングを活用した漫画家支援プロジェクトなどの企画・推進に携わる。クリエイターの魅力を引き出し、ファンと繋ぐための新たな資金調達・認知拡大の仕組み作りに尽力している。

漫画家支援プロジェクトの現在地

NFTMedia編集部(以下、編集部):実業之日本社とNFTプラットフォーム「INO Fine」が共同で展開しているNFT漫画プロジェクトについて、近況をお聞かせください。

今井則文(以下、今井):
アフリカ出身の漫画家さん支援を含めて、これまでに複数のプロジェクトを推し進め、今回第10弾が始動しました。

編集部:かなり多いですね。クローズアップする漫画家は、どのような基準で選ばれるのでしょうか。

今井:漫画家が持つ背景や思想に注目して選考しています。

NFT漫画プロジェクトは、もともと漫画家を支援する目的で発足しました。ただ、漫画家の魅力を読み手へ伝えるのはなかなか難しいという課題があります。なぜなら、どの先生も「出版したい」という強い思いは共通しており、他の人との差別化が難しいためです。

読者の方に作品を買っていただくまでの導線を考えると、漫画家が持つ何か特別な光るものや刺さるものを押し出す必要があると感じていました。

編集部:漫画家の先生が持つ人間性や個性に注目するということですね。

今井:このような経緯から誕生したのが、アフリカ出身の漫画家を日本でプロデュースする企画です。

日本にはない独自の文化を表現できたり、NFTを介して国境を越えられたりと、これまでにない切り口で訴求できるためです。

日本の漫画文化に憧れて漫画家になったという背景もあった点に加えて、国際協力の観点でも支援が集まりやすいのではないかと考えたのです。

漫画を購入してもらうまでのハードルは高いので、このように作者のバックボーンを伝えられるようにしています。

CAMPFIREとの併用戦略──NFT初心者へのリーチと印税分配の棲み分け

編集部:アフリカの漫画家であるビル・マスクさんのプロジェクトでは、貴社の独自NFTプラットフォーム「INO Fine」のほかに、CAMPFIREでも支援を呼びかけたようですね。

CAMPFIREにも出品した理由を教えてください。

今井:Web3の知見がない方々にも広げるためです。

これまではINO Fineだけで展開していたのですが、X(旧Twitter)などでの発信だけではどうしても限界があります。そこで、我々のやりたいことを実現するにはどうすればいいかを考えた際、アクティブユーザーを多く抱えるCAMPFIREも活用する結論に至りました。

編集部:そのような理由で、CAMPFIREも活用するようになったのですね。

今井:CAMPFIREの場合、別のプロジェクトを支援した方が興味を持って購入してくれたりと、我々が今までリーチできなかった層にも確実に届いています。

加えて、CAMPFIREの会員であれば、数クリックだけで購入までたどり着ける点も大きいです。

我々の目標としてはNFTを普及させたい思いがあるものの、それ以上に「作家さんにデビューしていただく」というゴールがあるため、これを達成するために両軸で展開しています。

編集部:NFT漫画プロジェクトはクラウドファンディング的な要素が強いため、CAMPFIREとの相性が良いですよね。

ちなみに、CAMPFIREとINO Fineでは特典に違いはあるのでしょうか。

今井:CAMPFIREで購入すると、印税分配の対象にはなりません。

CAMPFIREではデジタルイラストがもらえたり、漫画の巻末に名前が載ったりといった、通常のクラウドファンディングと同じようなリターンを用意しています。

一方でINO Fineのサイトでは、NFTの特性を活かして電子書籍の印税がもらえるといった形で棲み分けをしています。

販売の流れとしては、最初の2ヶ月間はCAMPFIREとINO Fineの両方で購入が可能です。そしてINO Fineのみ3か月目にも受付を行い、「CAMPFIREで買いそびれた人もNFTだったら買えます」という導線にしています。

編集部:印税をもらう部分はやはりNFTならではの仕組みですね。一般のユーザーにはまずCAMPFIREで知ってもらい、印税に興味がある人にはINO Fineを使ってもらう戦略なのですね。

今井:はい、まず知ってもらうことが何より大事かなと考えており、そのような形にしています。

編集部:NFT漫画プロジェクトを推し進めるにあたって、どのような課題がありますか。

今井:
皆さんにいかにプロジェクトを知っていただくかが最大の課題です。

プラットフォーム自体の開発はほぼ完成し、軽微な修正も自社グループ内で完結できる体制は整っています。ですので、あとは「いかにして多くの人に漫画家さんたちを知ってもらうか」という認知拡大の点に尽きますね。

グッズ展開とリアルへのアプローチ──キャラクター認知拡大への挑戦

編集部:最近では漫画家のグッズ展開に注力しており、特設サイトも開設したようですね。これも、知っていただくための取り組みに繋げるための施策なのでしょうか。

今井:そうですね。オリジナルグッズ自体は2025年の冬から取り組んでいたのですが、2026年5月に独立した形でオンラインストア(※)を立ち上げました。

※参考:オリジナルグッズの販売サイト INO Fine GOODS STORE

このグッズ販売は純粋な物販なので、作家の先生に売上を還元する形で応援に繋げています。

編集部:グッズを通じて、より作品に親しみやすくなるのですね。

今井:また、キャラクターをリアルに知っていただく意味合いもあります。例えばTシャツを着て原宿を歩いてくれたら嬉しいなとの思いもあり、より多くの人の目に触れていただく機会を作りたいです。

特にアフリカの作家さんは、日本人にはない力強い絵を描かれるので、そういったイラストが入ったグッズであれば、好んでくださる方も多いと考えています。

AIやステーブルコインに関する取り組み

編集部:CAICA DIGITAL傘下のグループ会社では、AIやステーブルコインに関する取り組みも発表されていますね。最近ではAIやステーブルコインにも注力されているのでしょうか。

※参考:プレスリリース AI駆動型開発サービス提供開始
    プレスリリース CAICA DIGITAL ステーブルコイン基盤PoCフェーズ1完了

今井:グループ全体としては、AIも含めて色々な施策に取り組んでいます。AIやステーブルコインに関しては、グループ内の専門部署が主導しています。

加えてNFT関連では、唯一無二性を担保する技術のPoCを行っている状況ですね。ブロックチェーンがまだ世の中に浸透しておらず普及までの道のりは長そうですが、数年先を見据えて開発に取り組んでいます。

編集部:グループ全体でさまざまな取り組みをされているのですね。

NFT漫画プロジェクト第10弾が始動

編集部:2026年6月2日には、NFT漫画プロジェクト第10弾の発売が開始されましたね。

今回の主役である漫画家のサカモトトシカズさんとは、どのような経緯で出会われたのでしょうか。

今井:偶然サカモトトシカズさんのお名前を発見し、オファーしました。

我々のチームには漫画家さんをスカウトする担当者がおりまして、情報収集の過程で「面白そうだな」と感じた際にオファーしています。

その過程でサカモトトシカズさんにお声がけしたところ興味を持ってくださり、これまでのご経験や作品のスキルなどを踏まえてミーティングを重ねていきました。

プロジェクトに参加するメリット・デメリット、実業之日本社のこれまでの取り組みなどを説明したところ、「それだったら1回チャレンジしてみよう」とご快諾いただきました。

編集部:『THE喫茶店』は、サカモトさんにとってどのような作品なのでしょうか。

今井:今回の『THE喫茶店』は、サカモトさん自身とても思い入れがある作品です。サカモトさんはこれまで何度か描いては辞め、描いては辞めと漫画家の道を諦めそうな場面もありました。

しかし、そのたびにこの『THE喫茶店』がきっかけとなり、漫画家としての活動を再開してきたのです。

NFT漫画プロジェクトからオファーが届いたことにも、「何か運命的なものを感じる」とおっしゃっていただき、プロジェクトへの参画が決まりました。

編集部:今回のプロジェクトでは、どのようなゴールを目指すのでしょうか。

今井:
電子書籍の出版です。

以前の第8弾までは電子書籍と紙出版の両方を目指していたのですが、第9弾以降は電子出版のみに専念しています。
2つのゴールを目指すと、支援者の方もどちらを買うべきか迷いますからね。ですので、まずは電子出版で多くの方に読んでもらい、順調に進んだ段階で紙出版に進む2段構成にしました。

※編集部 注釈・・・6月4日には目標金額を突破。CAMPFIREでの支援募集は2026年7月31日(金)23:59まで継続中。

今後のプロモーション展開と課題──いかにして多くの人に知ってもらうか

編集部:NFT漫画プロジェクト第10弾について、今後の展開を教えてください。

今井:オリジナルグッズの販売やプロモーションを企画中です。

これまではオンラインのSNS広告などには取り組んでいなかったものの、今回からはSNS広告を打ち始めました。その結果、今まで我々を知らなかった層にもリーチできつつあります。

このようにSNS広告を軸に据えながら、オンライン・オフラインを含めて並行してプロモーション活動に取り組んでいきます。

編集部:サカモトトシカズさんの個性的な絵柄がグッズとして展開されるのですね。最後に、NFT漫画プロジェクト第10弾にあたって、皆さんにメッセージをお願いします。

今井:サカモトさんの作画は、一度見ると忘れられないほど引き込まれます。加えて、クスッと笑えるところも魅力的です。

元芸人というバックボーンをお持ちで、「漫画をけなされるのはいいけれど、ギャグをけなされるのは心外だ」とおっしゃるくらい、芸人としてのプライドや魂を持っていらっしゃいます。

それをどう表現するか、相当考え込まれた作品になっているので、そういった部分を読者の方にも楽しんでもらえると嬉しいですね。

編集部:今後の展開が楽しみですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

NFT漫画プロジェクト第10弾の概要

NFT漫画プロジェクト 第10弾 元芸人・漫画家サカモトトシカズが描く『THE喫茶店』の出版支援募集について、詳細は以下の通りです。

以下の2つのサイトから、支援に参加できます。

●INO Fine特設サイト
●CAMPFIREプロジェクトページ

インタビューを終えて

「クリエイターの夢を叶えるための実用的なツール」として活用しているカイカフィナンシャルホールディングスの取り組みは、Web3業界における一つの理想的なユースケースだと感じました。

特に、あえてWeb2の代表的なプラットフォームである従来型クラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREを併用し、間口を広げながらNFTのメリット(印税分配など)を提供するというハイブリッドな戦略は、現状のマス層の心理を的確に捉えています。

今後、SNS広告やリアルグッズ展開を通じて彼らのプロジェクトがどのように世間に認知され、多くのクリエイターの夢を実現していくのか。第10弾のプロジェクトにも期待が高まります。

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