AI Financial、トランプ関連「WLFI」72億枚超保有。現金化に制約、事業継続に懸念

WLFI保有と内部統制の重大欠陥を開示

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とその家族が関わる暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLF)」に関連する、米ナスダック上場のAIファイナンシャル・コーポレーション(AI Financial Corporation:AIFC、旧アルト5シグマ)が、WLFのガバナンストークン「WLFI」の巨額保有と、その流動性制限を米証券取引委員会(SEC)への提出書類で明らかにした。

同社が5月18日に提出した2026年第1四半期の10-Q報告書によると、AIファイナンシャルは四半期末時点で、7,283,585,650枚のWLFIトークンを保有している。これらのトークンの公正価値は約7億636万ドル(約1123億1124万円)とされる一方、取得原価は約14億5,672万ドルで、評価額は取得時から半分以下に減少している。

ただし同社は、このWLFIトークンをすぐに売却して現金化することはできない。保有トークンのすべてが、契約上の譲渡制限、いわゆるロックアップの対象となっているためだ。

AIファイナンシャルが保有するWLFIトークンは、主に2つのトランシェに分かれている。

まず、3,533,585,650枚のWLFIトークンについては、取得後12か月間の譲渡禁止が定められている。なお、担保提供、ステーキング、貸出など一部の限定的な利用は認められている。

残る3,750,000,000枚についても、クロージング日から12カ月間のロックアップに加え、同社株主による承認、定款変更、転売登録の有効化という条件をすべて満たすまで、売却などが制限される。

つまりAIファイナンシャルは、帳簿上は約7億ドル規模の暗号資産を保有しているものの、その大半を短期的な資金繰りに充てることはできない状況にある。

一方で、同社の手元流動性には課題がある。10-Q報告書によると、AIファイナンシャルの四半期末時点の現金および現金同等物は約1,050万ドル(約16億7,000万円)だった。また同社は、運転資本が赤字であることや継続的な営業損失を踏まえ、今後1年以内に事業を継続できるかについて「重大な疑義」があると記載している。

同社のフィンテック事業、すなわち暗号資産決済処理などの四半期売上は約470万ドル(約7億4000万円)にとどまっている。保有するWLFIトークンの評価額と、実際の事業収益との間には大きな乖離がある。

AIファイナンシャルとWLFIの関係も複雑だ。

同社は今年1月、WLFIから1,500万ドル(約23億8500万円)の有担保ノンリコースローンを調達している。貸し手であるWLFIは、AIファイナンシャルの大株主でもある。

10-Q報告書によると、WLFIはAIファイナンシャルの普通株100万株、事前行使ワラントで9,900万株、追加ワラントで2,000万株を保有している。

さらに、AIファイナンシャルの会長であるザック・ウィトコフ(Zach Witkoff)氏は、WLFIのCEO兼共同創業者でもある。またAIファイナンシャルの取締役であるザカリー・フォークマン(Zachary Folkman)氏も、WLFIの共同創業者を兼任している。

つまり、AIファイナンシャルにとってWLFIは、トークン発行体であり、貸し手であり、主要株主でもある。経営陣にも重複があり、利害関係が入り組んだ構造となっている。

なお同ローンでは、AIファイナンシャルが債務不履行となった場合、担保として差し入れられたWLFIトークンがWLFI側に移転する条項も設けられている。

AIファイナンシャルは内部統制上の問題も開示している。

10-Q報告書では、財務報告に係る内部統制に複数の重大な弱点があるとされた。具体的には、内部統制の文書化不足や、企業結合会計における評価誤りなどが指摘されている。

また同社は、2024年度の財務諸表について修正再表示を行っている。

WLFIをめぐっては、2026年4月にインサイダーや初期支援者が保有する620億枚超のトークンに関する段階的なアンロック案が提案され、5月上旬に承認されたと報じられている。ただし、AIファイナンシャルが保有する7,283,585,650枚のWLFIトークンについては、このガバナンス投票とは別に、購入契約上の譲渡制限が適用されている。

そのため、WLFI全体のアンロック方針が進んだとしても、AIファイナンシャルが保有分をすぐに市場で売却できるわけではない。

AIファイナンシャルは、評価額で約7億ドルのWLFIトークンを保有しながらも、それを短期的な資金繰りに活用しにくい状況にある。最大の資産を換金できないまま、同社が継続企業の前提をめぐる不確実性を解消できるかが、今後の焦点となりそうだ。

参考:発表 
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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