
この記事の要点
- 米財務長官が2026年4月25日、OFACの対イラン制裁を発表
- トロン上2ウォレット計547億円相当を凍結、過去最大規模
- テザーが2日前に同ウォレットのUSDT凍結を実施
- 制裁と民間連携で仮想通貨の資金遮断体制が強化
テザーが547億円凍結、OFACがイラン制裁
スコット・ベッセント米財務長官は2026年4月25日、外国資産管理局(OFAC)がイランに関連する仮想通貨ウォレット2件を制裁対象に指定したと公表しました。
今回凍結された資産の合算額は3億4,400万ドル(約547億円)相当に達し、仮想通貨分野における対イラン制裁としては過去最大規模となりました。
凍結対象となったウォレットはいずれもトロン(TRX)チェーン上にあり、財務省はイスラム革命防衛隊(IRGC)とヒズボラへの関連があると主張しています。
制裁発表の2日前にあたる4月23日には、ステーブルコイン発行体のTether(テザー)社が米当局の要請を受けて「違法行為に関連した活動」を理由に3億4,400万ドル超のUSDTを凍結していたことを明らかにしていました。
テザーによる凍結とOFAC制裁は同一ウォレットを対象としており、民間発行体と規制当局が連携した制裁執行の事例となりました。
今回の措置は、ベッセント財務長官が推進する対イラン最大圧力キャンペーン「Operation Economic Fury(経済的憤怒作戦)」の一環とされています。
Under Economic Fury, @USTreasury will continue to systematically degrade Tehran’s ability to generate, move, and repatriate funds.
Treasury’s Office of Foreign Assets Control is sanctioning multiple wallets tied to Iran — resulting in the freeze of $344 million in…
— Treasury Secretary Scott Bessent (@SecScottBessent) April 24, 2026
経済制裁の強化の一環として、米財務省は今後も、テヘランが資金を生み出し、移動させ、国内に還流させる能力を段階的に弱体化させていく。
財務省外国資産管理局(OFAC)は、イランに関連する複数のウォレットに制裁を科し、総額3億4,400万ドル相当の暗号資産を凍結した。
テヘランが国外へ移そうとしている資金の流れを追跡し、同政権に関係するあらゆる資金源を標的としていく方針だ。
「BTC通航料」徴収を計画
OFACが踏み込んだ仮想通貨制裁の背景
BTC通行料・空爆が制裁の引き金に
米国とイスラエルは2026年2月末にイランへの合同空爆を実施しており、米国の対イラン圧力は、軍事・外交・経済の各分野で一段と強まっています。
ベッセント財務長官はXへの投稿で「テヘランが国外に移転しようとしている資金を追跡し、政権に連なるすべての資金調達ルートを標的にする」と明言しており、今回の措置は、こうした資金遮断戦略の一環と位置づけられています。
あわせて、Financial Timesは今月、イランがホルムズ海峡を通過する船舶に対してビットコイン(BTC)建てで通行料を徴収していると報じており、制裁下の国家が仮想通貨を迂回手段として利用している実態が示されています。
仮想通貨(暗号資産)の活用が拡大するなか、ホルムズ海峡ではイランが通過船舶への攻撃を実施したと伝えられており、トランプ大統領が「停戦状態」を宣言する一方で、現地の緊張は依然として高い状態が続いています。
SDNリスト追加通知と2ウォレットの実態
こうした対イラン圧力の高まりを背景に、OFACは「特別指定国民リスト(SDNリスト)」への追加通知を公表しました。制裁対象となったのは、トロンブロックチェーン上の2アドレスで、合算残高は3億4,400万ドル(約547億円)に達します。
財務省はこれらのウォレットについて、IRGC(イスラム革命防衛隊)とヒズボラへの資金提供に使用されていたと主張しています。具体的な取引履歴や資金フローの詳細については、今回の公表では明らかにされていません。
今回の執行で注目されるのは、テザーによる凍結がOFACの制裁指定より2日早く実行された点です。テザーのCEOパオロ・アルドイーノ氏は公式声明で「USDTは違法活動の逃避先にならない」と述べ、当局連携を今後も継続する方針を示しています。
テザーが示した制裁執行の即応モデル
アルドイーノ氏の発言は、ステーブルコイン発行体が制裁執行において即応できる立場にあることを明確にしています。
テザーは当局要請から資産凍結まで迅速に対応しており、民間発行体が資産凍結の権限を実質的に行使できる構造を示しています。
この「即応性」はステーブルコインの非検閲性への疑義と表裏一体でもあり、規制対応能力の高さが評価される一方で、中央集権的な管理権限の存在について、改めて議論が活発化しています。
こうした議論が続く一方で、今回の凍結は単一事案としてイランの仮想通貨制裁史上最大規模とされており、OFACが仮想通貨を対テロ・対イラン制裁の主要な執行領域として本格化させていることを浮き彫りにしています。
制裁とステーブルコイン規制が連動強化
制裁執行の本格化と並行して、2026年に入り米国内での制度整備が立法・行政の両面から進展しています。FDIC(米連邦預金保険公社)がステーブルコイン規制法「GENIUS法」の規則案を承認するなど、制裁執行との連動が強まる環境にあります。
今回のモデルが定着した場合、仮想通貨取引所・発行体は当局の要請への対応体制を常時問われる立場に置かれる可能性があり、民間発行体の即応能力が規制環境の一部として組み込まれる流れが現実的な動きとして具体化しつつあります。
OFACによるトロンチェーン上の資産指定が今後どの規模・頻度で拡大するか、またGENIUS法の最終規則化がステーブルコイン発行体の凍結権限行使にどう影響するか、今後の規制動向と制裁拡大の行方に市場関係者の注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.70 円)
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Source:スコット・ベッセント米財務長官X投稿
サムネイル:AIによる生成画像






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