ジャスティンサン、トランプ一家共同創業の企業を提訴。WLFIトークン凍結は違法と主張

ジャスティン・サンがWLFIを提訴

トロン(TRON)ブロックチェーンの創設者であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とその息子らが共同創業したデジタル通貨事業ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)を現地時間4月21日に提訴した。サン氏は、自身が保有するWLFI発行のトークンが違法に凍結されたと主張している。

カリフォルニア州の連邦裁判所に提出された訴状によるとWLFIは、2025年9月に同トークンの売買が可能になった後、サン氏による売却を妨ぐ仕組みを密かに導入したという。訴状ではさらに、サン氏のトークンが同氏のデジタルウォレット内にあるにもかかわらず、WLFIがその保有分を「バーン(焼却)」、すなわち永久に削除すると脅したとも主張している。

訴状によればサン氏は、WLFIトークン約30億枚を4,500万ドル(約71.8億円)で購入した。その後、WLFIのアドバイザーに任命された後、さらに10億枚のトークンが付与されたという。

ロイターの試算によると、サン氏が保有する40億枚のWLFIトークンの価値は約3億2,000万ドル(約510.5億円)に相当する。

WLFIの最高経営責任者(CEO)で共同創業者でもあるザック・ウィトコフ(Zach Witkoff)氏は4月22日、自身のX投稿で、サン氏の法的主張は「まったく根拠がない」とし、WLFIは訴えを速やかに棄却させる考えだと述べた。

ウィトコフ氏はさらに、「彼は当社と利用者を守るために当社が対応を取らざるを得なくなるような不正行為に関与していた」と付け加えた。同氏は、米国の平和ミッション担当特使を務めるスティーブ・ウィトコフ(Steve Witkoff)氏の息子でもある。

また、トランプ大統領の息子でWLFIの共同創業者でもあるエリック・トランプ(Eric Trump)氏も22日にXへ投稿し、「この訴訟よりばかげているのは、壁にバナナをダクトテープで貼った作品に600万ドルを払うことだけだ」と記した。これは、サン氏が2024年11月にイタリア人アーティスト、マウリツィオ・カテラン(Maurizio Cattelan)氏の作品「コメディアン(Comedian)」を購入した件に言及したものだ。

WLFIの広報担当者は、この訴訟についてコメントを控えた。一方、同社の担当者は今週初めにロイターに対し、「サン氏はWLFIのアドバイザーではなく、同社で業務上の役割を担ったことも一度もない」と説明していた。

ホワイトハウスはコメント要請に応じなかった。 ・WLFIは、トランプ一家が共同創業または支配する複数の収益性の高い暗号資産関連事業の中でも最も著名な存在であり、ロイターの分析によると、同一家はすでに同事業から10億ドル超(約1,595.3億円超)を得ている。WLFIの定款では、WLFIトークン販売による収益の75%がトランプ一家に配分されると定められている。

またロイターは今月、WLFIが投資家の一部から監視を強められていると報じた。投資家らは数カ月にわたり、同社の透明性の欠如、中央集権的なガバナンス構造、コミュニティからの苦情に対応しない姿勢に不満を示しているという。

訴状の中でサン氏は、自身を「WLFIの中核投資家の1人」と位置付けている。

WLFIの仕組みにより、サン氏が2024年に購入したWLFIトークンは通常の企業株式とは異なる。これらのトークンは会社の持分を表すものではなく、保有者に配当を受ける権利も与えないが、ガバナンスに限定的に関与する権利は与える。

悪化する関係

今回の訴訟は、サン氏とWLFIの関係が劇的に悪化したことの帰結となる。

昨年9月、サン氏は同社が自身のトークン保有分を凍結したと主張していた。さらに今月初めには、WLFIがトークンに用いるブロックチェーン契約の中に、自身が「バックドア型のブラックリスト機能」と呼ぶ仕組みを密かに埋め込んでいたとXへの投稿で主張した。

サン氏は、その機能によってWLFIが保有者の財産権を、理由や異議申し立ての手段もないまま、一方的に凍結、制限し、事実上没収できる「一方的な権限」を得ていたとXに記した。

これに対WLFIは当時、X投稿で「契約書もある。証拠もある。真実もある。法廷で会おう」と反論していた。

訴状では、サン氏は「長年にわたり、そして現在も、トランプ大統領とトランプ一家の熱心な支持者である」と説明している。

締め出されたサン氏

訴状によるとWLFIの関係者は2025年4月から7月にかけて、同事業への追加出資を行うようサン氏に「繰り返し接触し、圧力をかけた」という。その中には、別のWLFIのステーブルコイントークンに2億ドル(約319.1億円)を投じることや、同社の持分取得を約束するよう求める内容も含まれていた。

サン氏は22日のX投稿で、WLFIとの問題解決を「誠実に試みた」としつつ、同社チームは「私のトークン凍結解除と、トークン保有者としての権利回復の要請を拒否した」と述べた。

WLFIが先週提案した措置では、合計170億枚のトークンを保有する初期投資家は、2030年まで保有トークンのすべてを売買できなくなる見通しだ。これは、トランプ大統領が退任予定となっている時期の1年後にあたる。

サン氏はこの新たなガバナンス提案に「強く反対する」としたが、WLFIが自身の初期投資家向けトークンを凍結しているため、投票できなかったという。

サン氏は、トランプ大統領のいわゆるミームコインにも多額を投資している。

トランプ大統領は2025年1月にホワイトハウスへ復帰して以降、暗号資産に友好的な政策を相次いで打ち出している。

3月には、米証券取引委員会(SEC)が2023年に起こしたサン氏への訴訟を1,000万ドル(約16.0億円)で和解した。同訴訟では、詐欺、未登録の暗号資産証券の販売、著名人への報酬支払いを隠して自身の商品を宣伝させたことなどが主張されていた。サン氏は不正行為を認めていない。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Blockchain billionaire Sun takes Trump family’s crypto firm to court
(Reporting by Tom Wilson in London, David Gauthier-Villars in Istanbul, Lawrence Delevingne in Boston and Shivani Tanna in Bengaluru; Additional reporting by Ankur Banerjee in Singapore; Editing by Tom Lasseter, Himani Sarkar, Clarence Fernandez and Catherine Evans)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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