
この記事の要点
- 米ホワイトハウス顧問、CLARITY法案で銀行業界を「欲」と批判
- ステーブルコイン利回り規定で協議離脱要求
- マークアップ再延期で5月末成立に黄信号
「CLARITY協議から退け」銀行業界に要求
ホワイトハウスのデジタル資産担当上級顧問パトリック・ウィット氏は2026年4月18日、仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」をめぐるステーブルコインの利回り規定交渉で、銀行業界の姿勢を「greed(欲)」と断じ、銀行業界に対し交渉打ち切りを求めました。
ウィット氏は、ティリス上院議員とアルソブルックス上院議員が銀行業界の預金流出懸念に対処した妥協案をすでにまとめていると指摘し、それでも銀行業界がロビー活動を続けていることへの不満を強く示しました。
行政側が業界ロビー活動に対し、公開の場で「欲」「無知」という言葉まで使って交渉打ち切りを促すのは異例の展開であり、銀行業界との対立が長期化しつつあることを示唆しています。
上院銀行委員会は4月のイースター明けにCLARITY法案のマークアップ(修正審議)を実施する方針を示してきましたが、その日程確定は依然として難航しています。
The compromise reached by Senators Tillis and Alsobrooks addresses concerns about deposit flight head on.
It’s hard to explain any further lobbying by banks on this issue as motivated by anything other than greed or ignorance.
Move on. https://t.co/Guwu5FdTTH
— Patrick Witt (@patrickjwitt) April 17, 2026
ティリス上院議員とアルソブルックス上院議員がまとめた妥協案は、預金流出への懸念に真正面から対応している。
この問題について銀行側がさらにロビー活動を続ける理由は、強欲か無知以外には説明しがたい。
もう次に進むべきだ。
CLARITY法案「5月採決」視野に
銀行が反対する利回り、CLARITY最大の難所
「預金が流出する」銀行業界の主張
ステーブルコインへの利回り付与は、米ドル連動型のステーブルコインを保有するユーザーに対し、利息に相当する収益を分配する仕組みで、利用者にとっては普通預金口座に近い利便性を持ちながらより高い利率が期待されています。
銀行業界はこの仕組みを既存の預金口座との直接的な競合と捉えており、ステーブルコインへの利回り付与が普及すれば預金が銀行から流出する「デポジット・フライト(預金流出)」が起きると主張してきました。
こうした主張を背景に、銀行業界はCLARITY新草案の審議当初から、利回り付与条項の削除または厳格な制限を強く求めてきた経緯があります。
銀行業界がここまで強硬な姿勢を続けてきたことが、ホワイトハウス側の不満を強める要因となっていました。
妥協案合意も再膠着、政権の危機感強まる
CLARITY法案の審議では、上院銀行委員会のティム・スコット委員長が改訂版草案を提示し、シンシア・ルミス上院議員も「解決策を得たと思っている」との見通しを示すなど、交渉は一時大詰めの段階に入っていました。
しかし銀行業界は妥協案文書の最新版に対し、共和・民主両党の議員に新たな懸念を伝える動きを強めており、交渉は再び膠着しています。
スコット・ベッセント財務長官も4月初旬、議会に対して「春の立法会期が閉じる前にルールを確立すべきだ」と繰り返し訴えており、行政全体として法案の早期成立を優先する方針が鮮明になっています。
こうした行政側の危機感を背景に、ウィット氏は今回のX投稿で、銀行側の姿勢を「greed(欲)」と「ignorance(無知)」と表現し、法案交渉の場から退くよう「Move on(先へ進め)」と呼びかけました。
取引所・投資家にも影響、法案遅延の代償
CLARITY法案が成立すれば、どの仮想通貨資産がどの規制当局の管轄に属するかが初めて法的に明確になります。
法案成立が遅れれば、取引所・投資家・事業者は引き続き規制上のグレーゾーンに置かれ、新サービスの設計や事業拡大の判断に影響を受ける可能性があります。
特にステーブルコイン市場では、利回り規定の行方が発行体の事業モデルと投資家の利用判断を直接左右するため、規定が曖昧なままでは新サービスの設計・展開が事実上難しくなります。
3月17日にはSEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)が「大半の仮想通貨資産は有価証券には該当しない」とする共同ガイダンスを公表しており、行政側の規制整備は着実に進んでいます。
行政側の規制整備が進む一方で、銀行業界との対立により立法プロセスだけが停滞すれば、仮想通貨市場の事業環境改善も後ろ倒しとなります。立法側の動きは、上院銀行委員会のマークアップ日程に焦点が移っています。
CLARITY法案に業界の命運
5月末成立に黄信号、政権の焦り表面化
報道によれば、上院銀行委員会のスコット委員長が公表した翌週の予定にはCLARITY法案のマークアップが含まれておらず、4月最終週以降への再延期が見込まれています。ウィット氏の今回の批判は、まさに日程確定が再び不透明になりつつあるタイミングで発信されました。
上院は5月第1週に休会するため、マークアップが4月内に実施されなければ、審議は5月第2週以降にずれ込みます。仮想通貨業界では、5月末を超えると今国会での法案成立そのものが難しくなるとの警戒感も広がっています。
ウィット氏が公開の場で交渉打ち切りを促すほど圧力を強めた背景には、こうした立法プロセスの遅延への危機感があります。一方で、銀行業界が圧力に応じて姿勢を軟化させるかどうかは依然として不透明です。
上院銀行委員会は4月内のマークアップ日程設定に向けた調整を続けており、銀行業界と仮想通貨業界の間で続く妥協案文書の協議も並行して進められています。
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Source:パトリック・ウィット氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像







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