
ウォレットからインフラまで段階的に対応
米サークル(Circle)が、新たなレイヤー1ブロックチェーン「アーク(Arc)」における量子耐性(ポスト量子)対応のロードマップを4月2日に公開した。
アークは、サークルが開発を進めるレイヤー1ブロックチェーンだ。同ネットワークはEVM(Ethereum Virtual Machine)に対応しており、既存のスマートコントラクトや開発ツールを活用できる設計とされている。なお、同ネットワークは現在テストネットが公開されており、メインネットは今後のローンチが予定されている。
同社はブログにて、量子コンピュータが公開鍵暗号を破るとされる「Q-Day(Quantum Day)」が2030年まで、またはそれ以前に到来する可能性があると指摘した。そのうえで、銀行、フィンテック、ステーブルコイン発行体、RWAプラットフォームなどにとって、長期的な暗号耐久性は「インフラ設計における前提条件」となると説明している。
また同社は、量子コンピュータによる脅威はQ-Day以前から存在するとし、「今収集して後で復号する(harvest now, decrypt later)」リスクにも言及した上で、現時点からの対応が必要であるとの認識を示した。
量子コンピュータへの対応は、単に暗号方式の更新にとどまらず、既存のウォレットやアドレス構造、鍵管理を含むブロックチェーン全体の設計に関わる課題とされている。特に、既存資産を移動せずに保護できるかといった点は、現行のネットワークにおいて難しい論点とされている。
こうした中、アークは量子耐性への対応をウォレット単体ではなく、ブロックチェーンのスタック全体で段階的に進める設計を採るとしている。対象には、ウォレット認証、プライベートなスマートコントラクト状態、バリデータ認証、インフラなどが含まれる。
ロードマップによると、メインネットではポスト量子署名方式を導入し、量子耐性ウォレットの設計を可能にする。この機能はオプトイン方式で提供され、強制的な移行やネットワーク全体のリセットは行わないとされている。
その後の段階では、プライベート残高や取引、受取人といった機密情報の保護にも量子耐性を拡張する計画だ。これには、データを平文で扱わない設計や、公開鍵に対する追加の暗号化レイヤーなどが含まれる。
さらに中長期的には、アクセス制御やクラウド環境、HSMなどのインフラ領域や、バリデータ認証の強化にも対応を広げる方針だ。
同社は、量子耐性は研究段階にとどまるべきではなく、実際のインフラとして実装される必要があるとし、「実用的で適応可能なブロックチェーンインフラ」を目指すとしている。
なお、今回のブログでは、既存のアドレスや休眠資産を含む移行の扱いについての具体的な方法は示されていない。また同社は、今回示した機能や設計、ロードマップについては今後変更される可能性があるとしている。
参考:アーク
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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