
この記事の要点
- 2026年3月31日、ムーディーズがBTC担保債にBa2格付け
- 米地方債市場でビットコイン担保型債券が初の格付け対象に
- ニューハンプシャー州が最大1億ドル規模の債券を発行予定
- 州レベルの仮想通貨活用が地方債市場にも広がる可能性
地方債×ビットコイン、格付け機関が初認定
2026年3月31日、米格付け大手Moody’s(ムーディーズ)が、ニューハンプシャー州ビジネス金融局(BFA)の発行する最大1億ドルのビットコイン(BTC)担保付き課税収益債券に暫定Ba2格付けを付与したことが明らかになりました。
ブルームバーグによると、Ba2(投機的等級)は、公的保証や課税権を持たない純粋なビットコイン担保構造に主要格付け機関が初めて評価を下したもので、米国の地方債市場でビットコインが担保として正式に認められた最初の事例となります。
債券は2026年Aシリーズ1・2の2クラスに分割され、いずれも2029年満期を迎える設計です。借り手はNH CleanSpark Borrower Trust 2026-1で、ニューハンプシャー州機関がローン構造上の貸し手として機能します。
案件の名称は「Waverose Finance Project」で、担保管理・清算・日常管理をBitGo Bank & Trust、BitGo Prime、Wave Digital Assets LLCの3社が分担する体制がとられており、今回の格付けを受けて発行手続きが本格化する見通しです。
米国初の州ビットコイン準備法が成立
公的保証ゼロでも成立、BTC担保債の設計思想
ビットコインの過去実績が格付けの根拠に
ブルームバーグによれば、今回の債券はいずれも限定遡及型(損失が担保資産の範囲内にとどまる債務形態)の債務で、ニューハンプシャー州の公的資金による保証は一切なく、発行体は支払い不足を補う課税権を持たない仕組みです。
元利金の返済はすべて担保ビットコインの売却益に依存する構造で、ムーディーズはビットコインの価格変動性と市場流動性をもとに前払いレート72.06%・2日間のエクスポージャー期間(価格変動リスクにさらされる期間)を算定基準とし、Ba2格付けに整合するとしています。
適用された格付け手法は2025年5月公表の「マーケットバリュー担保付ローン債務」方式で、担保パフォーマンスの変化や清算メカニズムの機能状況が格付け変動要因として明示されています。
BTC急落で即償還、投資家を守るLTV条項
ブルームバーグによれば、債券には担保価値対融資比率(LTV=担保資産の価値と借入額の比率)に連動するメカニズムが組み込まれており、初期カバレッジは1.60倍に設定されています。
担保価値がLTVトリガーの1.40倍を下回った時点で債券の強制全額償還が義務付けられる仕組みで、ビットコインの価格が急落した際に元本回収のタイミングが早まるリスクを投資家が事前に織り込める設計となっています。
ムーディーズはビットコインネットワークの継続稼働と市場インフラの維持を格付けの前提条件としつつも、同ネットワークが歴史的に大規模障害なく稼働を続けてきた実績を評価に織り込んでいます。
固定型とアップサイド型、2クラスの選択肢
また、2クラスのうちシリーズ2026A-2の保有者は、満期時点でビットコインの価値が発行日時点を上回っていた場合に限り、元本・利息・費用の全額支払い後に追加支払いを受け取れる条項が付されていることも報じられています。
シリーズ2026A-1は追加支払い条項を持たない固定クーポン型で、価格上昇への参加を求める投資家と安定収益を優先する投資家の双方を取り込む設計となっています。
なお、本件の格付けはムーディーズ・インベスターズ・サービスのニューヨーク事務所が発行しており、追加の取引詳細を含む事前販売レポートはMoodys.comで公表予定と伝えられています。
BTC担保に1億ドルの融資確保
州単位で広がるBTC活用、格付け事例の意義
米国では州政府レベルでの仮想通貨活用の動きが広がっており、テキサス州が州準備金で500万ドル相当のビットコインを購入したほか、ロードアイランド州がビットコイン取引への州税免除法案を提出するなど、政策・財政双方での取り組みが相次いでいます。
今回のニューハンプシャー州の案件は、地方債という従来型の金融商品にビットコイン担保を組み込み、主要格付け機関の評価を得た初の事例として注目を集めています。
この案件が軌道に乗るかどうか、そして類似の構造が他州に広がるかどうかが、米国の公的金融市場におけるビットコイン活用の行方を見定める焦点となっています。
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Source:ブルームバーグ報道
サムネイル:AIによる生成画像







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