キルギス政府、金裏付けの米ドル連動型ステーブルコイン「USDKG」を正式発行

キルギス政府が5,000万USDKGを発行

キルギス共和国の国営企業であるOJSCバーチャル・アセット・イシューア(OJSC Virtual Asset Issuer)が、金(ゴールド)を裏付け資産とする米ドル連動型ステーブルコイン「USDKG」を正式発行したと12月1日に発表した。同国金融当局の発表によると、USDKGの第1回発行は10月31日に登録され、初回発行量は5,014万738USDKGだったという。

USDKGの発行主体はキルギス共和国財務省の下にある国営企業「OJSCバーチャル・アセット・イシューア(OJSC Virtual Asset Issuer)」で、同ステーブルコインは2022年施行の同国「バーチャルアセット法」に基づき発行される。USDKGはトロン(Tron)上で発行され、スマートコントラクトのセキュリティレビューはコンセンシス・ディリジェンス(ConsenSys Diligence)が実施したという。将来的にはイーサリアム(Ethereum)にも対応する予定だ。

発行された5,000万USDKGはすべて実物の金で裏付けられており100%国営企業の発行となる。一方で、金の管理など日常オペレーションはキルギス国内の民間企業に委託される。この役割分担により、USDKGは中央銀行デジタル通貨(CBDC)には該当しないと説明されている。また金の裏付け規模については今後5億ドル(約779億万円)規模への拡大を計画しており、最終的に20億ドル(約3,115億円)規模まで増加させる目標が示された。

USDKGはFATFのKYC/AML基準に準拠しており、償還には本人確認が必要となる仕組みだ。キルギス政府は、同国が地域で初めて包括的なデジタル資産規制の枠組みを整備した国の一つであると説明した上で、「USDKGは地政学的目的ではなく、越境決済の効率化や経済透明性の向上を目指すものだ」と強調した。またUSDKGは自国通貨システムを補完する位置付けであり競合するものではないとした。

USDKGは、実物資産に裏付けられたステーブルコインの新たなモデルとして位置付けられており、金による裏付けとオンチェーン検証を組み合わせることで透明性と安定性を両立させる設計になっている。

なおこの正式発表に先立つ11月、米暗号資産(仮想通貨)メディア「バンクレス(Bankless)」の共同創業者ライアン・ショーン・アダムス(Ryan Sean Adams)氏は自身のXアカウントで見解を述べていた。

同氏は、USDKGが米ドル建てでありながら米国債などの米金融資産ではなく金を担保に採用している点を指摘し米国が好意的に受け止めない可能性に言及した。また金は制裁や凍結が困難であるため、「制裁耐性」の観点がUSDKGの設計思想に含まれる可能性にも触れた。

さらに同氏は、USDKGが分散型ネットワーク上で流通することから、仮に米国が制裁としてアドレスを指定した場合でもDeFiやピアツーピア取引までは止められないと述べている。今回の取り組みが成功した場合、インド、中国、ブラジルなど他国が金担保型ステーブルコインを発行する動きにつながる可能性も指摘した。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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